近年、プロテニスツアーでは過密なスケジュールや大会日程の長期化、さらには大会ごとに異なる使用球などを巡り、選手たちから改善を求める声が相次いでいる。そうしたなか、ケガに苦しみ30歳で現役を退いた元世界ランク14位のカイル・エドムンド(イギリス)が、海外テニス専門メディア『Tennis365』のインタビューで、ツアーを取り巻く環境について自身の見解を語った。
エドムンドがとりわけ問題視したのは、シーズン中に身体づくりへ十分な時間を割けない現在のツアー日程だ。大会の日数が延び、次の大会までの間隔も短くなったことで、年間を通してフィジカルを強化する期間を確保しづらくなっているという。
「カレンダーや、トーナメントの日数増加、マスターズ大会の期間延長について議論があります。おそらくトーナメント間の休みが減っているため、年間を通じて身体を鍛え上げるためのフィジカル強化の期間を取る時間がありません。現状維持で手一杯なのです」
さらに、長いシーズンを戦い続ける現状では、コンディションを向上させるためのトレーニングではなく、試合をこなし続けるための身体を維持することが優先になってしまうと説明した。
「つまりオフシーズンを除けば、年間を通じて現状維持をしているだけです。フィットネスを向上させるのではなく、1年のうち11カ月間にわたって求められる過酷な負荷に対応するため、コンディションを維持し続けなければなりません。それだけでも簡単なことではありません」
こうした指摘の背景には、自身のキャリアで味わった苦い経験もある。エドムンドは2018年の全豪オープンで四強入りを果たし、同年10月には自己最高の世界ランキング14位を記録。ATPツアーでも2度の優勝を飾り、イギリスを代表する選手として活躍した。しかし、その後は慢性的なヒザの故障に苦しみ、2020年から22年にかけて3度の手術を受けることに。22年にツアーへ復帰したものの、3年以上にわたって再起を目指した末、自身の身体がツアーの要求に耐えられないと判断し、25年に30歳で現役引退を決断した。
またエドムンドは、近年たびたび議論になる使用球にも触れた。腕や手首への負担との関連性を気にしている一方、自身の経験だけで因果関係を結論づけることはできないとして、慎重な姿勢を示している。
「もうひとつはボールです。ボールに関する統計データを持っているわけではありませんが、腕や手首のケガについては気になります。私はキャリアの終盤に手首をケガしました。それまで一度も手首を痛めたことはありませんでした。あれが何だったのかはわかりません。明らかに私はヒザのケガから復帰したばかりでしたし、単に試合を重ねるという負荷に対する準備ができていなかっただけなのかもしれません」
ツアー日程や使用球を巡る議論は、現在もテニス界で続いている。3度の手術と長いリハビリを経てなお第一線への復帰がかなわなかったエドムンドの言葉は、過酷なツアーを戦う選手たちが直面する課題を改めて考えさせるものとなっている。
構成●スマッシュ編集部
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