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長期的かつ体系的な育成・強化の積み重ね。スペインが世界一に。東京五輪で目にした萌芽が、アメリカの地でついに花開いた【W杯戦記】

長期的かつ体系的な育成・強化の積み重ね。スペインが世界一に。東京五輪で目にした萌芽が、アメリカの地でついに花開いた【W杯戦記】


 ワールドカップ決勝が終わり、メディア用のシャトルバスでマンハッタンに戻ってくると、エンパイア・ステート・ビルが、赤と黄色にライトアップされていた。

 色合いからして、スペインの優勝を祝したものに間違いあるまい。あたりを歩いていたスペインサポーターも、それに気づき、嬉しそうに写真に収めていたのが微笑ましい。

 今回のワールドカップは、終わってみれば、スペインの強さが際立つ大会だったと言っていい。圧倒的な攻撃力と表現できるほどゴール数が多かったわけではないが、徹底してパスをつないでボール保持率を高めることで、相手にサッカーをさせなかった。

 今大会8試合での総失点数は、わずかに1。優勝候補のフランス、アルゼンチンにさえ、何もさせなかった強さは驚愕に値する。

 最近のサッカーのトレンドにおいては、少々肩身が狭かったボールポゼッションだが、今大会のスペインは、再びその重要性が見直されるきっかけを作ったのではないだろうか。

 そんなスペインには、過去に取材したアンダー世代の大会で見てきた選手が数多く含まれており、彼らが成し遂げたワールドカップ制覇は、個人的にも嬉しいものとなった。

 なかでも最も印象深い大会が、2019年U-21EUROである。

 東京オリンピックのヨーロッパ予選を兼ねたこの大会で、スペインは見事に優勝。大会MVPに選ばれたファビアン・ルイスをはじめ、ウナイ・シモン、ダニ・オルモ、ミケル・オジャルサバル、ミケル・メリーノらが、この大会に出場していた。

 そして彼らの多くは、2021年の東京オリンピックにも出場。ここでは、U-21EUROには出場していなかったマルク・ククレジャやマルティン・スビメンディ、エリク・ガルシア、ペドリらが、新たに登録メンバーに加わっている。

 当時、東京オリンピックの直前にはEUROが開かれており、2大会を掛け持ちしていた選手にとっては、厳しい日程だったはずだし、コンディションの心配もあっただろう。
 
 だが、結果的に“東京世代”が中心となって、今回のワールドカップ優勝が成し遂げられたことを思うと、スペインはいかに有望な人材を揃えて東京オリンピックに乗り込んできたのかを、改めて実感させられる。

 また、19歳で東京オリンピックに出場していたペドリは、2019年U-17ワールドカップでもプレーしている。

 この大会には日本も出場しており、スペインとの直接対決こそなかったが、日本と同じ会場で別日にスペインが試合をしたため、ペドリのプレーを生で見る機会はあった。

 しかし、正直に言えば、彼のプレーについての記憶はほとんど残っていない。むしろ大会の翌年、バルセロナでトップデビューを果たしたことを聞き、「あの時の17歳が?」と、とても驚いたことをよく覚えている。

 年代別代表の成果を積み上げ、それをA代表の成果へとつなげる。その意味においては、今回のスペインの優勝は、長期的、かつ体系的な育成・強化の積み重ねによって、狙い通りに成し遂げたものだと言えるだろう。

 その積み重ねの過程を見てきただけに、しかも、その間、2022年ワールドカップではラウンド16で敗退し、スペインの衰退がささやかれたこともあっただけに、この優勝は非常に感慨深い。

 東京オリンピックで目にした萌芽が今、ついにワールドカップで花開いたのである。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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