
VTuberグループ「にじさんじ」に所属する甲斐田晴のライブイベント「甲斐田晴 1st One-Man Live -足跡-」が2026年7月29日に開催される。4月に発売された2nd Mini Album「WEATHER」を引っ提げた本ライブでは、彼の活動に関わってきた方をバンドメンバーに迎えたりと、これまでの集大成となることが期待される。今回WEBザテレビジョンでは、甲斐田晴にインタビューを実施。ライブに関する彼自身のこだわりや、今年の活動について話を伺った。
■「誰かと一緒に演奏するライブがすごく好き」甲斐田が語る“生バンド”への思い
――2026年1月に実施された配信では、「甲斐田晴 1st One-Man Live -足跡-」の開催が告知されました。ライブが決まった時の率直なお気持ちを教えてください。
デビュー当初からソロライブを目標の一つにして頑張ってきたので、すごくうれしかったですね。それこそ苦労していた部分や、なかなかうまくいかないこともたくさんあったので、はじめて聞いた時は「夢が叶ったな」と思いました。
――ライブ開催とともに告知された2nd Mini Album「WEATHER」も現在発売されています。周りからの反響はいかがでしたか?
社内(ANYCOLOR株式会社)の皆さんをはじめ、周りのクリエイターさんや友人から「この曲が良かった」「このアルバムは名盤だね」といった感想をいただいて。それこそライバーさんで声をかけてくれた方もいらっしゃったので、本当に作ってよかったです。
――「甲斐田晴 1st One-Man Live -足跡-」の開催にあたって、甲斐田さんが特に重視したことは?
公演を通して歌い続けることが大切だと思っているので、「体力をとにかくつける」ということは特に意識しています。これまでも何曲か続けて歌うことはあったんですけど、ユニットでのライブだったりと、パートごとの分担があったんですよ。なので体調管理を含め、体を丈夫にすることを心がけています。
――ライブのセットリストも既に決まっていると聞いています。どのようなイメージや思いでセトリを組んだのかお伺いしたいです。
ライブって1公演につき1〜2時間と長時間にわたって行われるので、お客さんが途中で飽きることがないように工夫しています。例えば疾走感のある曲が続けて披露された時に見やすさを意識してみたり、「この曲とこの曲は連続でやりたいな」という曲同士の相乗効果を考えながら組んでいますね。

――今回のライブは生バンドということもあり、バンドメンバーも甲斐田さんが希望を出されているんですよね。
そうですね。生バンドに関しては、ソロライブが決まって最初に確認したところでもあって。今までの活動の中で交流のある演奏者さんがたくさんいらっしゃるので、「一緒に出たい!」と思った方を指名させていただきました。
――6月に実施された「3D新衣装お披露目ライブ」も生バンドで構成されていたのが印象的でした。
音楽って作る人がたくさんいればいるほど可能性が増えると思っているので、僕1人がステージに立ってカラオケ音源で歌うよりも、誰かと一緒に演奏するライブがすごく好きなんですよね。これは人によると思うんですけど、僕は生バンドにすることでモチベーションやパフォーマンスの熱量も上がりますし、今回のライブの見どころでもあります。
■自由度が高いソロライブならではの難しさ「本当にこれでいいのかな?」
――甲斐田さんは「VΔLZ」や「ROF-MAO」など、ユニットや複数人でのライブは既に経験していると思います。準備にあたって、ソロならではの難しさを感じたりはしましたか?
