
たたずまいというか、雰囲気というか、3次元になってしまうと...マスコットの勝負なら日本が圧倒的に勝利!【W杯戦記】
今回のワールドカップは3か国の共催ということで、それぞれの国をモチーフにした、3体の公式マスコットがいる。
カナダのメイプル・ザ・ムース、メキシコのザユ・ザ・ジャガー、アメリカのクラッチ・ザ・ボールドイーグルがそれだ。
FIFA公式サイトによれば、「彼らは人々の心を掴み、北米と世界中に祝祭を広げていく」のだという。
だが、あくまでも個人的な感覚ではあるのだが、今大会では、公式マスコットの姿を目にする機会がどうも少ない。
これまでの大会であれば、試合会場はもちろん、開催都市の街中でもポスターやバナーなどに描かれているのをよく見かけた。大会公式グッズを扱うショップでも、大小様々なぬいぐるみはもちろん、Tシャツやキーホルダー、ピンバッチなど、マスコット関連の商品はもっと多かった気がする。
ところが、今大会では、それらをあまり見かけない。
前回大会の公式マスコット、ライーブは、カタールの男性が身につける民族衣装をモチーフにしており、足がないため、いわゆる“着ぐるみ”が歩き回るということはなかった。だが、ショッピングモールには立像があちこちに置かれ、人気の記念撮影スポットになっていたし、大会を象徴する存在として、バナーなどもよく見かけた。
なかでも爆発的人気を呼んだのが、ライーブをそのまま頭にかぶるという格好の帽子である。メインメディアセンターに併設されたショップでも、大会序盤は山積みで売られていたのに、徐々にその数が減り、大会終盤は品切れ状態になっていた。
それほどの人気なのだから、使っている人も当然多い。試合会場のみならず、ドーハの街中でも、これをかぶっている人をよく見かけたものだ。
ワールドカップ史上に残る、オリジナリティの高いヒット商品、と言ってもいいのではないだろうか。
翻って、今大会のマスコットたちである。
試合会場で時々、3体が並んでファンとの記念撮影に応じているのを見かけたことはある。だが、そもそも目にする機会が少ないうえ、着ぐるみになってしまうと、たたずまいというか、雰囲気というか、とにかく率直な印象として、かわいさに欠けるのだ。
2次元のグラフィックで見ると、それぞれかわいらしいのだが、3次元になってしまうと...。
その点、日本のマスコット、たとえば、各Jクラブのマスコットはよくできているな、とつくづく感心する。
V・ファーレン長崎のヴィヴィくんは、サッカーダイジェスト本誌で特集が組まれるほどに、その愛らしさでよく知られているが、他にも人気のマスコットは数多い。全体的なバランスといい、しぐさといい、マスコットの役目が何かをよく分かっている気がする。
前回、アメリカのスタジアムの設備や見やすさが素晴らしい、という話を書いた。7万人収容規模で、これだけの観戦環境が整ったスタジアムは、残念ながら日本にはない。スタジアムの勝負なら、アメリカの圧勝だ。
しかし、マスコットの勝負なら、日本が圧倒的に上回る。海外で日本のアニメや漫画が人気なのも、基本的な部分で通じるところがあるからだろう。
そのクオリティの高さを、アメリカの人たちにも、ぜひ感じてもらいたいものである。
取材・文●浅田真樹(スポーツライター)
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