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監督もデザイナーも「激怒」し「何も分かってない」 海外版『ウルトラマン』の「バルタン星人」「ジャミラ」の衝撃とは

監督もデザイナーも「激怒」し「何も分かってない」 海外版『ウルトラマン』の「バルタン星人」「ジャミラ」の衝撃とは


『S.H.フィギュアーツ ウルトラマン バルタン星人 60th Anniversary Edition』(TAMASHII NATIONS) (C)円谷プロ

【画像】え、ちょっと「エヴァ風味」もあるかも コチラが海外版『ウルトラマンパワード』の変わり過ぎなバルタン星人です

怒られてもしかたない? パワードジャミラに実相寺監督が苦言

 円谷プロがアメリカで制作した『ウルトラマンパワード』(1993年放送)に登場する怪獣たちは、初代『ウルトラマン』に登場した怪獣たちをリデザインしたものでした。そのデザインを担当したのは、アメリカ人ではありません。もともとアニメ制作会社の「ガイナックス」にも籍を置いていたアニメ監督、デザイナーの前田真宏さんです。

 前田さんの手がけた「パワード怪獣」たちは、成田亨さんが生み出した独創的かつ美しい「ウルトラ怪獣」の核となる狙いは維持したまま、よりリアルな「生物感」が付与されています。

 過剰ではなく、あくまでも基本を忠実に『パワード』の世界観に落とし込んだ、実に優れた仕事だったといえるでしょう。

 とはいえ、当然ながらこのリニューアルされた怪獣たちに対しての反発もありました。視聴者からなら致し方ないことかもしれませんが、生みの親である成田さん、そして監督の実相寺昭雄さんも怒ってしまったのですから大変です。

 たとえば「パワードバルタン星人」に関しては、こんなことがありました。パワードバルタンは初代バルタン星人と比べるとさらにシャープで、より昆虫的な外骨格を強調した造りになっています。前田さんからしても、会心の出来のつもりでした。

 ところがある日、成田さんに会った際、前田さんは「バルタン星人をこんな風にしたのは誰ですか?」と怒られてしまったのです。とはいえその後、成田さんは前田さんをアトリエに招き、色々と作品や資料を見せるなど、アフターケアはあったそうで安心です。

 また『パワード』である意味最も「改変」されたのが「ジャミラ」でした。初代『ウルトラマン』のなかでも、最も悲劇的な怪獣です。

 初代に登場するジャミラは、もともとは某国の宇宙飛行士でした。ジャミラははるか遠くの惑星で置き去りにされ、やがて異形の怪獣へと変貌したのです。ひび割れた皮膚、盛り上がった肩、どこか悲しげな口元……これが本家のジャミラでした。

 一方、「パワードジャミラ」は変形した宇宙服を着込んだ、モンスターのような姿をしているのです。もちろん初代ジャミラとは、そもそも物語上の設定が異なっています。宇宙で遭難したこと自体は初代と同じですが、パワードジャミラはその過程で謎の宇宙生命体に取り憑かれた、という解釈が加えられました。

 そのストーリーに基づいた造形の作り込みや、あえて宇宙服の奥に「顔」を隠し、悲壮感を増幅させるなど、随所に素晴らしい仕掛けが散りばめられています。しかし、これに激怒したのが初代『ウルトラマン』でジャミラ登場回の第23話 「故郷は地球」を撮った実相寺監督でした。

 前田さんが直接言われたわけではないのですが、実相寺監督は人伝に「何故このストーリーに、あの造型だったのか。若造は何もわかってない!」と、怒ったといいます。

 こうした当時の叱責を、前田さんは「所詮はファンの二次創作的なものに落ちてしまっているということでしょう」と、なんとも謙虚な受け止め方をしていました。

 とはいえ、前田さんはその直後、「平成ガメラ」三部作において「レギオン」「イリス」をはじめとする傑作怪獣を生み出します。

 前田さんは近作だけでも『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年)の監督、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(2025年)のデザインワークスなど、メガヒット作品の中枢を担い続けてきました。「あの若造」が、こうして世界的なクリエイターに成長したのだと思うと、特撮の遺伝子は確かに受け継がれた、そんな実感がしてきます。

参考書籍:『語れ! ウルトラ怪獣 (ベストムックシリーズ・44)』(ベストセラーズ)

配信元: マグミクス

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