結構感じましたね。ソロライブは全て自分で決められるので、自由かつ可能性がたくさんあるんですけど、基本的に自分とイベント担当者の意見だけが頼りになってしまうんですよ。複数人でのイベントとは違って、他の人からの意見が少なくなるので、「本当にこれでいいのかな?」「お客さんに喜んでもらえるかな?」みたいな不安はどうしても出てくるし、常に自分がステージ上にいるので、パフォーマンスの変化を考えるのも難しかったですね。
――ライブのレッスン時に印象的だったエピソードを教えてください。
最初はステージ上で足をひねってしまったり、動きに対して身体がついてこない……ということがあって、体力が思った以上にないことを実感しました。
あとライブでやりたいことを実現するために、バンドメンバーやスタッフさん含め、チームの皆が頑張ってくれたことですね。今回はソロということもあり、よりコミュニケーションや相談を重ねながら、自分のやりたいことが1つ通ったので、これに関してはすごく楽しみにしていてほしいなと思っています。

――同会場では3日間ライブが実施され、「甲斐田晴 1st One-Man Live -足跡-」の翌日、翌々日にはローレン・イロアスさん、叶さんのソロライブが開催されます。おふたりとはライブ関連のことで何かお話しされたりしましたか?
ほとんどしていないんですけど、1回だけ「ライブどう?」みたいなことを聞かれたことはありますね。なので2人の公演内容については全然知らないんですけど、ローレンに関しては表現力やステージを支配するようなカリスマ性を持っているので、どんなライブになるのかすごく楽しみだなと。叶さんは、僕とは段違いに経験値がたくさんある方なのと、今回はゲストの方もいらっしゃるということで、当日のセットリストなども含めてとても期待しています。
――ライブへ向けて、リスナーの皆さんに事前に準備してほしいことは?
僕はこれまでにリリースしている曲が複数あるので、まずはオリジナル楽曲をたくさん聴いていただきたいですね。あとライブ当日も「今日は1日最高の日にするぞ!」と思って来てほしいですし、当日現地に来られない方が楽しめるように色々と考えているので、そういうところも期待していただけたらうれしいなと。
今回のソロライブは1年後、5年後、10年後と時間が経った時に「マジで最高だったよな」って皆が言ってくれるようなライブにしたいと思っています!
■「今年は“運が良い”年」新たな挑戦に臨んだ2026年上半期を振り返る
――ここからは甲斐田さんの活動について聞かせてください。今年は「にじさんじ麻雀杯2026」での優勝やソロアルバム、そしてソロライブと、まさに“甲斐田さんの年”という印象を持っている方も多いと思います。改めて、上半期を振り返ってみていかがでしたか?
確かに2026年は“運が良い”年だと今年の頭から感じていて。それこそ「にじさんじ麻雀杯2026」で優勝できたことだけでなく、お菓子を食べていたら当たりくじが出たりと、小さなラッキーが続いていたような気がします。
最近は身体の調子がすごく良くて、モチベーションが高いということもあり、自分にとって追い風な1年でもあり、素敵なご縁に恵まれている年でもあると感じています。
――甲斐田さんは配信上で、「歌ってみた動画」や「ショートアニメ」の投稿といった、個人活動に今年は力を入れたいと話していました。そう思った理由を教えていただきたいです。
シンプルに「新しいことをしてみたい」「いろんなことをやってみたい」ということを念頭に、“チャレンジしたい”という気持ちが大きかったですね。それこそ歌ってみた動画に関しては、これまでカバーするということをあまりやってこなかったので「チャレンジしてみたい」。ショートアニメの投稿も、前々からIP的なものの制作に「チャレンジしてみたい」という思いがあって。
あとは現在活動をおやすみしている「ROF-MAO」に対して、寂しいと感じる方が絶対にいらっしゃるだろうなと思っていたので、せめて自分のできる範囲で皆さんの楽しみを増やしていけたらという考えもありました。
――そして今年の4月からは、ショートアニメ企画「神隠高校の妖術使い」がスタートしています。配信上では「以前からやりたかった」とお話しされていました。
先ほども少しふれたように、世界観がしっかりと作られた何かを作ってみたくて。以前「VΔLZ」で「桜魔大戦譚 ~相対するモノたちへ~」というストーリーコンテンツをやっていたのですが、それとは少し違ったアプローチかつ、ショート動画内での展開に興味があったんですよね。本腰を入れるまでに少し時間がかかったんですけど、協力してくださるスタッフさんもいらっしゃったので、ようやく実現できました。
――設定やシナリオは、どのように作っていったのでしょうか。
大まかにやりたいことをお伝えしつつ、社内でご意見をいただきながら作っていきました。例えば「あやかしを退治していく話にしたい」という案に対して、「じゃあ“なんでも屋さん”みたいなことをしている設定にする?」みたいな。
キャラクター設定については、制作会社さんに考えをお伝えして練っていただき、出来上がったものに対して僕がフィードバックを返す……という形で徐々に固めていきました。
――作中では、あやかしや女性の声などを全て甲斐田さんが担当しています。キャラクターを演じ分けてみていかがでしたか?
