5年ぶりに「マイナビオールスターゲーム」(7月28日・東京ドーム、29日・富山)に出場することになったのは、打率1割台の男だった。
2008年より始まったプラスワン投票で2位(DeNA・勝又温史)に約2万票差をつける3万684票を集めた。ファン投票で選ばれるだけに、坂本は「素直に嬉しい」と笑顔。
19歳で球宴初出場した坂本は過去に2度、故障で出場辞退をしているが、2021年以来5年ぶり通算15回目の選出となる。だが本人の笑顔とは裏腹に、現役引退に向けた「花道説」が浮上しているのが現実だ。
なにしろ今季は、ここまでの成績がせつなすぎる。主に代打で打率1割5分2厘、4本塁打、14打点。出場44試合はもちろん、規定打席未満である。
それでも今季の年俸は2億減俸したものの、推定3億円。「代打で3億円」という費用対効果は、坂本を「チームの大功労者」に位置付ける巨人ならではといえる。
これには坂本本人も「選ばれるような成績ではない」と認めているのだ。
これまでプラスワン投票で選ばれた選手の顔ぶれを振り返ると、セ・リーグでは新井貴浩を筆頭に、福留孝介、鳥谷敬、パ・リーグでも松田宣浩など、現役晩年に選出されているのが特徴だ。2024年にはプラスワンで選出された筒香嘉智がいるが、この年はチームの主力としてしっかり戦力になっていた。
パ・リーグ柳田悠岐の成績は坂本を大きく上回る
一方、パ・リーグのプラスワンでは、今年は柳田悠岐(ソフトバンク)が坂本以上の投票数(3万1180票)で選出された。2人は「88年世代」で同じ37歳。柳田は昨年、故障で長期離脱したが、今季は復活している。
全盛期と比べると見劣りこそするが、主力として78試合に出場。打率2割6分5厘、11本塁打、39打点の成績は、坂本を大きく上まっている。
今季の球宴は東京ドームと富山で開催される。
「東京ドームは坂本にとって本拠地ですが、富山は巨人の親会社である読売新聞ゆかりの地といえます」(巨人担当記者)
その理由は読売新聞を全国紙に育て上げ、巨人軍を創設したプロ野球の父・正力松太郎氏の出身地だからだ。
読売新聞は北陸最大の都市である石川県金沢市には支社を置かず(富山県高岡市に北陸支社)、正力氏の出身地に近い富山市に大規模な印刷工場を置くなど、いずれも北陸の拠点となっている。
1割打者・坂本に向けた「引退の花道」としての舞台は、しっかり整っている。
(小田龍司)

