まさに異例ずくめの会見だった。
日本サッカー協会(JFA)が7月24日に開いた記者会見で、続投が決まった森保一監督がなぜ「異例の半年契約」なのか、その経緯がわかった。
理事会(7月23日)での決議は、15人の理事全員による満場一致で森保監督の続投を承認したわけではなかった。
「なぜなら、宮本恒靖会長を筆頭にした協会幹部の右往左往ぶりが目立った監督人事だったからです」(JFA担当記者)
この日、森保監督とともに会見に同席した宮本会長は森保監督に「今年3月には、W杯をもって退任してもらう」ことを伝えたと明かした。そこで宮本監督は「外国人監督招聘」に舵を切ったのだが、ブラジル代表アンチェロッティ監督の年俸16億円を筆頭に、
「勝てる監督の報酬は今、年間10億円台が相場」(前出・JFA担当記者)
とあって、頓挫した。
なにしろJFAは今年度、30億円以上の赤字想定予算を組んでおり、台所事情は火の車。そこで宮本会長はあろうことか「W杯で終わり」を通告した森保監督に再オファー。それもアジア杯までの半年間という超異例の契約提示だった。
ところがこの一連の動きは、宮本会長の「独断」だったことが発覚。W杯の本大会直前にもかかわらず、JFA幹部の間では蜂の巣をつつく大騒動に発展したという。
ハシゴを外しておきながら打診する際に「助言者・西野朗」の力を借りた
サッカー日本代表監督の選考は、山本昌邦技術委員長が宮本会長へ打診して、最後は宮本会長が協会理事会に推挙する形で行われる。今回もそのはずだったが、もうひとり「助言者」という立場で宮本会長が指名し、監督人事に関わった人物がいる。それが森保監督の前任者である西野朗前監督だった。
この日の会見が行われるまで、その名前は伏せられていたが、宮本会長は「みなさんに公表する機会がなかった」と釈明。森保監督のハシゴを外しておきながら5月に打診する際に、西野前監督の「チカラ」を借りたと明かしていた。
当の森保監督は会見でこう言った。
「私はオファーを受けた契約通りにやるだけです。雇われる側と雇う側の問題はありますが、宮本会長には真摯にお話をいただいた」
世界のサッカーを見ても、代表監督の半年契約など前代未聞。その詳細については「今は明らかにできない」と宮本会長は話した。
経緯の説明の最中には話を中断して「ちょっと冷房を強めてくれませんか」とリクエストする場面も。
本来なら次のW杯に向けて再出発をアピールする会見は、最後までシラケムード。通常なら会見後に写真撮影が行われるのだが、それもなく終了した。
W杯ベスト32という結果をみたJFAと日本代表は、一気にその雲行きが怪しくなってきている。
(小田龍司)

