これはいわゆる「忖度」なのか。大相撲名古屋場所11日目(7月22日)は、西関脇・安青錦(安治川)が東前頭二枚目の豪ノ山(武隈)を寄り切りで下して10勝目を挙げ、内規による大関再昇進を決めた。
右足首、右足親指に故障を抱えながら優勝争いでもトップに立ったが、反則負けになっても不思議ではない微妙な瞬間があった。
立ち合いから低く当たり、前傾姿勢で攻め立てる安青錦に対し、豪ノ山も突っ張って押し返そうとする展開に。最後は安青錦が寄り切ったが、その際に手が豪ノ山の頭部にかかり、髷(まげ)に指が入るような形になったからだ。
スポーツ紙相撲担当記者はこの場面に関し、
「確かに髷を掴んでいるように見えました。その場合、故意だろうが偶然だろうが、反則負けのはず。ところが土俵下にいる審判からは物言いがつかず、勝敗はそのまま確定しました。誰か物言いをつけて、協議ぐらいはしてもおかしくない相撲だったと思います。何か『意図』を感じますね」
両横綱がボロボロで上位陣総崩れの状態なので…
相撲協会OBがそのあたりの事情について語るには、
「豊昇龍と大の里の両横綱が目を覆わんばかりの負け方をしており、優勝はもはや絶望的。綱取りの可能性を残す大関・霧島が2敗に踏みとどまっていますが、カド番大関の琴櫻は陥落ピンチで、ある意味、上位陣総崩れの状態。ここにきてそれ以外の話題は、安青錦の大関返り咲きぐらいなもの。水を差したくない気持ちも分からなくはないですが…」
仮に安青錦が反則負けになったとしても9勝2敗で、残り4日間を1勝3敗で終えれば2ケタに届く。だが足の状態を考えれば、勝てる保証はない。前出の相撲担当記者は、
「誰も口にはしませんが、忖度の匂いがプンプンしましたね。これまで何事も阿吽の呼吸でやってきた角界らしいといえば角界らしいですけどね」
過去、特例で大関復帰を果たした力士は三重ノ海、武双山、栃東ら計7人、延べ8人いるが、その場所で優勝した者はいない。安青錦のは今回の疑惑をものともしない幕内最高優勝で、再昇進できるか。
(阿部勝彦)

