
プロになって1年半で海外へ。中村草太は描いた通りのキャリアを刻む。仏1部クラブで新たな挑戦「4年後に代表に入ることは狙っていきたい」
「ワクワクというよりは、楽しみの方が強いです。でも、やっぱり少し不安なところもあります」
フランス1部のル・アーブルへの期限付き移籍が発表された中村草太が20日、メディアの取材に応じて率直に今の気持ちを語った。
広島がオーストリアキャンプを行なっている最中にオファーが届くと、23歳のアタッカーは迷いなく移籍を決断した。
「まずは5大リーグを1つの目標にしていて、そのリーグのチームからオファーがあった時には(移籍する)、ということをもう自分の中で決めていたので、すぐに決めました。このオファーが来たのも本当に運があったり、タイミングが合ったからで、縁というところがあると思うんで迷わなかったです」
渡欧するために準備してきたから躊躇はない。そもそも「プロになることが決まった時、自分の人生設計としてプロになって1年半で海外に出ることを書き留めていました」という。まさに本人の思い描いていた通りのタイミングになったから凄いが、それは中村が1年半でしっかりと結果を残してきたからに他ならない。
2025年の2月8日、FUJIFILM SUPER CUP 2025に途中出場して国立競技場でプロデビューすると、4日後のアジア・チャンピオンズリーグ2のナムディン戦でチームの勝利に大きく貢献する先制点を挙げ、さらにその4日後にはJリーグのデビュー戦で決勝ゴールを挙げてみせた。
プロの世界にどデカいインパクトを残して飛び込んだ中村は、1年半の期間で広島の選手として公式戦70試合に出場。ルヴァンカップのタイトル獲得に貢献してファン、サポーターと喜びを分かち合い、17得点という立派な数字も残してきた。
広島で過ごした1年半の期間はとても濃いもので、中村の心にもいろんな出来事が強く刻まれていた。
「初ゴールを決めた日とか、個人チャントができた日とか、タイトルを獲った日とか。それ以外でもチームメイトとご飯を食べたりとか。そういった小さい思い出も大きな思い出もあって、1年半という短い間でしたけど、本当にたくさんの思い出があります」
プロとして必要不可欠なことを、身を持って学ぶ期間でもあった。1年目に連戦が続くなかで怪我をしてしまったこともあった。自身の能力を存分に出せていたミヒャエル・スキッベ体制が2025年に終わり、迎えた26年はバルトシュ・ガウル監督のサッカーにアジャストするのに時間を要した。この経験も欧州のクラブで戦っていく際に大いに役立つだろう。
そして、渡欧するにあたってはトルガイ・アルスランとの出会いも大きかった。
「ずっと相談していて、今回の移籍はトルガイのおかげでもある。今に限らず去年からピッチ内外でずっとアドバイスしてくれていた存在で、トルガイはいろんなクラブで活躍してきていますし、そういった経験がものすごく自分にとってプラスになりました」
プロになって1年半と書けば短く感じるが、もう準備は万全だ。
そもそもプロの世界に入る前にも、関東大学リーグ1部では2年連続で得点王とアシスト王をダブル受賞する快挙を成し遂げてきた逸材で、プロになってからも結果を出し続けている。
もう3年半ずっと結果を出し続けていると言ってもいいのだから、5大リーグのクラブからオファーが届くのは必然でもあり、中村も自信を持って海を渡る。
「この1年が勝負だと思っているんで、本当に死に物狂いでやっていきたい。もちろん、うまくいく可能性もありますし、失敗する可能性もありますけど、自分で決めた道なんで、自分を信じてやっていきたいと思います」
中村はフランスでも結果を出せるのか。そして4年後、どこまで高みにたどり着いているのか。
「まずは向こうに行って試合に出ることが短期的な目標です。向こうに行くことがゴールではないですし、そこからステップアップして4年後に代表に入ることは狙っていきたいと思います」
日本サッカー界でゴール、アシストの結果を出し続けてきた中村の挑戦を、これからも興味深く見守っていきたい。
取材・文●寺田弘幸
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