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メッシ、エムバペも外した「PK」、元選手や各国メディアが失敗の要因を考察「GKと駆け引きするスタイルは…」「主流の“フェイント助走”は…」【W杯】

メッシ、エムバペも外した「PK」、元選手や各国メディアが失敗の要因を考察「GKと駆け引きするスタイルは…」「主流の“フェイント助走”は…」【W杯】

北中米ワールドカップは準決勝を迎え、優勝争いや得点王争いが佳境に入っている。大会を語る上で欠かせないテーマとなっているのがPKだ。今大会も11メートルの勝負が数々のドラマを生み出してきた。

 今大会でとくに印象的だったのは、大会を通してここまでゴールを量産し続け、熾烈な得点王争い展開しているリオネル・メッシ(アルゼンチン代表)とキリアン・エムバペ(フランス代表)という現代最高峰のスーパースターが、いずれもPKを失敗していることだ。

 各国メディアは2人のPK失敗に強い関心を寄せ、絶好の得点機でゴールネットを揺らすことができなかった原因を検証。メッシについては、アメリカのスポーツ専門サイト『The Athletic』が、グループステージのオーストリア戦でPKを枠外へ外した場面を詳しく分析している。

「メッシは(オーストリア戦終了時点で)W杯で7本のPKを蹴り、そのうち3本を失敗している。誰もが驚く数字だが、本当に驚くべきことなのか?」と題した記事で、ノルウェースポーツ科学大学のスポーツ心理学教授ガイル・ヨルデット氏(サッカーのPK戦における心理学の世界的権威)の見解を紹介した。

「GKの動きを見てから蹴るキッカーに対し、GK側も十分研究していることを示す一例だ。メッシはGKを見続けるため、その分だけボールから視線が離れ、どうしても精度が落ちてしまう」

 またヨルデット教授は、「蹴る途中でGKが自分の狙った方向へ飛ぶと判断したため、ポスト際へより正確に狙おうとしてしまい、その結果ボールは枠の外へ外れた」と分析。またメッシのPKにおける変化にも言及し、「キャリア初期には短い助走から素早く蹴ることが多かった。笛が鳴ってから蹴るまでの時間が、早すぎるほど成功率は下がる研究結果もある」とし、「相手GKとの駆け引きを重視するスタイルは、時として自身の精度を犠牲にしている」と指摘している。

 一方、エムバペが準々決勝モロッコ戦で先制のチャンスだったPKをGKボノに止められた場面については、彼自身が「主審から『PKだ』と言われたので、VAR確認は終わったのか尋ねると『終わった』と言われた。そこでデンベレからボールを受け取り集中し始めた。しかし、その直後に『PKではない』と言われ、さらにボールを置き直した後に、また『やはりPKだ。ただ2分前のプレーをチェックするので待ってくれ』と言われた」と振り返り、「集中を乱されてしまった」と訴えたことが明らかになっている。

  フランス紙『Le Figaro』は、「決して、主審の対応が適切だったとは言えない」としながらも、「それでも最後はエムバペ自身の失敗だった」と結論付けているが、失敗した要因に言及したのが英国公共放送『BBC』だ。近年主流の「助走」に原因があるのではないかと提起している。

「細かなステップを繰り返す『スタッター(フェイント)助走』は、本当に賢い方法なのか? それとも失敗の原因なのか?」と問題提起。今大会ではエムバペだけでなく、メッシ、ブルーノ・ギマランイス(ブラジル)、ヨルゲン・ストランド・ラーセン(ノルウェー)、さらにはハリー・ケイン(イングランド)も同様の助走からPKを失敗していると振り返った。

 データによれば、そうした傾向は決して偶然ではないという。「今大会(PK戦を含む)でフェイント助走から蹴られたPKは26本あり(記事は現地時間7月10日公開)、そのうち成功は15本のみ。成功率は57%に止まった。一方、通常の助走で蹴られた35本では24本が成功し、成功率は68%だった。さらにPK戦を除いた通常のPKでも、失敗率は30%に達し、1966年以降では史上2番目の高さ。PK戦まで含めると失敗率は35%となり、こちらは同期間でW杯史上ワーストだった」という。

 記事では有識者のコメントも紹介され、元スコットランド代表FWのパット・ネビンは、「GKが昔より大型化し、身体能力も向上している。分析データも豊富で、キッカーの癖は全て把握されている。そのためキッカーはGKを逆方向へ動かそうとしてフェイント助走を多用するようになった。GKとの駆け引きは今や、“軍拡競争”のようなものだ」と語った。

 また、フランス人ジャーナリストのジュリアン・ローレンス氏は、エムバペの失敗について「、普段のルーティンが完全に崩れた結果だ。シュート自体も弱く、ボヌにとって止めやすかった」と指摘。元アイルランド代表MFのロイ・キーンは、「3分以上待たされるのは、キッカーにとって酷だ。時間が経つほど、プレッシャーはGKではなく、キッカーへと移る」と、VARによる中断が影響した可能性も認めている。

 フランスのサッカー専門サイト『SO FOOT』は、さらに踏み込んだ主張を展開。「もう奇抜な助走はやめよう!」という刺激的なタイトルの記事では、細かなステップや停止動作を繰り返す現在のPKスタイルを「実験の対象になっている」と表現。「失敗した時、滑稽さだけが残る」と厳しく論じている。

 同サイトは、2020年に発表された研究結果を引用し、「最も成功率が高い助走は2~5歩程度のシンプルなもの。余計な動作が増えるほど成功率は下がる」と紹介した。ただ例外もあり、その代表例として挙げられたのがネイマールだ。彼は「独特のフェイント助走を世界最高レベルで使いこなす数少ない選手である」と紹介。「しかし、誰もがネイマールになれるわけではない」と強調した。

 またリーグ・アンの複数クラブでプレーした元GKのバティスト・レネは、「GKはすでに、キッカーの動きを細かく研究している。フェイントを入れる助走にいちいち驚くことはない。むしろ、選手自身が余計なプレッシャーを背負っているだけだ」と証言。さらにデータ分析会社「Opta」のデータを引用し、「国際大会におけるPK成功率は76%だが、今大会で失敗した20本のうち9本はフェイント助走によるものだった」とし、「流行が必ずしも正解ではない」と結論付けている。

構成●THE DIGEST編集部

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配信元: THE DIGEST

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