
アイドルユニット・ACEes(浮所飛貴、那須雄登、作間龍斗、深田竜生、佐藤龍我)のアリーナツアー「ACEes Arena Tour 2026 "V"」の東京公演が、東京・有明アリーナにて開催された。7月10~12日の3日間、計6公演で9万人を動員したライブから、彼らの凄まじい気迫に圧倒された12日昼公演の模様をレポートする。
■“V”に6つの意味を込め、彼らの現在地と未来を描き出す
まずは断言したい。今回のライブは、彼らの“現在地”だけでなく、その先にある“目指す未来”までも鮮やかに描き出したステージだった。美しい羽根のようなロゴデザインの“V”には、VENTURE(冒険/企て)、VERSUS(対峙/競演)、VIRAL(拡散/中毒性)、VEIN(血脈/DNA)、VANGUARD(先駆者/先陣)、VORTEX(渦/熱狂)という6つの意味が込められている。これがそのまま6つに区切られた各ブロックのテーマとなっており、緻密に組み上げられた構成とセットリストからは、彼らの並々ならぬ気合が伝わってきた。
そんな6つの“V”をモチーフに、5人のクールな表情を切り取ったオープニング映像が流れると、場内の熱気は一気に上昇。颯爽と登場した5人を、ACEee(ファンの総称)がありったけの歓声で迎える。オリジナル曲「PROLOGUE」から始まった1stブロックのテーマは「VENTURE」。深田竜生が「行くぞ有明!」と叫べば、浮所飛貴は「ヘイ有明! 飛べ!!」と呼びかけ、作間龍斗は「有明、かかってこいよ!」と煽る。5月31日で活動を終了した嵐のラストツアーにバックダンサーとして出演していた彼ら。「Troublemaker」では、本家の嵐さながらにメンバー同士でハートを作り、隣の人の肩に手を置いて踊る振り付けでもハッピーに沸かせた。一転して「Acing out」では前衛的かつ激しいダンスで圧倒。特殊な靴で床を蹴ると火打ち石のように光る鮮烈な演出も相まって、まさに観客を新たな“冒険”へといざなうような開幕となった。
■佐藤はサックス、浮所&作間はフライング…一人一人が半年間の特訓を
暗転した場内に残るのは、パワフルなダンスを終えたばかりのメンバーの荒い息遣い。そこから休む暇なく登場したのが佐藤龍我だ。今回のライブは、一人ひとりが半年間の猛特訓を乗り越えて磨き上げたパフォーマンスが披露されるのも大きな見どころで、「VERSUS」がテーマの2ndブロックでは、佐藤のサックスと浮所&作間のエアリアル(シルクフライング)がお披露目された。
一番手となった佐藤龍我は、まだ少し息が上がった状態でセンターステージへ進み、サックスを肩にかけ、黄色のスポットライトを浴びながら演奏。その歴の短さを思わせない落ち着いた佇まいで、芳醇な音色を響かせた。自然に拍手が沸き起こり、喜びを隠しきれない表情でサムズアップをする姿も佐藤らしいシーンだった。
その後、観客の度肝を抜いたのは、浮所と作間による地上約8メートルの高さでの命綱なしのエアリアル(シルクフライング)だ。センターステージには天井から真っ赤なシルクが垂れ下がり、2人がそれを腕力だけでよじ登る。さらに、肉体を極限まで使った高速回転などの大技が成功すると、息を呑んで見守っていた客席から大きな拍手が。「君と…Milky way」では作間の美しいピアノ演奏にのせて浮所がソロで宙を舞い、楽曲の幻想的な世界観と空中演技が美しく溶け合うシーンを生み出していた。
■全員うま年、メンバー愛あふれる“馬コーナー”
3rdブロック「VIRAL」は、映像から続くバラエティ色の強いコーナーで会場を笑顔いっぱいに満たす。5人全員が午年であることから馬の着ぐるみを頭に被って登場し、メンバー2人が互いに褒め合い、照れたほうが負けという「照れたらいやん 愛してるゲーム」が繰り広げられた。この公演で対戦したのは、作間と深田。なかなか決着がつかなかったが、“接触あり”のルールが追加された直後に深田が「作ちゃん(作間)のやさしさに僕はいつも助けられています。愛してるよ」と告白&バックハグをしたターンで作間が思わず吹き出す。敗者の「特別レッスン」として作間が深田以外のメンバーとファンにも愛の言葉を伝えるなど、大盛り上がりのひと幕となった。
