
イングランドと互角に渡り合った。7大会ぶりのW杯でベスト8。輝かしい成果だが、ここがノルウェー代表の終着点ではない【W杯】
北中米W杯で快進撃を続けてきたノルウェーの挑戦は、準々決勝で終わりを迎えた。
イングランドとの激闘は延長戦の末に1-2で敗戦。しかし、その90分、120分を通して見せた戦いは「敗退」という言葉だけでは到底表現できない価値があった。
7大会ぶりにW杯へ帰ってきたノルウェーは、ストーレ・ソルバッケン監督のもとでグループステージから堂々たる戦いを披露し、ラウンド16ではブラジルを撃破。長らく世界大会から遠ざかっていた国が、一気に世界の強豪へ返り咲こうとしていることを印象づけた。
勝ちながら成長してきたノルウェーはイングランドを相手に、現在の彼らが持ちうるすべてをぶつけた。
試合は前半のハイドレーションブレイクを境に、大きく流れが動く。ノルウェーは前線からの強度を一段階引き上げると、36分、パトリック・ベルグがハリー・ケインからボールを奪取。その瞬間に攻守が切り替わり、マーティン・ウーデゴーが迷うことなく左ワイドへ絶妙なパスを送る。アンドレアス・シェルデルップが左サイドから、美しい軌道を描くシュートをゴールへ突き刺した。
しかし、前半アディショナルタイムには、GKエルヤン・ニーランのゴールキックが上空のワイヤーに当たってしまったのか、いずれにせよ不運な形でイングランド側のボールとなる。アンソニー・ゴードンが左サイドから中央にパスを送ると、ジュード・ベリンガムが見事なファーストタッチからドリブルで持ち込み、最後は左足で同点ゴールを挙げる。好機を確実に得点へ結びつける勝負強さは、イングランドの底力そのものだった。
後半もノルウェーは一歩も引かなかった。55分にはウーデゴーのCKからアーリング・ハーランドが競り勝ち、こぼれ球をベルグがシュート。ジョーダン・ピックフォードに防がれたものの、トルビョルン・ヘッゲムが押し込んで勝ち越したかに思われた。しかし、その前の競り合いでハーランドのファウルが取られ、ゴールは認められない。
この判定はノルウェーにとって大きな痛手となったが、それでもチームは集中を切らさず、最後までイングランドと互角に渡り合った。しかし、トーマス・トゥヘル監督が率いるイングランドは、終盤の交代策で流れを引き寄せる。そして延長前半の93分、左のエベレチ・エゼからパスを受けたモーガン・ロジャーズのミドルシュートをGKニーランが手前に弾く。そのこぼれ球に素早く反応したベリンガムが押し込み、この日、2点目を挙げた。
イングランドの地力を前に一歩及ばなかったノルウェーだが、今大会の価値が失われることはない。豊富な運動量のベルグと共に中盤を支えたサンデル・ベルゲは「結果を受け入れるのは辛いですが、接戦の末に相手が勝利を手にしました。我々も最後まで攻め続け、やれることはすべてやり尽くしました」と胸を張り、次のように振り返る。
「ここに至るまでの道のりを思うと、やはり特別な誇らしさを覚えます。ベスト8進出までの道のりは、対戦相手の強さを考えても最も厳しいものだったと思います。チームとしての誇りも感じています。私たちは最高のチームと真っ向から渡り合う大舞台に立っています。ですから、本当に誇らしいですし、素晴らしい道のりでした」
7得点を挙げたエースのハーランドも、チームが残した足跡に確かな手応えを感じていた。「ノルウェーを世界に知らしめたこと、それが私にとって最も感慨深いことかもしれません。私たちはノルウェーの存在を広く知らしめることができました。今後は、何か確固たるものを築いていければ。大事なのは、この状態を維持することです」。その言葉には、今大会の躍進で終わらず、本当の意味で強豪国に名を連ねていく強い決意が込められていた。
現在25歳のハーランドはもちろん、22歳で1得点・3アシストとブレイクしたシェルデルップ、21歳のアントニオ・ヌサなど、さらに伸びしろがありそうなタレントが多い。4年後のW杯に向けて期待は膨らむなか、まず2年後のEUROが大きな舞台となる。今大会のベスト8は輝かしい成果だが、ここがノルウェー代表の終着点ではない。
取材・文●河治良幸
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