キャッシュレス決済が身近な存在となった昨今。しかし、「現金を持っていないと落ち着かない」という人も少なくないだろう。
現在ネット上では、造幣局が11年ぶりに製造した「ある硬貨」に注目が集まっているのだ。
■11年ぶりの量産、話題にことの発端は14日、造幣局のXアカウントが投稿したポスト。
「久しぶりに1円を量産しています!!!」と綴られた投稿には20秒ほどの動画が添えられ、機械から大量の一円玉が放出されている様子が確認できる。
久しぶりに1円を量産しています!!! pic.twitter.com/kJNTTlBrqF
— 造幣局 (@JapanMint_IAA) July 14, 2026
動画内では「現在、平成27年度以来11年ぶりに、1円の量産を行っています」「平成28〜令和7年の間、1円の製造は販売用貨幣セット分のみでした」という説明も表示されていた。
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■「令和の一円見たことなかった」インパクト満点の光景は瞬く間に話題となり、当該のポストは投稿から数日間足らずで6万件もの「いいね」を獲得。
画像提供:独立行政法人造幣局Xユーザーからは「メダルゲームの映像かと思ったら、まさかの造幣局だった」「知らなかった。そんなに長い間、作られてなかったのか…」「そう言えば、令和の一円玉って見たことないな」といった驚きの声が多数寄せられていた。
そこで今回は、このタイミングで一円硬貨を製造することとなった経緯について、造幣局および財務省に話を聞いてみることに。
まずは動画の内容を造幣局に確認したところ、今回行われたのは11年ぶりの「一般流通貨幣の製造」であると判明。こちらを理解するため、動画内にも出てきた「販売用貨幣セット」について説明しよう。
こちらの詳細について、造幣局の広報担当者は「未使用の五百円から一円までの6種類の通常貨幣と、銅や銀でできた年銘板をケースに組み込んだものになります。なお、プルーフ貨幣と呼ばれる収集型貨幣を同様に組み込んだプルーフ貨幣セットもございます」と、説明している。
なお、貨幣セットに組み込まれる貨幣と、市中に流通する貨幣のデザインは同じものだという。そのため「量産」という意味では11年ぶりの製造となる一円硬貨だが、過去10年の間にもこうしたセット用として毎年50万枚前後の枚数が製造されていたのだ。
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■財務省は「市中の枚数を考慮」して決定さて、実際に貨幣を製造するのは造幣局だが、その決定を下しているのが財務省である。
今回の取材に際し、同省の理財局 国庫課 通貨室の担当者は「貨幣の製造枚数は、それぞれの貨幣の市中での流通枚数を見て、年度ごとに計画を立てております。その際、年度途中で枚数を変更する場合もございます」と、説明。
一円硬貨の流通傾向については「平成15(2003)年以降、市中の流通枚数が年々減少傾向にありましたが、令和6(2024)年度以降は流通枚数が横ばいになりました」と、語っている。
「流通枚数の減少」は「使用頻度の減少」と置き換えると、イメージしやすいかもしれない。
一円硬貨の主な用途は「釣り銭」などの少額取引となり、市中から戻ってくる一円は摩耗していたりと、流通に適さない状態のものが多いという。加えて前出の通り、平成28(2016)年度以降は一般流通貨幣としての一円硬貨を製造していなかったこともあり、市中の枚数減少を考慮し、今年度の製造を決定したのだ。
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■2,000万枚製造の予定→6倍以上に変更担当者は「当初は2,000万枚製造の予定でしたが製造の目処が立ったため、現在は1億3,200万枚の製造を予定しています」と、説明していた。
また、近年はセルフレジが主流となりつつあり、店頭における「レジの台数」が昨今より増加している。そして、こうしたセルフレジは従業員が手打ちするレジと異なり、内部の釣り銭を「カートリッジ」単位で保管する必要があるのだ。
こうした傾向と、一円硬貨の主な用途が「釣り銭」であることを踏まえると、近年になって一円硬貨の使用頻度(需要)が高まった背景にも納得がいく。
近いうちに、我々の財布にも「令和八年」と記されたピカピカの一円玉たちがやって来ることだろう。
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■執筆者プロフィール秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)