難しいなと思いました。僕はプロの声優さんではないので、お芝居や演じ分けに関してほぼ素人なんですよ。「どうしたらキャラクターの雰囲気を変えられるんだろう?」ということを考えながら毎回録っています。
特に番外編で初登場した新キャラは演じるのにかなり苦労しました。実はあやかしの声や女の子の声はピッチを変えたりしているんですけど、新キャラに関してはそのまま演じているので、社内の方とやり取りしながらリテイクを重ねていましたね。
■「総合力で評価してもらう」これまでの挫折から得た、自らの戦い方
――甲斐田さんは日々の配信について「リスナーと一緒に作っていく」ことに重きを置いている印象があります。このような考えに至った理由を教えてください。
僕は今までの人生の中で挫折する瞬間がたくさんあって。それを自分で解決しようとしてきたんですけど、人に頼るのがあまり得意じゃないし、自分1人でできることには限界があると感じていて。あと何かをしていても、見てくれる人や感じ取ってくれる人がいないと、自分自身に価値をあまり見出せないんですよね。
そういった意味では、応援してくれる人がいることによって僕は僕でいられるし、周りで見てくれる人がいるのはすごく重要だなと。
先ほども少し話したんですけど、人と一緒に何かを作り上げていくのって本当に楽しいことで。例えば「ソロライブが決まりました」「オリジナル曲を作りました」という瞬間を近くで見てくれる人がいることって、僕もうれしいし、相手もうれしいと思うんですよ。このように「その瞬間を味わってほしい」という気持ちが強いので、一緒に作っていくことを大切にしています。

――告知配信や弾き語り配信でも、曲の希望を募っていたのが印象的でした。
弾き語りって事前準備が多少必要なんですけど、割と柔軟にできたりもするので。その瞬間のライブ感や一緒に作っているような雰囲気があるのかもしれないですね。
――また、甲斐田さんは音楽活動をはじめ、弾き語りやゲーム配信、ユニット活動など“入り口”が多いように感じます。
この話は別のところでもしているのですが、僕は“1つのことを極められなかった人間”なんですよ。世の中には自分より歌が上手い人もたくさんいるし、ゲームが得意な人も多く存在する中で、“いろんなことに挑戦して総合力で評価してもらう”というのが自分の戦い方であり、そんなところが反映されているんじゃないかなと。
例えば、音楽には興味ないけどゲームしているところを見たいという方もいると思うし、逆にゲームは全然わからないけど、音楽はすごく好きという人がいるかもしれない。その人にとって面白いと感じるコンテンツがあったらすごく素敵なことだと思っているので、僕はさまざまなことをしています。
――最後に、ライブ開催を楽しみにしている方へのメッセージをお願いします。
「甲斐田晴 1st One-Man Live -足跡-」は、これまで積み上げてきたものの集大成で、これまでの“足跡”が作り上げてきたライブになっています。長く配信を見てくださった方だけでなく、最近僕のことを知ってくださった方も楽しめるようなライブを目指しているので、全力で期待しつつ、当日を待っていただけたらと思っています。よろしくお願いします!
◆取材・文=渡辺美咲

