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“ダンカン&立川談寛”初代vs二代目「だんかん」対談(2)よくクビになりませんでしたね

“ダンカン&立川談寛”初代vs二代目「だんかん」対談(2)よくクビになりませんでしたね

談寛 真打昇進以降、おかげさまで、お客様からも「いい名前だね」って言ってもらえてます。

ダンカン いい漢字を当てたよな。「談」に「寛」。誰か「寛」って名前の、とてつもない犯罪者でも出てこないかなあ。

談寛 勘弁してください(笑)、それは。ところで、初代が弟子入りしたのは何歳でしたか?

ダンカン 21歳かな。師匠は40ちょっとで。あのころ大勢弟子入り希望が来てたけど、大半がクビになってた。談志師匠はスーパースターだからさ。

談寛 初代は、どういう流れで弟子入りを? いきなり家行ったとか?

ダンカン 家には行かないよ。漫画家で演芸評論家の高信太郎さんと、中央線沿線に住んでたころに近所の飲み屋で親しくなってね。ある日、「談志師匠のとこに行きたい」と話したら、高さんが「談志? 俺よく知ってるから紹介するよ。俺が言えばたぶん大丈夫だから」と言ってくれてね。そのすぐ後に池袋演芸場で「談志一門会」があって、立ち見が出るくらいお客さんが詰まってたよ。

談寛 ツテがあって行ったんですね。

ダンカン そうそう、終演後の楽屋に高さんの後ろについて入って行ったら、高さんガチガチに緊張しててさ、言うほど親しい感じじゃなかったのよ。

談寛 話が違う!

ダンカン ただ、師匠も上機嫌だったんで高さんに、「裏の飲み屋で打ち上げやるから来いよ。そのお兄ちゃんも連れて」って言われて、その席で師匠から「お前いくつだ?」って言われて、21歳ですって答えると「ちょっと遅ぇな」。当時、入門するのは、だいたい16歳とかだからね。

談寛 昔はみんな若くして入ってますよね。うちの一門には50代で入った人もいますが。

ダンカン 「うちでやりたいのか?」と言われて、はい、お願いしますって言ったら、「じゃあ、明日から掃除しに来いよ」ってことになったんだよ。

談寛 落語は教わったんですか?

ダンカン ちゃんと教わったよ、1対1で。ある時、師匠が「お前、暇だろう」って、座布団をポーンと放り投げた。そうしたら浴衣みたいなものを服の上に着て現れて、「これから俺が『道灌』教えるからよ。お前、そこ座れ」って言うんだよ。

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「道灌」は立川流では一番初めに師匠に教わる噺。江戸城を作った太田道灌が雨の中で蓑(雨具)を借りようとして訪れた家でのやり取りが描かれる。内容はともかくこの噺で落語の基礎を叩き込む。

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談寛 じゃあ、それをテープに録って。

ダンカン 録らない。「これ覚えて1週間後に俺んとこに持って来いよ」って言うの。

談寛 口伝で、「俺の前でやってみろ」ってことですね。

ダンカン 録音できないと簡単にはやれないよ。でも師匠は「本読んだりして、覚えりゃいいんだ」って軽く言うんだよな。

談寛 最初は覚えるだけで必死ですよね。

ダンカン だけどそのままやっても面白くないと思って、俺なりに全部ギャグにしたんだよ。太田道灌が鶴の恩返しみたいに家に来たって流れにして、道灌は「絶対に開けないでください」って言うんだけど、家の者が我慢できずに戸を開けると、道灌は鶴になっていたというね。

談寛 道灌が反物織ってるんですね(笑)。

ダンカン 師匠は「誰がそんなこと教えやがった!」と言いだした。俺も、いや師匠、こっちのほうが面白いじゃないですかって返してね。

談寛 そういうことを師匠に言えるのがすごいですね(笑)。

ダンカン 「お前にはもう教えない」ってすねてたよ。だけどその後も「三人旅」を教えてくれたな。

談寛 気に入られてたんですね。

ダンカン 違うな。たぶん、変わった者がいてもいいんじゃないかって考えだったんだよ。師匠からすれば、俺は見たことない虫みたいだったんじゃない?

談寛 師匠のところには、どんなペースで行ってたんですか?

ダンカン 毎朝だよ。とにかく俺がいい加減だからさ、(弟弟子の)志の輔は俺に師匠と顔を合わせないでほしかったみたいでね。

談寛 初代、つい何かしちゃうから(笑)。

ダンカン 師匠が1階の書斎にいると、志の輔は「兄さん、2階のベランダでタバコ吸ってていいですから」と、師匠が2階にいたら俺は1階、一緒にならなきゃトラブルは起きないっていうことでね。

談寛 志の輔師匠、苦労されたんですね(笑)。でも、よくクビになりませんでしたね。

ダンカン クビになるのはその後だね。俺が(ビート)たけしさんのほうにばかり行くようになって、談志師匠のほうには時々顔出すくらいになってたころ。師匠のお付きの前座から電話があって「兄さん、すみません、師匠が電話しろって。クビだって言ってます」。俺、何かしたか? 「わかんないですけど」じゃあ、師匠は明日どこにいるの?聞くと、明日は取材でどこどこに何時からいると言うので、じゃあ時間合わせて菓子折りでも持ってくかとなった。

談寛 師匠は初代の顔を見たかったんだと思いますよ。

ダンカン そうなのかね。

ダンカン/1959年生まれ。落語家を志し、立川談志に入門。「立川談かん」を名乗る。その後、ビートたけし率いる「たけし軍団」に加わる。タレント、俳優、放送作家として幅広く活躍。所属事務所「TAP」専務取締役。

立川談寛/1981年生まれ。2008年、立川談志に入門。「立川談吉」を名乗る。11年、二ツ目昇進。12年、立川左談次門下へ。18年、立川談修門下へ。26年3月1日、真打昇進、「立川談寛」に改名。

立川談寛さんの「真打昇進記念独演会」(26年9月5日・北海道帯広市芽室町中央公民館大ホール)が故郷凱旋で開かれます。チケット販売情報及びその他の落語会スケジュール等の情報は、「談吉改め立川談寛公式HP」にて。https://dankan.net/

(対談構成/立川談寛)

配信元: アサ芸プラス

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