過去に大坂なおみ(現世界ランキング13位)やセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)ら複数の女子テニス元ナンバー1を指導した経験を持つ名将パトリック・ムラトグル氏(フランス/56歳)が、7月22日に更新した自身の公式インスタグラム(@patrickmouratoglou)で1本の動画を公開。先日の四大大会「ウインブルドン」(芝コート)の男子シングルスで準優勝したアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/同2位)について、ヤニック・シナー(イタリア/同1位)とカルロス・アルカラス(スペイン/同3位)の“2強”には「まだ及ばない」との厳しい見解を示した。
29歳のズベレフは先月の「全仏オープン」(クレーコート)で悲願の四大大会シングルス初優勝を達成し、続くウインブルドンでも初の決勝進出を果たした。しかし最後はディフェンディングチャンピオンのシナーに7-6(7)、6-7(2)、3-6、4-6で敗れ、四大大会2大会連続優勝にはあと一歩届かず。これでシナーとの対戦成績は4勝11敗、直近では10連敗となった。
ただ以前と比べると、ズベレフのプレーは攻撃的になった印象がある。シナー戦では課題とされてきたフォアハンドで積極的に攻める姿勢を見せ、試合を通して49本のウイナーを記録。全仏での戴冠によって長年背負ってきた重圧から解放され、それが思い切りの良いパフォーマンスにつながっているように見える。
ムラトグル氏もズベレフのここ数カ月の活躍を高く評価している。「彼は正しい道を歩んでいる。初めてグランドスラム(四大大会)を制し、その次の大会でも決勝に進んだこと、しかもそれらをクレーと芝の異なるサーフェスで成し遂げたことは非常に大きな意味を持つ。彼は間違いなく一段階上のレベルに到達した」と、その成長を称えた。
しかしその一方で、「彼はもうアルカラスやシナーのレベルに達しているのか? 私はそうは思わない」と辛口の査定も。ウインブルドンの決勝について「彼は最高レベルのテニスを見せ、シナーは最高の状態ではなかったのに、それでも勝てなかった」として、今後もズベレフが攻撃的な姿勢を貫くことの重要性をこう説いた。
「シナーとアルカラス以外の選手には余裕を持って勝てる...と思った時に、再びベースライン上で試合をコントロールする守備的なスタイルへ戻ってしまえば、本当の意味でワンランク上のレベルに達したとは言えない。どの試合でもアグレッシブなテニスを貫く必要があり、彼はまだそれを実践できていない。積極的なプレーを一貫して、しかも効果的に続けられることを何度も示し、やがてはそれが自然にできるようにならなければならない」
2強の壁を乗り越えるには、ズベレフがもう一皮むける必要があるとムラトグル氏は見ている。これから始まる北米ハードコートシリーズでは、その真価が問われることになりそうだ。
文●中村光佑
【動画】ズベレフがシナーに敗れたウインブルドン決勝ハイライト
【関連記事】ウインブルドン決勝で敗れ初優勝を逃したズベレフ、王者シナーに善戦し「正しい方向へ進んでいる」と手応え<SMASH>
【関連記事】世界3位ズベレフが全仏オープンを制し悲願の四大大会初優勝!「ようやくハッピーエンドを迎えることができた」<SMASH>

