真夏の午後、屋外駐車場に止めた車のドアを開けると、こもった熱気が押し寄せる。エアコンを最強にしても、車内はすぐには冷えない。バッグから水筒のような容器を取り出し、中の細長い氷のうを首の後ろへ当てると、火照った肌に冷たさが伝わってくる。見た目は小型のボトルだが、中身は病院やスポーツ現場で長く使われてきた氷のうの携帯版といえる。
氷と水を入れる袋型の氷のうは、医療やスポーツの現場ではなじみ深い。整形外科などでは、手術後や負傷した部位を冷やす目的で使われることがある。高校野球のベンチで、登板を終えた投手が肩に当てる姿を見た人はいるだろう。草野球で足首をひねった選手が使う場面もある。
袋型の強みは、氷水が形を変えるため、膝や肩、足首などの曲面に沿わせやすいことだ。一方、長時間持ち歩こうとすると、保冷バッグや濡れ対策が必要になる。医療施設や競技会場では使いやすくても、通勤バッグへ気軽に入れるには扱いにくさが残っていた。
その不便を補う商品として今夏、クローズアップされているのが、細長いシリコーン製の氷のうを真空断熱構造のホルダーに収納するタイプである。
ピーコック魔法瓶工業の「ミニアイスパック ポケット ABB-S07」は、幅約4.9センチ、高さ約14.5センチ、重さ約160グラム。水を入れて凍らせた氷のうを専用ホルダーへ収め、必要な時に取り出して使う。公式価格は税込3058円だ。
カインズの「スティック氷のう 140ml」は、幅約5.8センチ、高さ約17.7センチ。水を入れて凍らせるほか、すぐ使いたい場合は氷と水を入れられ、ストラップも付く。公式通販では7月20日時点で税込1280円となっている。
ゴルフ場・駅のホーム・作業中のどんな場面でも
いずれも、昔ながらの氷のうを単に小さくしただけではない。冷やした状態のまま持ち歩きやすくしたことで、使う場所が大きく広がった。ゴルフ場では、次のホールを待つ数分間に、首の後ろへ当てられる。午後の洗車では作業を止めて日陰へ移り、汗で張り付いたシャツの襟を緩めて首筋を冷やす。映画館や劇場なら、モーター音や風を出さないため、隣の観客を気にせず使いやすい。駅まで歩いて汗をかいた朝も、ホームで電車を待つ間に取り出せる。
ただし、氷のうだけで熱中症を防げるわけではない。水分と塩分の補給、日陰や冷房のある場所での休憩は欠かせない。熱中症が疑われる場合は、首の付け根の両側、脇の下、太腿の付け根などを冷やす方法が案内されている。冷たさが強い時は、タオル越しに当てたい。
病院や競技場でおなじみだった氷のうが、今では真空断熱ボトルに収まり、通勤バッグやショルダーバッグで持ち歩けるようになった。見た目こそ今風だが、使っているのは氷や氷水で体を冷やす、昔ながらの方法である。その手軽さが、真夏の街中で改めて重宝するのだ。
(ケン高田)