その楽しい空気のまま、ACEes初のメンバー紹介ソング「Say it! えいし~♡」へ。作間がレクチャーしたコール&レスポンスで全員がひとつになり、「幸せを増やしていこう」というハッピーなフレーズが会場を包む。SNSなどで話題となった「希望の丘」(King & Prince)の「差し上げます/頂きます」の掛け合いも完璧。まさに“VIRAL”のテーマどおり、会場中へ楽しさが連鎖していった。
■大階段の頂上で歌う名曲「Let's Go To Earth」
後半の幕開けは、4thブロック「VEIN」から。“血脈/DNA”の意味を宿したこのブロックが、本公演の核とも言える場所だった。浮所が「後半戦は僕らの原風景をたどるコーナーからスタートです!」と紹介すると、メインステージの巨大LEDモニターが回転して、天井まで届きそうなほどの大階段が出現。メンバーカラーのきらびやかなジャケットを羽織った5人が「Let's Go To Earth」を歌い上げる。帝国劇場で繰り返し披露されてきた、ファンにはなじみ深い楽曲がまさか2026年のこのタイミングで聴けるとは――。華やかな旋律と希望に満ちた歌声、そして階段を彩る無数の光に、大きな感動が込み上げた。
その後は、まだあどけない入所当初の5人の顔写真が映し出され、おのおのの「アイドル人生が始まった曲」や「初めて大役を任された曲」がメドレーで披露されていく。嵐やNEWSの楽曲など、彼らのファンにとっても思い入れのある楽曲が並び、大切なターニングポイントの景色と現在がエモーショナルにシンクロする演出となっていた。
5thブロック「VANGUARD」では、スタンド席をトロッコで周回。至近距離で次々とファンサービスを届け、SMAP、嵐といった先輩たちのヒット曲でお祭り騒ぎのように盛り上がる。最終ブロック「VORTEX」では、さらに体力を極限まで使うステージへ。深田がメインステージ上部に置かれた和太鼓の前に立ち、力強いバチの一打を紡ぐ。さらに本人の前方にも複数の太鼓が並び、それらを複雑に連打する勇ましい姿に見惚れる。そのビートに合わせて、迫力のブレイキンを披露したのは那須雄登だ。360度の視線を集め、高難度の回転技や、メリハリのあるポーズを決めていった。
そこから間髪入れずに始まった嵐の「P・A・R・A・D・O・X」は、ACEesオリジナルの振り付けで披露。仲の良さやチームワークまでもが伝わってくるようなダンスで、後半は深田の和太鼓と那須のブレイキンも混ざり、パフォーマンスをさらに立体的に盛り上げた。
本編ラストは、前日11日に初回放送を迎えた、深田主演・浮所出演のドラマ「夏色の雲が恋と嵐をまきおこす」(テレビ朝日系)の主題歌「真夜中のZOO」を。爽やかな夏らしいアイドルソングが会場いっぱいに広がり、ラストはセンターに立った深田が高く手を掲げる。輝きときらめきに満ちた空気でライブは締めくくられた。
■「一日一日を無駄にせず、まずはデビュー」力強く宣言
この日の終盤の挨拶は、いつもの彼らと少しモードが違っていた。自分たちの事務所の良さに改めて目を向け、自分たちにその“伝統”の血が流れていることを強い言葉で具体的に口にしていたのが印象的だった。
浮所は「この事務所のスタイルだったり伝統を引き継ぐことができるのは『この事務所の人間だけ』だと思ってます。それを我々ジュニアが、ACEesが引き継ごうと思っています。いつか僕たちがデビューしたとき、世の中に出たとき、一緒に芸能界荒らしに行きましょう!」と力を込め、作間は「1日1日を無駄にせず、まずはデビュー。皆さんと一緒にデビューします。いこうぜ! いい景色見ようぜ!」と言い放った。
“デビュー”という目標を、ただの夢ではなく、必ずたどり着くべき未来として言葉にした彼ら。その意思を、言霊を強く信じるように口にした姿に胸が熱くなった。では、そのために自分たちは何を武器にして何を大切にしていくのか――。たどり着いた一つの答えが、この事務所が積み重ねてきた歴史と伝統を受け継ぐことだったのだろう。
アイドルとしての華やかさもスター性も、そして高いパフォーマンス力も、すでに十分すぎるほど備えている彼ら。だからこそ“デビュー”というスタートラインに立つ瞬間は、誰も予想できないほど大きな飛躍になるはずだ。そう、長い助走を経たぶんだけ――。眩い光が差し込む、その扉が開く日は、そう遠くないのではないだろうか。
◆取材・文=川倉由起子

