
松岡茉優が主演を務める映画「男ともだち」が11月6日(金)に公開。このたび、場面写真が解禁され、劇中の絵画を手掛ける画家・田中千智氏と、原作者・千早茜氏からのコメントが到着した。
■男女の曖昧で確かな関係性を描く物語
原作は直木賞作家・千早茜による同名のロングセラー小説。京都に暮らす29歳のイラストレーター・神名(かんな)と大学時代の先輩・ハセオの、男女の曖昧で確かなつながりを描く。
神名は仕事もプライベートも順調に見えるが、実は描きたいものを見失い、惰性と不毛な恋愛に逃げる日々を送っている。ある日突然、そんな神名の元にハセオから電話が入り7年ぶりに再会。あの頃も今も変わらない2人だけの温度で接してくれる“男ともだち”と過ごす3つの夜が、神名の人生を大きく動かしていく。
松岡は主人公・神名を演じる。才能はあるが、身勝手で人間関係に不器用なクリエーターの、孤独や不安定な心情を繊細に体現。30歳を目前に人生に行き詰まるキャラクターをリアルに演じ切る。
ハセオを演じるのは成田凌。出会ったころからなぜか神名を深く理解し、独特の距離感で接する“男ともだち”として唯一無二の存在感を放つ。
7年ぶりに再会を果たす神名とハセオと同じく、松岡と成田も7年ぶりの共演。京都、福井、広島で撮影され、メガホンを取る三島有紀子監督が、登場人物の心の奥底にある揺らぎや体温をロングテイクで見つめ続け、その場に流れる神名とハセオの時間を捉える。
■場面写真が解禁
松岡演じる主人公のイラストレーター・神名の創作する姿を捉えた場面写真と、絵画が解禁となった。この「グリム童話特集 赤ずきん」の挿絵は、本作で絵画の監修、提供、指導を務めた画家・田中千智氏が本作のために描きおろしたもの。
挑発的にこちらを見つめるオオカミと、その隣に佇む赤ずきんの複雑な表情は、神名の心の奥底にある揺らぎや葛藤を感じさせる。
田中氏は、福岡県在住の画家。アクリル絵具を使ったフラットな漆黒の背景に、鮮やかな油彩で前景を描くという独自の手法を開拓、笑みとも怒りともとれる人物の表情、漆黒の中にきらめく風景など、相反する要素が組み合わされ、観るものに強い印象を与え、その想像力をかきたてる。
国内外で多数の個展・グループ展のほか、書籍の装丁画や壁画など、幅広い活動を行っている。 本作の原作者・千早茜氏の著書「正しい女たち」の装丁作画も手掛けているが、田中氏が描く人物の眼差しと黒く塗りつぶされた背景に強烈なインスピレーションを得たプロデューサーと三島監督が熱烈にオファー、本作への参加が実現した。
■絵画制作・指導・監修:田中千智氏からのコメント
映画の中で描かれる絵の制作に参加させていただき、とても光栄でした。
普段は一人で制作することが多いので、多くの方と一つの作品をつくり上げる映画の現場は、新鮮で刺激的な経験でした。
撮影では、監督や俳優、スタッフの皆さんが、それぞれの表現に真摯に向き合い、作品を作り出していく姿がとても印象に残っています。
映画も絵画も、すべてを描き切ることはできないからこそ、心に残るものがあるのだと思います。
表現は違っても、その余白が見る人の中で時間をかけて育っていくところには、どこか通じるものがあります。
この映画は、描かれたものだけでなく、描かれなかったものや、その先にある時間まで思いを巡らせたくなる作品です。時間が経っても静かに心に残り、何度でも向き合いたくなります。
■原作者:千早茜コメント
京都での撮影を見学させてもらったとき、神名と彰人が暮らす京町家から、かつて私が住んでいた町家が見えました。デビュー作を書いていたときに暮らしていた家で、京町家の土間の匂いと共に二十代の自分がよみがえりました。
空気の匂いも、肌触りも、痛みもある映画だと思いました。 他人事とは思えない映画だと。
でも、それは私が原作者だからではなく、三島有紀子監督をはじめ、俳優さん、スタッフさんたちが細やかに映画の世界を創りあげているからだと思います。
誰もが身に覚えのある、強くなりたいと願う弱さも、勘違いの不幸も、生きにくさも、情けなさも、苛立ちも、まるで三島監督はすべてを知っているかのように、鮮やかに残酷に描いていました。
孤独で、無様で、それでも、なにかを掴もうと足掻いていた人。今も、足掻いている人。そんな人たちの救いになる映画だと思います。
何者でもなかった私の二十代も、救われた気がしました。ありがとうございます。

