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「Michael/マイケル」つるべ打ちパフォーマンスの圧巻度と「残念な部分」/大高宏雄の「映画一直線」

「Michael/マイケル」つるべ打ちパフォーマンスの圧巻度と「残念な部分」/大高宏雄の「映画一直線」

 今年上半期、映画興行は昨年並みの成績となった模様だ。配給関係者、劇場関係者らの意見を参考にした。これを良しとするか、物足りないとみるか。筆者はどちらともとらない。
 別段、斜に構えているわけではない。そう判断せざるをえない理由がある。というのはまず、洋画のちょっとした新展開があり、これは肯定的にとらえたい。
 ところがアニメーションはともかく、邦画の実写作品があまりパッとしない。昨年は上半期に「国宝」があり、記録的な興行となった。今年は「国宝」の反動が出たようにも見える。

 洋画は大ヒット作品の続編の健闘が目立った。「ズートピア2」は興収157億4000万円(全体1位)。「プラダを着た悪魔2」は55億円(全体5位)。前作からの飛躍度が凄い。興収比では前者が2倍以上、後者は3倍以上となった。
 いずれも、ディズニーの配給作品だが、10年(前者)、20年(後者)と、ともに長い歳月を経て新作公開になった点が特筆される。

 邦画、洋画を問わず、エンタメ大作の続編は比較的、短い間隔で新作が登場し、そこで成果が上がればシリーズ化への道を歩む。
 鉄は熱いうちに打て。間が空けば、それだけ作品の認知度、鮮度は下がっていく。当然だ。ところが先の続編2本は、そうはならなかった。

 前作「ズートピア」なら、動物たちの共同体で、ウサギの女の子が夢を追いかけていく話の展開に、世代や年代を超えた共感性があった。動物たちが繰り広げる冒険活劇とも言える圧倒的ビジュアルに、魅了された人は多かったろう。
 前作「プラダを着た悪魔」なら、ニューヨークの有名ファッション誌で活躍する女性たちの高い職業意識や過酷な競争原理が、ちょっとした憧れも含めて、多くの女性たちの関心を集めた。
 両者にはある意味、普遍性がある。古びないのだ。というより今の時代のほうが、そのような作品を求めているかもしれない。

半年間の2本で「70億円俳優」が誕生した「貢献度」

 上半期で特に注目度が高かった洋画は「Michael/マイケル」だろう。マイケル・ジャクソンの自伝的な作品だが、現時点の興収は60億円ほどになっており、洋画3位、全体では4位につけている。
 見どころは、後半あたりから聞き慣れた有名曲、見慣れたパフォーマンスの数々がつるべ打ち的に連打されるところだろう。ここは本作の白眉である。

 マイケルを演じたのは彼の実の甥だが、その群を抜く「再現度」がなかなかに興奮する。ただ、話的には横暴なマネージメントを行う父親はともかく、専属警備員や音楽プロデューサーとの関係が思わせぶりに終始した。残念なところであった。
 他の作品なら文句なしの大ヒットと言えるが、勝負はここからだ。いかんせん、買い値が莫大な額なのである。これからの夏興行が正念場となろう。

 邦画に少し触れる。特筆すべきヒット作品として、目黒連主演の2本「ほどなく、お別れです」(浜辺美波とW主演、興収47億円、全体6位)と「SAKAMOTO DAYS」(興収28億4000万円、全体9位、ともに見込み)を挙げたい。
 半年間の2本で「70億円俳優」が誕生した。あまり指摘されていないが、上半期の邦画は目黒蓮の貢献度が非常に高かったのである。

(大高宏雄)
映画ジャーナリスト。毎日新聞「チャートの裏側」などを連載。「アメリカ映画に明日はあるか」(ハモニカブックス)、「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など著書多数。1992年から毎年、独立系作品を中心とした映画賞「日本映画プロフェッショナル大賞(略称=日プロ大賞)」を主宰。2026年に35回目を迎えた。

配信元: アサ芸プラス

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