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最大のヤマ場となった準決勝での移動。乗り継ぎ時間は55分。40分の遅延。みんなでゲート間をダッシュ。機内はまさに呉越同舟で安堵の笑み【W杯戦記】

最大のヤマ場となった準決勝での移動。乗り継ぎ時間は55分。40分の遅延。みんなでゲート間をダッシュ。機内はまさに呉越同舟で安堵の笑み【W杯戦記】


 今回のワールドカップでは、グループステージの期間中をほぼダラスだけで過ごした。その間、他の都市に行ったのは、日本対チュニジアが行なわれたメキシコ・モンテレイだけである。

 1か所で長く過ごすワールドカップ取材は、非常に楽でいいのだが、それなりに多くの移動があっても、それはそれでワールドカップを取材しているという実感が湧いてくるので、個人的には嫌いではない。

 だからだろうか、前回のカタール大会では、一極集中の開催がとても快適だった一方で、何となく物足りなさを感じたのも事実だ。

 今大会でも、ようやく“ワールドカップ取材らしく”なってきたのは、ラウンド32が始まってから。日本の敗退を受けて急遽、西海岸での試合も取材することにしたため移動が増えたのだが、そうは言っても、準々決勝までは時間的にタイトな移動はなく、過去の取材に比べれば、まだまだ楽なものだった。

 そんな今大会の取材において、最初にして最後の、そして最大のヤマ場となったのが、準決勝での移動である。

 準決勝2試合を両方とも見るためには、7月14日の試合をダラスで取材した後、7月15日の試合開始までにアトランタへ移動しなければならない。

 基本的には14日の試合が終わった後、その日のうちにアトランタへ飛ぶか、15日の早朝に飛ぶかの二択である。

 筆者は当初、14日のうちに移動する予定で航空券を手配していた。ところが、大会開幕の少し前になって、航空会社から予約便の出発時間が変更になった旨の連絡を受けた。

 それによれば、変更後の出発時間は、14日の試合終了直後。これではとても乗れるはずがないので、新たに予約し直したフライトは、15日の早朝にダラスを出発し、ヒューストンで乗り継いでアトランタに向かい、試合開始のおよそ4時間前に到着する、というものだった。

 しかも、ヒューストンでの乗り継ぎ時間は55分。予約時点で、かなり不安を感じてはいたが、他に選択肢がなかったので、これにかけるしかなかった。

 果たして準決勝2試合目の試合当日、ダラスの空港で悪い予感は的中し、ヒューストン行きのフライトが40分の遅延になると告げられた。この時点で、アトランタ行きの便に乗り継げるかどうか、すでにギリギリの状況である。

 搭乗ゲート前では、アルゼンチンやイングランドのユニホームを着た人たちも、数多く待っている。彼らの目的が何であるか、航空会社のスタッフも理解していたに違いない。
 
 40分遅れでダラスを出発した便がヒューストンに到着した後は、みんなでゲート間をダッシュ。状況を理解していた航空会社が少し待ってくれたこともあったのだろう。おかげで無事に乗り継ぐことができた。

 アトランタ便に搭乗してみると、その機内は、さらに多くの両チームサポーターが着席しており、まさに呉越同舟。事情が分かっている者同士、お互いに目が合うと、「間に合って良かったね」と言わんばかりの安堵の笑みがかわされた。

 定刻からわずかに遅れて出発したアトランタ便は、しかし、予定よりも20分ほど早く決戦の地に到着。問題なく、準決勝の開始には間に合った。

 本来、こんな綱渡りの移動をしなくて済むなら、それに越したことはない。だが、ハラハラしながら何とか間に合った試合は、イングランドが先制するも、アルゼンチンが試合終了間際に逆転する劇的な決着。やっぱり見に来て良かった――。

 これぞ、ワールドカップ取材の醍醐味である。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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