【スージー鈴木の週刊歌謡実話第39回】
早見優『Newsにならない恋』
作詞:澤地隆
作曲:CHAGE
編曲:伊豆一彦
1986年7月16日発売
再ブームの理由は飾らない「普通人」感覚にあり
「第何次」か分かりませんが、最近また「早見優ブーム」が到来しています。
東京と大阪で3月に行われた、1966年生まれの音楽家が集結するコンサート「ROOTS66」では、主役級の活躍を見せ、3月25日にはニューシングル「Kenpa Dance」を発表。
テレビにも引っ張りだこで、さる6月19日には、あのテレビ朝日系『徹子の部屋』に出演。そして来たる8月1日には、ここんとこ恒例になっているライブ「夏色のナンシー祭り」が大手町三井ホールで開催されます。
しかし、今回特筆したいのは、そんな第何次かブームの中での、あるイベントについて、です。
それは6月7日に東京・広尾の某フランス料理店で行われた「初夏を楽しむワイン×昭和歌謡曲セミナー」で、出演は早見優と、何と私、スージー鈴木。この’66年生まれの同級生同士がワインと歌謡曲を語るという、ちょっと珍しいセミナーを開催したのでした。
つまり、今や私は早見優の「知り合い」なわけです。あっ、自慢に聞こえたらすいません。ですが、そんな近しい関係として言わせてもらうと、彼女の魅力は、ここで「知り合い」と書くことが自慢しているように感じられないほど、実に「普通人」なところ。
ご存じのように、相変わらずのクールビューティなのですが、芸能人的にツンと澄ましたところなど、まったくなく、「普通の同級生」として接してくれるのがありがたい。だからこそ私なんかでもセミナーの相手役を務めることが出来る。
【スージー鈴木の週刊歌謡実話】アーカイブ
アイドル路線から自ら舵を切った1980年代中盤
そして、そんな彼女の「普通人」感覚こそが、芸能界的なさまざまなトラップにハマらず、人気を保持している要因だと思うのです。
そんな「普通人・早見優」の魅力が活きたシングルとしてご紹介したいのが、40年前のこの曲。
80年代中盤、親友だったアン・ルイスの影響でロックに目覚めた早見優。「普通人」というか、’66年生まれの「普通のロック少女」として、アイドルっぽい『夏色のナンシー』(’83年)路線から、ロック路線へと自ら舵を切るのは自然、というか「普通」なことでした。
ボーカルにも、アン・ルイスのような力強さがみなぎり、’85年のロックチューン『PASSION』がヒット。そして翌年、私が一番好きな彼女のシングルにして、チャゲ作曲のごきげんなロックナンバー『Newsにならない恋』をリリースするのです。
同級生ながら、生まれも育ちもまったく違いますが、彼女と同じく、80年代中盤にロック、特にアン・ルイスや沢田研二、吉川晃司やら、渡辺プロダクション系の「歌謡ロック」に感化された「普通人」として、『Newsにならない恋』は、私の青春を彩るNewsとなりました。
そして今あらためて、この曲を聴いて、まだまだロックでいなければと、「普通人の同級生」に励まされるのです。
「週刊実話」7月16日号より
スージー鈴木/音楽評論家
1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。
