
「自身の居場所を見つけられていない」なぜ世界屈指のMFペドリが先発から外れたのか。スペイン代表のベルギー戦を母国記者はどう見た?「誰一人として代えがきかないわけではない」【W杯コラム】
デ・ラ・フエンテ監督が率いる代表チームを体現する存在として、ミケル・メリーノ以上の適任者はいない。リオネル・メッシやキリアン・エムバペ、アーリング・ハーランド、ハリー・ケインのような絶対的な得点源がいないスペインは、特定のストライカーのためにプレーするチームではない。
彼らのフットボールに意味を与えているのはメリーノであり、ダニ・オルモやパウ・クバルシといった、より匿名性の高い選手たちである。ワールドカップ(W杯)というアルバムを完成させるためには、こうした支え役の存在は欠かせない。
ポルトガルを沈め、ベルギーをも破ったメリーノの得点が、スペインをフランスとの準決勝へと導いた。試合終盤に生まれた2―1とするゴールは、このチームを彩る忍耐と粘り強さ、そして互いへの信頼感の結晶であり、ベルギーを絶望へと突き落とした。ロサンゼルスでの一戦で、優勝候補に相応しい権威を見せつけた。
すべての選手が重要な役割を担っており、それでいて誰一人として代えがきかないわけではない。世界屈指のミッドフィルダーであるペドリでさえ、フィットするのには苦戦している。このバルセロナの司令塔は、大会が始まってから自身の居場所を完全に見つけられていない。
ベルギー戦で彼をベンチスタートにした指揮官の選択は気まぐれではなく、純粋な戦術的判断である。それはラ・リーガやチャンピオンズリーグとはまた異なる、2024年のEUROを制覇した成功体験に基づいている。
現状ではファビアンのほうがよりロドリとオルモと共鳴し合ってプレーしている。単なるポゼッションや創造性といった概念以上に、縦への推進力と得点力を主武器とするプレーの相性が良いからだ。その証となったのが先制ゴールだ。
ラミネ・ヤマルとのパス交換で右サイドを突破したペドロ・ポロのクロスをオルモがダイレクトで合わせ、クルトワが弾いたこぼれ球をファビアンが蹴り込んだ。スペインの優位性を証明し、逆に劣勢を強いられていたベルギーにとっては報いともいえる一撃となった。
ベルギーのルディ・ガルシア監督は、デ・ブライネやジェレミー・ドクといったチーム屈指のタレントを頭から起用しながら、攻守の狙いが曖昧なスタメンを構成した。自陣でティボー・クルトワの周りに強固なブロックを築いて耐えていたが、ファビアンにゴールを許しその正当性を失った。
しかしその後、ヤマルの猛攻を凌ぎ切ると、一瞬の隙を突いて同点に追いついた。ティモシー・カスターニュが右サイドから上げた正確なクロスに、シャルル・デ・ケテラーレが頭で合わせた。190センチを超える高さとクバルシに競り勝ったポジション取りが決め手となり、ウナイ・シモンの連続無失点記録をストップさせた。
主導権を握りながらも決定機を活かせずにいたスペインに対し、効率的なベルギーはわずか一度の決定機で試合を振り出しに戻した。ハーフタイムを挟んでも失点の動揺は残っていたが、ペドリとフェラン・トーレスがピッチに入ると、本来の緻密なパスワークを取り戻した。
ヤマルのドリブルが阻まれるなか、スペインの攻撃はラストパスの精度を欠いて、左脚の負傷で途中交代したクルトワに代わって緊急出場となったセンヌ・ラメンスの壁を打ち破れない時間が続いた。
誰もボールを足元に吸い付かせたままペナルティエリアへ侵入できないなか、均衡を破る解決策となったのはクバルシのミドルシュートだった。ラメンスがこれをキャッチしきれず、こぼれ球をメリーノが押し込んだ。
エゴのない集団に解放感をもたらすゴールだった。W杯で2度目の準決勝進出を決めたスペインは、大本命に名乗りを上げているフランスと真っ向から渡り合う構えだ。
文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸
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