ボストン・レッドソックスが、20年ぶりとなる12連勝を飾った。それもア・リーグ首位のタンパベイ・レイズを相手にしての快進撃であり、今季初の「貯金1」となった。
代打で登場した吉田正尚の遊ゴロの間に三塁走者が生還して1点が入ると、そこから一気に逆転。吉田が逆転劇の起点となった。
前日のダブルヘッダーでも吉田の活躍が見られた。両試合に「5番・DH」で先発出場したが、とりわけ第1試合では5打数3安打と快音を連発し、打線を牽引。近年、出場機会に恵まれなかっただけに、その鬱憤を晴らすような弾けっぷりだ。
「チームの12連勝に、吉田は大きく貢献しています。大袈裟な言い方かもしれませんが、吉田が試合で使われるようになって、チームの調子が上向きました。借金11の最下位にまで沈んだチームが、ワイルドカード争いにまで戻ってきましたからね」(現地記者)
勝利に貢献したのはもちろんだが、試合に出られなかったシーズン前半戦の姿勢もクローズアップされているそうだ。
「レッドソックスは6月25日にアレックス・コーラ監督と5人のコーチを同時解任し、傘下3Aウースターを指揮していたチャド・トレーシー氏を暫定監督に据えました」(前出・現地記者)
あるかないか分からない代打出場のために毎日…
そのトレーシー暫定監督が吉田を抜擢した、という単純な話ではない。トレーシー暫定監督の目に止まったのは、5回の攻撃が始まるのと同時に行われる吉田のルーティンだった。バッティンググローブをはめ、代打出場の準備をスタートさせる。誰の指示でもない。吉田はあるかないか分からない代打出場の準備を毎日、続けていたそうだ。
「今季から、試合前の打撃練習を変えました。多くの選手はスイングしたらすぐに次のボールを投げさせますが、吉田はスイングしたら打球の行方を見届け、数回素振りをしてから次の球を投げさせていました」(MLBジャーナリスト)
打撃フォームも改造した。吉田は広角に打つことができるため、逆にボール球を振らされてしまうことがあった。吉田なりに考え、出塁率よりも強い打球を求め、新フォームを模索していたのだ。
こうした影の努力と、出場準備を怠らない姿勢が買われ、チャンスをもらった。レッドソックスの外野手層は厚い。まだレギュラー奪還とまではいかないが、吉田のサムライ魂は健在だ。
(飯山満/スポーツライター)

