女子テニスのダブルス元世界ランキング1位で、四大大会女子複4勝を誇るレネ・スタッブス氏(オーストラリア/55歳)が、自身のポッドキャスト番組『The Rennae Stubbs Tennis Podcast』に出演。先週開催された男子ツアー公式戦「EFGスイス・オープン・グシュタード」(スイス・グシュタード/クレーコート/ATP250)で約16カ月ぶりのタイトルを獲得した元3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/現51位)について、コーチであった父親アポストロス氏との決別を「正しい決断だった」と評価した。
現在27歳のチチパスは昨年6月にノバク・ジョコビッチ(セルビア/同7位)の元コーチであるゴラン・イバニセビッチ氏(クロアチア/54歳)を招聘したものの、わずか1カ月半で契約を解消。その後は2024年に1度離別したアポストロス氏をチームに戻し、再び親子でツアーを戦っていたが、先月末に再度袂を分かった。
その直後には、名将パトリック・ムラトグル氏(フランス/56歳)のアカデミーでパフォーマンスコーチを務めるトマ・ペラン氏(フランス/34歳)がチームに新加入。それからわずか3週間で迎えた今大会を制し、昨年2月の「ドバイ選手権」(ハードコート/ATP500)以来となるツアー優勝を飾るとともに、「ウインブルドン」(芝コート/四大大会)後に85位まで落としていた世界ランキングも51位へと大きく回復させた。
この結果を受け、スタッブス氏は「ようやく父親をコーチから外したことが、明らかに良い方向へ働いている」とコメント。「チチパスは試合中によく感情を爆発させるけど、その矛先が自分のプレーではなく、父親に向いていることも多かった。父親はボックス席からよくネガティブな言葉を叫んでいたと、ギリシャ語がわかる人から聞いていた」とも語り、両者の関係性がチチパスのプレーに影を落としていたとの見方を示した。
さらに、元女王セレナ・ウィリアムズ(アメリカ)のコーチも幾度か務めているスタッブス氏は、27歳の復活を歓迎しつつ、指導者の視点から次のように持論を展開した。
「コーチというのは戦術や技術を教える役割はもちろんだけど、本当に重要なのは、苦しい場面で選手を信じ続けること。例えばマッチポイントを握られた状況でも、『まだ戦える』という前向きな言葉を送り続ける存在でなければならない。今のチチパスは、そうしたサポートを受けられる環境にいるのだと思う。彼が勝つ姿を再び見られて、本当にうれしい」
ちなみにチチパスは、アポストロス氏の指導の下でツアー11勝をマーク。四大大会では2度のシングルス準優勝を経験し、21年には自己最高の世界ランキング3位を記録するなど、親子二人三脚でキャリアの主要な実績を築き上げてきた。
一方で、試合中に両者が激しく言い争う場面も度々見られ、親子ならではの“近すぎる距離感”が、チチパスの精神面やプレーに悪影響を及ぼすことも少なくなかった。今回の発言からは、スタッブス氏が以前からそうした関係性を懸念していたことがうかがえる。
文●中村光佑
【動画】チチパスが約16カ月ぶりにタイトルを手にしたスイス・オープン決勝ハイライト
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