現地時間7月14日、北中米ワールドカップの準決勝でスペイン代表がフランス代表を2-0で下し、優勝した2010年南アフリカ大会以来となる決勝進出を決めた。
優勝候補同士の激突として大きな注目を集めた一戦だったが、試合は終始スペインが主導権を掌握し、20分にラミネ・ヤマルがペナルティーエリア内で倒されて獲得したPKをミケル・オジャルサバルが冷静に沈めて先制すると、後半にはペドロ・ポロがダニ・オルモとの鮮やかなワンツーから追加点。フランスはキリアン・エムバペ、ウスマンヌ・デンベレ、マイケル・オリーセら豪華攻撃陣を揃えながらも決定機をほとんど創れず、「ラ・ロハ」が危なげなく逃げ切った。
この完勝劇に、各国メディアからはスペインの完成度を称賛する声が相次いだ。米スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、「優勝候補フランスが崩壊、スペインが悠々と決勝進出」と題した記事で、「五分五分と評された欧州の強豪同士の対戦だったが、スペインは試合の大半を支配し、勝利は十分に値するものだった」と総括している。
同メディアは勝敗を分けた最大の要因として中盤の力関係を挙げ、「スペインは自らの長所である卓越した技術力を最大限に活かす一方、それによってフランス最大の武器も封じ込めた。ボールを長時間保持し、失えば瞬時に奪い返す。その徹底した戦い方が、フランスのビルドアップを完全に機能不全へ追い込んだ」と振り返った。
続けて、「フランスのMFアドリアン・ラビオとオーレリアン・チュアメニは、スペインの中盤に、数でも内容でも圧倒された」と指摘するとともに、「他のチームには真似できないレベルのボール保持とプレッシングこそが、フランス最大の武器であるエムバペやデンベレ、ブラッドリー・バルコラらのスピードを完全に消し去った」と分析している。
また、スペイン守備陣への評価も極めて高く、「ここまで失点はわずか1。フランス戦でGKウナイ・シモンが見せ場を迎えたのは難しくないセーブ3本だけだった。ポロ、ロドリ、エメリック・ラポルト、パウ・クバルシ、ファビアン・ルイスはデュエル34回中25回に勝利し、44回もの守備アクションを記録した。対してエムバペは、11回のデュエルで勝利は2回、シュート3本の得点期待値は0.08。フランス全体でも得点期待値はわずか0.3に終わった」と、大会最強と謳われた相手攻撃陣を封じ込めた仕事ぶりの偉大さを強調した。
英国公共放送『BBC』は、「特別なチームが、才能溢れる個の集団を打ち破った」として、「大会を席巻してきたフランスは、エムバペ、デンベレ、オリーセら世界屈指の攻撃陣を擁しながら、スペインの前では成す術がなかった。どうすればフランスを倒せるのかという議論が続く中、スペインは自分たちが欧州王者である理由を改めて証明した」と、「事実上の決勝戦」と言われた一戦の勝者に賛辞を贈っている。
記事の中では、元イングランド代表のクリス・サットン氏が「スペインは、フランスを粉砕した。これまで私はフランスを称賛してきたが、この日は技術でも運動量でも、全てにおいて相手に上回られた」、元アイルランド代表のロイ・キーン氏は「フランスはチームとして戦えていなかった。一方のスペインは、見ていて本当に楽しいチームだった」と、その差を表現した。 同メディアは、スペインが残した数々の「数字」にも注目。これで彼らは、国際Aマッチ37試合無敗となり、イタリアが保持していた欧州記録に並んだ他、W杯史上初となる1大会で6試合のクリーンシートも達成。さらに、フランスの得点期待値0.3は、準決勝としては1994年アメリカ大会以降で最少だったという。
一方、アメリカのスポーツ専門サイト『The Athletic』は、「優勝候補と目され、世界最高の攻撃陣を擁し、ディディエ・デシャン監督の有終の美まで期待されていたチームが、なぜここまで崩れたのか?」と、敗れたチームの視点から3大会連続の決勝進出を阻まれた一戦を振り返っている。
記事ではまず、MFラヤン・シェルキの「これは大きな失望だ。我々はスペインに負けたのではない。自分たち自身に負けた。技術でも、戦術でも、デュエルでも負けた」との自己批判、そして封じ込まれたエース、エムバペの「試合開始から3対2でプレスをかけてしまった。それでは駄目だ。スペイン相手なら、マンツーマンで行かなければならなかった」との反省コメントが紹介された。
続けて同メディアは、「大会を通じて猛威を振るってきた攻撃の4枚看板は、最悪のタイミングで沈黙した」と指摘。「オリーセはロドリらに封じ込められ、デンベレもほとんど存在感を示せず、バルコラも持ち味を発揮できなかった。フランスは82分まで、枠内シュートすら記録できなかった」と、その無力ぶりを強調している。
そして、フランスのサッカー専門『SO FOOT』は、「『レ・ブルー』に再びスペインからの教訓」と題した記事で、自国代表チームがEURO2024準決勝(1-2)、ネーションズ・リーグ準決勝(4-5)に続いてスペインに敗北を喫したと伝え、以下のように綴って嘆いた。
「これで、直近11試合で8敗目である。もはや『ガラスの天井』と呼んでも良いほどだ。もちろん、審判への不満を口にする者もいるだろう。しかし、試合から数時間後に残った感情はただひとつ。この準決勝は、スペインの優位性を改めて証明した試合だったということだ」
同メディアは、「フランスに欠けていたものを、スペインは全て備えていた」と総括。「大会が進むほど、スペインは攻守両面で完成度を高めている。狭い局面でボールを失わず、プレッシャーを外しながらパスを繋ぎ、守っても世界最高のアタッカーたちを封じ込めた」と、その組織力を高く評価し、敵将ルイス・デ・ラ・フエンテの「我々は世界有数のチーム(フランス)と戦った。しかし彼らが相手にしたのは、世界最高のチームだった」との言葉を紹介している。
構成●THE DIGEST編集部
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