なんか小さくて可愛いヤツが、いよいよ巨大スクリーンに登場する。ナガノ氏作の単行本「ちいかわ」原作の「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」が7月24日に公開初日を迎えたが、SNS上の投稿によると、全国の上映館は早朝7時の上映回から満員となり、一部映画館では予約申し込み開始の3日前から予約サイトにつながりにくい状態が続いているという。
配給元の東宝系映画館はTOHOシネマズ池袋で全10スクリーンをフル稼働して、初日の7時から深夜28時まで計41回上映。TOHOシネマズ新宿も全12スクリーンのうち、IMAXレーザーを含む7スクリーンで計29回。まるでJR在来線時刻表のような上映スケジュールだ。
初日から大盛況なのはネット上や保育園、学童保育でネタバレされる前に映画を見たいのもあるが、映画入場者特典「チャームミニフィギュア」(数量限定)を狙ってのことだろう。
特典第一弾は、ビニール傘やペットボトルなどにつけるシリコン製の輪っかがついた「めじるしチャーム」タイプのミニフィギュア。ちいかわ、ハチワレ、ウサギらがいかにも南の島っぽいレイと腰ミノをつけているデザインで、実用性が高く、ガチャポンでも人気の「めじるしチャーム」となれば、ファンなら8種類コンプリートを目指したくなる。
一方、東宝はチケット買い占めと転売ヤーを警戒し、公式サイトで「何枚チケットを持っていても、入場者1人につきフィギュアは1体のみ」と注意喚起している。それでも映画館に入場しては退場を繰り返してフィギュアをもらう転売ヤーが登場し、フリマサプリで高額転売されるのは時間の問題だろう。
「アンパンマン」も「仮面ライダー」もある中での映画館ジャック
気になるのは興行収入だ。邦画アニメの興行収入は「劇場版「鬼滅の刃」無限列車」(2020年公開)が407.5億円、「劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来」(2025年公開)が402.4億円という金字塔を打ち立てた。これは新型コロナ禍でハリウッド映画が軒並み撮影延期となり、映画館で上映する新作映画がないという逆風を逆手にとったもの。「鬼滅の刃」が前述のTOHOシネマズ新宿で1日42回、ピーク時には全国403館で上映された影響もある。
「鬼滅」が上映された2020年秋は、公園で遊ぶことも学校に登校もできなかった子供向けの娯楽が、劇場版「鬼滅の刃」しかなかった。
翻って今年の夏休みはマイケル・ジャクソンを題材にした「Michael/マイケル」のほかに「トイ・ストーリー」「キングダム」などの大人気シリーズが目白押し。その上、子供向け映画も「アンパンマン」は6月26日から、「仮面ライダー」は7月24日から、「クレヨンしんちゃん」も間もなく公開する中での「ちいかわ」映画館ジャックだから、社会現象としては「鬼滅」よりすごい。
入場者特典第二弾、第三弾や、ちいかわら映画登場キャラクターの舞台挨拶など、これからのブースト効果次第では最高興行収入155億円の「コナン」超え、あるいは「鬼滅」超えがあるかも…。
(那須優子)

