阪神の"最大のライバル"は巨人でもヤクルトでもなく「雨」だった。
セ・リーグのペナントレースは7月13日現在、僅差での混戦が続いている。7月12日時点で阪神は43勝35敗1分、勝率.551で首位に立つが、2位巨人とはわずか1ゲーム差、3位ヤクルトとも3.5ゲーム差という大混戦だ。連覇を目指す阪神の最大の敵は、巨人、ヤクルトではなく、やはり「雨」かもしれない。
「阪神球団は6月29日、左腕リリーバーのアンダーソン・セベリーノの獲得を発表しました」(在阪記者)
夏場の連戦を乗り切るには、救援陣の奮闘が必須だ。
「セベリーノはメッツ3Aですが、防御率は1点台。メッツは優勝争いから完全に脱落し、セベリーノはメジャー昇格のチャンスを失っていました。DeNAもアタックしたとも聞いています。160キロ近い剛球が武器です」(米特派記者)
セベリーノの超速デビューと工藤泰成の球団最速記録
そのセベリーノが、来日からわずか1週間というスピードで動き出した。通常ならシート打撃を経て実戦へ進むところを、7月10日のファーム・オリックス戦(杉本商事)でいきなり実戦登板。2―0の7回に登板すると1回1安打無失点、17球を投げて最速157キロを2度計測し、2三振を奪ってみせた。先頭打者を直球のみで空振り三振に仕減めると、パ・リーグ本塁打王経験のある強打者からもスライダーで連続三振を奪う内容で、「思っていたより良い感じで投げられた」と手応えを口にしている。
9日時点でブルペン陣の救援防御率がリーグワーストの3.52という現状もあり、首脳陣は早期昇格を待ち望んでいる状態。14日から始まる中日・広島との6連戦の最中にも、1軍デビューの可能性が出てきた。
また、藤川球児監督(45)が期待を寄せているのが、2年目の右腕・工藤泰成(24)だ。セ・パ交流戦(6月16日・対西武)では、3者連続3球三振の「イマキュレートイニング」も達成。勝ちパターンでの救援でも使えることが立証され、夏場はこの工藤とセベリーノがキーマンとなりそうだ――という記事執筆時点の見立ては、その後さらに現実のものとなっている。
7月11日、工藤は二死満塁の場面で投じた一球が163キロを計測。藤浪晋太郎が持っていた球団の日本人選手最速記録162キロを更新し、外国人選手を含めても球団最速タイに並んだ。しかもその翌日、7月12日にはプロ初勝利も記録。剛速球だけでなく荒々しいフォームも武器になっているとの評価もあり、専門家からは「いずれこのピッチャーが抑えになるんじゃないか」との声も出ている。
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13度目の雨天中止危機と秋口に迫る地獄の連戦日程
それでも、藤川監督の表情が晴れない。
「7月1日の中日戦を雨で流した時点で、今季の雨天中止は11度目。セ・パ交流戦の中止試合はどうにか消化させましたが、残り8試合中7試合が振替日未定のまま。9月のペナントレース佳境の真っ只中、強行に連戦日程を組むしかありません」(NPB関係者)
7月4日の広島戦が中止となり12度目、未消化試合は9試合に増加。追い打ちをかけるように7月5日も広島戦が2日連続で中止に見舞われ、13度目の危機を迎え、未消化試合は10試合に達する見込みとなっている。
過去の類似例として、最下位に終わった2018年の金本政権時代は年間20度の雨天中止があり、CS進出の可能性を残しながら9月26日~10月9日まで球団史上最長の14連戦が組まれた前例がある。今季もこれに近い過密日程が現実味を帯びてきた。
夏場を乗り切っても、ペナントレース終盤で連戦に次ぐ連戦となるわけだ。
「台風到来が本格的となれば、さらに雨天中止が増えるでしょう。『今年は台風が多い』との予報も出ており、日程を組むNPB営業サイドは頭を抱えています。各球団とダブルヘッダーの相談もするかもしれません」(同)
また、振替日が決まった試合だが、5月21日の中日戦(甲子園)が9月14日になった。当初の日程表を見ると、同13日は甲子園で中日戦が入っていた。13、14日が中日2連戦となる。問題はここからだ。
同15日から17日までが"予備日"として当初から空けられていたので、この3日間に未定試合が組み込まれる可能性も。仮に9月7日の移動日にも試合が組み込まれた場合、阪神は9月1日から23連戦となるが……。そうならないためにも10月に分散させての振替を検討中だというが、その場合、10月のCS(クライマックスシリーズ)直前まで連戦となる危険性も生じる。
なお、NPBは例年7月下旬にまとめて各球団の追加日程を発表しており、昨年は7月29日に15試合分の振替日程が発表された。今年もそろそろ全容が見えてくるタイミングで、リーグ最終戦の9月23日ヤクルト戦から10月10日開幕予定のCSファーストステージまでの間に、これらの未消化試合をどう組み込むかが焦点となっている。
本当に大丈夫か? 救援投手を増員し、工藤とセベリーノという新たな武器を手にしても、「雨」という敵だけは、投げても打っても抑えられそうにない。
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