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街中で警察官とも談笑。ノルウェーサポの抜群のコミュ力。大会を大いに盛り上げた彼らの健闘もまた、選手同様に称えたい【W杯戦記】

街中で警察官とも談笑。ノルウェーサポの抜群のコミュ力。大会を大いに盛り上げた彼らの健闘もまた、選手同様に称えたい【W杯戦記】


 準々決勝で優勝候補のイングランドに敗れはした。だが、今回のワールドカップでノルウェーが見せた、ピッチ内外での活躍は、間違いなく大会を彩るものだったのではないだろうか。

 フランス、セネガルと同居する厳しいグループを2位で突破したノルウェーは、ラウンド32でコートジボワールを下すと、続くラウンド16ではブラジルを撃破。ベスト8進出は、ワールドカップでの同国史上最高成績である。

 アーリング・ハーランドという切り札を擁し、強豪を下して勝ち上がる様は、ルカ・モドリッチを擁し、2018年ワールドカップで準優勝したクロアチアや、ガレス・ベイルを擁し、2016年ユーロでベスト4に進出したウェールズといった、伏兵の躍進を想起させた。

 また、波に乗る勢いを感じさせてくれたのは、チームだけではなかった。

 ノルウェー対ブラジルの試合前後のことである。ちょうどその時期、アメリカ建国250周年のイベントに合わせ、アメリカ海軍がニューヨークに集結していたとあって、マンハッタンでは自由時間をもらった水兵の姿を頻繁に見かけた。

 と同時に、スポーツバーの店先などで、彼らと楽しげに会話するノルウェーサポーターの姿もまた、よく見かけたのである。

 コミュニケーション相手は、水兵だけではない。街を警備する警察官と談笑する様子は、どう見ても道を聞いているだけとは思えない。どうやらノルウェーサポーターは、抜群の“コミュ力”を備えているようである。

 概してヨーロッパ各国のサポーターは、UEFAチャンピオンズリーグをはじめとするヨーロッパタイトルがあるため、サッカー観戦のために他国へ行く機会が日常的にある。

 対照的に日本は、最近でこそAFCチャンピオンズリーグがあり、だいぶ状況は変わってきているとは思うが、今回のワールドカップも含め、海外でのサッカー観戦と言うと、いわゆる海外旅行と同様の、どこかかしこまった特別感がまだまだあるように感じる。

 だが、ノルウェーのサポーターは、まるで旧知の友人とでも話すように、ニューヨークの人たちと触れ合い、28年ぶり出場のワールドカップを楽しんでいた。赤いユニホーム姿は、それだけで目立つのだが、彼らの振る舞いは実に自然なのだ。
 
 そんな楽しげなノルウェーサポーターを象徴するのが、今大会ですっかりおなじみになった“バイキング・ロウ”である。

 2016年ユーロをきっかけに、アイスランドの“バイキング・クラップ”が広く知られるようになったが、太鼓の音に合わせて、手を叩く(クラップ)代わりに船を漕ぐ(ロウ)から、バイキング・ロウというわけだ。

 サポーターが試合中の応援に使っていた太鼓を、チームスタッフがスタンドによじ登って受け取ると、ハーランドやマーティン・ウーデゴーがそれを「ドン、ドン」と叩いて、みんなで「ウー!」。

 試合後、赤く染まったスタンドの一角が、掛け声に合わせて波打つ様は壮観だった。

 ノルウェーは今大会、ピッチ内外で強烈なインパクトを残し、マイアミを最後の寄港地として航海を終えた。陽気で朗らかでコミュ力が高いサポーターがいなくなってしまうのは寂しいが、大会を大いに盛り上げた彼らの健闘もまた、選手同様に称えたい。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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