4回が終わった時点で、スコアボードには16-1と表示されていた。ソフトバンクは初回裏から4回裏までに、16点を積み上げたことになる。試合はまだ半分も終わっていなかった。
7月22日、みずほPayPayドームで行われたパ・リーグ14回戦。ソフトバンクは26安打5本塁打で22点を奪い、22-2でオリックスを圧倒した。主力を早々に下げたソフトバンクとは対照的に、オリックスは6投手で209球を投じた。ホームのソフトバンクがリードしていたため9回裏はなかったが、最後まで8イニングを守り切らなければならなかった。
これに2026年WBC1次ラウンドの規定を当てはめれば、5回終了以降に15点差以上、7回終了以降に10点差以上がついた時点で試合終了となる。
5回終了時点でスコアは16-1、差は15点だった。この規定なら試合はそこで終わり、6回から登板した田嶋大樹が投じた62球は発生しなかった。田嶋は3イニングで5安打3本塁打で6点を献上している。
ただし、WBCは球数制限を設けた短期決戦であり、143試合制のNPBレギュラーシーズンとは前提が異なる。規定をそのまま移植すれば済む話ではない。
では野手を登板させればよいのではないか、という発想もある。2020年8月6日の阪神×巨人戦で、0-11の8回裏一死から、原辰徳監督は内野手の増田大輝をマウンドへ送った。増田は2/3回を無失点。ベンチに4投手を残す温存策だったが、野手登板には球界関係者から反対意見も出た。
負けているチームの監督が試合終了を選べる
一方で、大差がつけば自動的に打ち切るという制度にも、慎重な見方がある。NPBでは10点差からの逆転勝利が過去4度、記録されている。
2017年7月26日、ヤクルトは中日に0-10と引き離されながら、延長10回に11-10でサヨナラ勝ちした。この試合は5回終了時点で10点差、7回終了時には8点差だった。仮に5回終了以降の10点差で打ち切る規定なら、この逆転劇は生まれなかったことになる。観客への思いや個人成績への影響もあり、単純な導入は難しいかもしれない。
それでも問題提起として考えられるのが、申告敬遠ならぬ「申告敗戦」のような選択制だ。例えば5回終了以降に15点差以上、7回終了以降に10点差以上となった場合に、負けているチームの監督が試合終了を選べる仕組みである。
逆転を狙うならば、続行できる。若手に実戦経験を積ませたい場合も、続けられる。翌日以降の投手を温存したいなら、そこで敗戦を受け入れることができる。
勝敗が事実上、決した後も誰かが投げ続けなければ試合は終わらない。最後まで戦うことを優先するのか、それとも投手を守る選択肢を認めるのか。22-2という大差は、その線引きを考える一戦になった。
(ケン高田)

