1億8000万円で優勝が買えるかもしれない。ナショナルズ傘下の2Aからシーズン途中に巨人に移籍した小笠原慎之介が7月19日の中日戦(東京ドーム)で今季初登板し、6回87球を投げて3安打無失点、6奪三振の好投で勝利を挙げた。
日本球界に復帰した投手が初戦で勝ったのは、2021年の山口俊以来、5年ぶり8人目。復帰初戦の相手がメジャー移籍直前の球団だったのは過去に1例しかなく、勝利投手になったのは初めてだ。
阪神とのマッチレースを展開する巨人にとっては貴重な勝ち星だが「単なる1勝にとどまらない価値がある」と言うスポーツ紙遊軍記者は、その理由を次のように説明するのだ。
「もちろん阪神との直接対決に勝つのがいちばんですが、これまでの戦い方(5勝9敗)を見ると、今後も厳しい状況が続く。五分でいければ御の字でしょう。そう考えると巨人としては、下位チームには星を落とせない。最下位の中日戦が大きなポイントとなりますね」
今季、阪神は中日相手に12勝4敗、貯金8と大きく勝ち越しているのに対し、巨人は8勝7敗とほぼ互角。もう少し勝ち星を積み重ねていれば、順位は逆転していただろう。それだけに、小笠原の中日戦での好投は、V奪還を狙うチームにとっては好材料でしかない。
裏切り者といわんばかりの大ブーイングを浴びても…
前出の遊軍記者は、
「好投もさることながら、今回の投球では巨人のホームゲームにもかかわらず、竜党から裏切り者といわんばかりの大ブーイングを再三受けましたが、涼しい顔でしたからね。初戦でこれを乗り越えたのは大きいですよ。逆に、かつての仲間に抑え込まれた中日には、相当なショックが残る。ひとまず中日戦では小笠原は使えますね」
ライバルチームの主力選手を引き抜き、戦力をダウンさせるのはかつての巨人の常套策で、今回も似たような気配が漂う。小笠原が古巣相手にあと2、3勝を稼いでくれれば、1憶8000万円の年俸など安いものである。
(阿部勝彦)

