2015年のドラフトで1巡目30位指名を受けたゴールデンステイト・ウォリアーズで10シーズンを戦い、その間3度の優勝を経験(2017、18、22年)。完全フリーエージェントとなった昨季はニューオリンズ・ペリカンズに所属していたケボン・ルーニーが、ロサンゼルス・レイカーズと1年契約を結んだことが発表された。
UCLA出身で、プロ入り後も毎年シーズン終了後はカレッジに戻って個人トレーニングを積んでいたルーニーにとって、ロサンゼルスはいわば地元。バックアップセンターを探していた複数のチームから声がかかったなかで、思い入れのある土地であり、友人も多いLAで12年目を迎えることになった。しかも彼は子どものころからレイカーズファンで、コビー・ブライアントに憧れて育ったという。
ルーニーといえば、その持ち味はなんと言ってもリバウンドだ。
キャリア11年間の平均スタッツは5.7本だが、この数字を彼は平均17.1分のプレータイムで叩き出している。とりわけオフェンシブ・リバウンドは2.1本と約4割を占め、ウォリアーズが優勝した2021-22シーズンのミネソタ・ティンバーウルブズ戦では1試合で12本をむしり取り、キャリアハイを更新した。
ルカ・ドンチッチも、新シーズンのラインナップに「強力なリムプロテクターを望む」と発言していたが、ルーニーはその点で頼りになる戦力だ。
スクリーナーとしても、ドンチッチやオースティン・リーブスを助ける働きが期待されるが、その点には本人も自信を持っている。現地メディア『Fadeaway World』に掲載されたインタビューの中で、ルーニーは新天地での抱負を次のように語っていた。
「彼らは2人とも得点力のあるガードだ。だから自分がしっかりスクリーンをかけることで、彼らのプレッシャーを少しでも軽くしてクリーンなチャンスを作ってあげられる。それは自分が最も得意としていることだから、彼らのためにそれができることが本当に楽しみだ」
新しいガードとチームメイトになるたびに、まず最初に「どういうプレーがしたい?」と尋ねることを楽しみにしているというルーニー。
「自分にインサイドへロールしてほしいのか。ポップして外に開いてほしいのか。ショートロールしてほしいのか。ガードにはみんなそれぞれ独自の癖や好みがある。ビッグマンである自分の役割は、できるだけ多くの質問をして、彼らが何を求めているのかを理解することにある。きっと素晴らしい学びの経験になると思うよ」 3度の優勝経験があるベテランにして、献身さにあふれたこうした発言からは、彼が昨年の夏にウォリアーズを去る時に、球団関係者やチームメイト、ファンたちから惜しまれた理由が浮き彫りになる。
そのウォリアーズで、長年にわたってリーグを牽引するスーパースターのステフィン・カリーと共闘した経験も、彼にとっての大きな財産になっている。
「ステフやルカのような選手は、試合の中で本当にいろいろな守り方に直面する。ピック&ロールを担うビッグマンとしては、そうしたいろいろな状況に対応できる準備をしておく必要がある。相手はダブルチームをかけてくるのか、それともドロップディフェンスでくるのか、試合中にあらゆる種類の守り方を見せられるんだ。
ステフのようなレベルの選手と一緒にプレーした経験があることで、相手がどんな手段でボールを奪おうとしてくるかを予測して備えておくことができる。その経験をルカにも活かせると思っているよ」
昨シーズンはヒザの故障に苦しみ、出場も21試合に限られたが、現在はケガもすっかり癒えていて、数週間前からワークアウトを開始しているという。
ルーニーは上記のインタビューの中で、「ルカの仕事を少しでも簡単にするためなら、あらゆることをやるつもりだ」と意思表明していたが、常に勤勉で、真摯な姿勢が評価されてきた彼は、レイカーズにとっても重要な戦力となることだろう。
ウォリアーズ時代の指揮官スティーブ・カーも、ルーニーについてかつてこんな賛辞を口にしていた。
「我々のチームでは、ステフィン・カリーがスターで、ドレイモンド・グリーンは“心臓”と呼ばれている。そのなかでケボン・ルーニーは“良心”だ。もし誰かが少し道を外れたり、チームらしくないことをしたり、何かがおかしいと感じるような行動を取った時、声をかける存在が彼だ。
みんなの知らないところで、そっと誰かの肩に腕を回して、『なあ、それは俺たちがやることじゃない。俺たちの姿勢じゃないよな』と言える人なんだ。そうした存在は、フランチャイズの中で非常に大きな意味を持つものなんだ」
ルーニーはこの夏、婚約者と結婚した。彼女はロサンゼルスの出身で、レイカーズは彼女の家族にとってもホームタウンチーム。結婚式の準備を進めている段階では新天地が決まっておらず、“無職”の状態だったことをプレッシャーに感じていたそうだが、式の数日前にレイカーズ入団が決まり、嬉しい出来事が2つ重なった。
「自分にとってすべてがうまくいった。彼女の地元のチームでプレーすることになって、結婚もできた。みんなが喜んでくれている。幸せな気持ちでいっぱいだ。これまでの僕の人生でおそらく最高の2日間だよ」
公私ともに充実する“良心”の人ルーニーが、新シーズンのレイカーズに幸運をもたらすかもしれない。
文●小川由紀子
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