日本にロシアのスパイが暗躍しているという実態がアメリカメディアによって明るみになり、欧米で波紋を広げている。
日本でのロシアスパイの動きをスッパ抜いたのは、米紙「ニューヨーク・タイムズ」。
それによれば、ロシアが日本にスパイ拠点を設けて、ウクライナ戦争に必要な軍事部品と技術を調達していたという。この業務を担当していたのはロシアのスパイ組織、通称GRU傘下の「第20局」。この組織は警視庁から徒歩10分足らずの22階建て「虎ノ門琴平タワー」一室に置かれた、ロシア国営航空会社アエロフロートが隠れ蓑だった。
そこでのスパイの中心人物だったGRU所属の将校マクシム・フィルチェンコフ氏は表向き、アエロフロート支店長。国を代表する航空会社の支店トップがスパイの親玉だったというのだ。
彼らのスパイの手口はこうだ。
フィルチェンコフ氏らはまず、ハイテク機器や工作機械を買い付ける。アエロフロートと協力する東京都内の運送企業を通じ、スリランカ、ウズベキスタン、ベトナムなど第三国を経てロシアに運び出していたとされる。事実、ウクライナ政府はロシアのドローンやミサイルにNEC、パナソニック、東芝など日本の主要メーカーが生産した部品がゴロゴロあると指摘している。
ウクライナや西欧諸国の当局は日本の外務省に、ロシアによる違法行為の実態を報告。だが日本政府の反応は暖簾に腕押し、ほとんど無反応だったという。
ロシアのウクライナ侵攻後、日本は欧米と足並みを揃えて、金融制裁などの対ロ対策はとっている。しかし一方で、サハリンでの事業に日本の資本が絡み、そこから天然ガス、原油などを輸入している。5月には経産省幹部が訪ロし、今後の資産保護をどうするかなど対話を通じて、新たな日ロ関係を再構築する動きがある。
記事が出た直後にスパイは日本を離れた
さらに2019年からコロナやウクライナ侵攻で中断していた、日本とロシアの大学生らによる交流事業が、8月に再開される。9月には研究者の派遣も検討している。公安関係者が警告する。
「欧米からは再三、日本はロシアなどのスパイの巣窟だと指摘されてきたが、まるで取り締まっていない。スパイ防止法などの不整備もあるでしょう。ただ、欧米などでは、日本は口では制裁と言いながら、国も民間も対ロシア圧力を弱めているのではないか、という疑念が生まれてきている。日本がそうした目で見られることは、国際的信用失墜につながる、大きなマイナス点です」
国際軍事アナリストも次のように指摘するのだ。
「ロシアスパイの暗躍について、日本は現行法では阻止しきれなかったということを、ウクライナや欧米に明確に発信すべき。そして再発防止にどう取り組むか、です。一方でロシアとの外交は漁業問題もあり、対話の窓口を維持すべきでしょう」
ちなみに「ニューヨーク・タイムズ」がフィルチェンコフ氏らの動きを記事化した直後、フィルチェンコフ氏は日本を離れたという。日本はやはり、スパイ天国なのか。
(田村建光)

