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のんが「本名:能年玲奈」を取り戻すまで11年の暗闘/芸能界「プロダクションVSタレント」独立興亡記〈緊急集中連載①〉(1)

のんが「本名:能年玲奈」を取り戻すまで11年の暗闘/芸能界「プロダクションVSタレント」独立興亡記〈緊急集中連載①〉(1)

 扱うのは「タレント」。紛れもなく生身の「人間」であり、直訳した日本語どおりの「才能」でもある。物言わぬ「商品」とは大違いなところが、芸能ビジネスの特殊性であろう。タレントが所属事務所から独立するニュースは、過去に幾度となく報じられてきた。円満退社を強調するものもあれば、泥沼化したケースも─。波乱に満ちた独立事情の過去、現在、そして未来に注視したい。

 かつて「能年玲奈」として活動し、2013年に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のヒロイン役でブレイクした、女優・のんの新たな動きが注目を集めている。

 今年3月下旬に突如、自身のSNSのプロフィール欄に〈のん(本名:能年玲奈)〉と、公式的に封印されていた旧芸名を併記するに至ったのである。

 彼女が前所属事務所「レプロエンタテインメント」から退所し、改名をしたのは16年7月のこと。そもそも本名を引っ込める形の改名劇は、旧態依然とした芸能界の慣習を世間に印象づけたものだ。

 その後も女優や声優、時に映画監督としてマルチな活躍をしてはいるが、物別れでなし遂げた独立の影響が取り沙汰されてきた。

 のんが独立後にエージェント契約を結んだコンサルティング会社「スピーディ」の代表取締役社長で、後に旧「ジャニーズ事務所」所属タレントの受け皿ともなった「STARTO ENTERTAINMENT」の創業CEO・福田淳氏は19年7月、公式的にこう訴えたものだ。

〈のんが3年間テレビ局で1つのドラマにも出演が叶わないことは、あまりにも異常ではないでしょうか?〉

 あれから長い年月を経て、昨年4月にTBS系連続ドラマ「キャスター」で、約11年ぶりに民放地上波ドラマに復帰。そして今年の“旧芸名解禁”という流れは、芸能プロダクションとタレントの契約における、ルールの明確化が行われたことと無縁ではないはずだ。

 公正取引委員会(以下、公取委)が24年4月から11月にかけて実演家(=タレント)や芸能事務所、放送事業者、番組制作会社、レコード会社などを対象に調査。昨年9月30日に独占禁止法上の考え方を示した〈実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針〉を公表した。

 そこでは〈芸名・グループ名の使用制限〉について、こう記されている。

〈「芸名又はグループ名(以下「芸名等」という。)に関する権利を芸能事務所に帰属させる場合には、あらかじめ契約上に明確に規定した上で、実演家に対して十分に説明し、実演家と協議すること〉

〈合理的な理由が無い限り芸名等の使用の制限を行わず、制限する場合においてもその制限の方法は合理的な範囲の使用料の支払等の代替的な手段も含めて合理的なものとし、その理由について実演家に十分に説明し、実演家と協議すること〉

 もっとも、のんと前所属事務所の間で芸名の使用に関して裁判は行われていない。そればかりか、のんの退所を巡って「パワハラ疑惑」を報じられたレプロは週刊文春を名誉毀損で訴え、勝訴している。

 のんの独立後の芸名使用は〈双方の協議事項〉とされたが、係争の長期化によるイメージ低下を考慮し、彼女自身が現名義での活動を望んだ結果が現状ともされてきた。

 複数の芸能事務所で法律顧問を務める「山岸純法律事務所」の山岸純氏が言う。

「行政が指針を出したことに法律上の根拠はありませんが、芸能界という業界に目をつけたという事実が大きいのです。3年後、5年後と調査は継続されていくので、『守っているのか?』と、税務署同様に無言の圧力となる。公取委の指針公表が、のんさんを後押ししたことは想像ができます」

配信元: アサ芸プラス

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