
【岩本輝雄】ブレないスペイン。ボールを大事にして、つなぎ倒す。余計なことは一切せず、シンプルにプレーするロドリの存在は本当に大きいよね【W杯決勝】
[W杯決勝]スペイン 1-0 アルゼンチン/7月19日/ニューヨーク・ニュージャージー・スタジアム
2026ワールドカップの決勝戦。凄かったね。試合前の閉会式は華やかで、トム・クルーズも登場。ハーフタイムショーでは豪華アーティストが出演。ドナルド・トランプ大統領も来場していたし、さすがアメリカというか、スケールが違うよね。
そして試合は、スペインが1-0で勝利。延長後半にフェラン・トーレスが決勝点を決めた。
スペインはほとんどの時間でゲームを支配。アルゼンチンは90分を終えて、シュート0本。それぐらいスペインがボールと主導権を握っていたし、チャンスもたくさん作っていた。
スペインのボール回し。あれはなかなか取れないよ。中盤の3人がくるくる回って、連動しながらパスを散らす。そのなかでも、やっぱりアンカーのロドリだね。彼の存在は本当に大きいと思う。
的確なポジショニングもそうだけど、そんなに難しいことはやってないんだよね。いたってシンプル。余計なことは一切しない。フリーの選手に簡単に預けるとか、テンポ良くボールを循環させる。
ロドリだけでなく、スペインの選手たちは、パスを受けるまではふらふらしているんだけど、自分がもらう時はキュッと動いて、正確にトラップして、次のプレーに移行する。それが1人だけじゃなく、全員がそうしているから、スムーズにパスが回る。
技術がしっかりしているから、慌てることもない。一つひとつのプレーに余裕がある。必ず誰かがフリーになっていて、それはチーム全体で分かっていて、見逃さない。だから当然、パスはつながるよね。
ポゼッションで優位に立って、相手を押し込んで、バイタルエリアではラミネ・ヤマルとか独力で突破できる選手もいる。これは本当に強いなと思った。
2010年ぐらいはスペインがすごく強くて、それから少し、停滞する時期があった。でも、スペインはブレずに自分たちのスタイルを貫き通してきたと思う。ボールを大事にして、つなぎ倒す。相手を動かして、最後にきれいに刺す。その歴史というか、信念みたいなものを感じたし、また世界のトレンドになっていきそうだよね。
この日は本当に暑くて、アルゼンチンからすれば、あれだけ動かされたら、体力的にも相当にキツかったと思う。でも、最後に失点したとはいえ、それまでは粘り強く守っていた。後半の終了間際にエンソ・フェルナンデスが退場になって10人になっても、しばらくは耐えていた。
その意味では、アルゼンチンも自分たちの強みを見せていたと思う。あとはメッシが決定的な仕事さえできれば、という感じではあったけど、そのシチュエーションに持ち込ませなかったスペインの強さが際立っていたね。
今回のワールドカップも、本当に見どころがたくさんあって、僕としても大きな刺激になった。現地で森保ジャパンの試合はすべて見て、いったん日本に戻って、決勝でまたアメリカに行って、スタジアムで観戦。ワールドカップを堪能したよ。
もう大会が終わってしまって、寂しさはもちろんあるけど、8月からはJリーグが始まる。日本サッカーの底上げのためにも、Jリーグもまた楽しみだよ。
【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、54歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。23年に『左利きの会』を発足。神奈川県3部リーグの「FIVESTAR」で監督兼プレーヤーを務める。
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