ベースボールを題材とする映画は数多く存在する。そこで、野球映画に一家言あるアメカジラバーたちの最も影響を受けた作品を“偏愛全開”で語ってもらった。今回登場するのは、「ウエアハウス」広報・藤木将己さん。長嶋茂雄が現役引退した1974年に京都府で生まれ、1997年にウエアハウス入社。小学5年から本格的に野球を始め、大学までプレー。本誌お馴染みの面々の中でも屈指の野球好きである。
プロさながらのリアルな着こなしがのちのアイテム収集のきっかけに|For Love of the Game(ラブ・オブ・ザ・ゲーム)
「正直にいうと、“わざとらしい”野球映画は好きじゃないんです。自分自身が野球好きだった父の影響で小学生から大学まで野球に打ち込んでいたこともあり、野球映画に対する目線は厳しめです。『このユニフォームの着方はおかしいやろ』とか、気になっちゃうんですよね(笑)。
そんな中でも個人的に名作だと思うのが1999年に公開された『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』です。ケビン・コスナーが演じる主人公のビリー・チャペルは当時弱小チームだったデトロイト・タイガースのベテラン投手。球団の売却が決まり、引退かトレードかの選択を迫られた状態で迎えるヤンキース戦でのピッチングにフォーカスを当てた作品です。
彼の運命が決まる一戦と過去の回想シーンが交互に描かれるような構成なのですが、まずユニフォームの着こなしからオーディエンスの描写までが実にリアルで、本当の試合を観ているかのような臨場感があります。試合開始時は主人公のビリーに酷い野次を飛ばしていたヤンキースファンが試合終了後には拍手を送っていたりと、いかにもアメリカ人らしい観客のようすが描かれていたり、回想シーンではビリーの恋愛と“男の弱さ”が描かれていたり、見どころを挙げればキリがありません。
自分が野球少年だった頃に父が様々な野球グッズを買い与えてくれていたこともあり、大学時代には野球部のユニフォームのデザイン担当に立候補したりと、プレーだけでなく“スタイル”にもこだわりがありました。大学入学当初からナイキのスパイクを履きリストバンドをしていたので、先輩からいじられたりもしました(笑)。アメリカらしい“ベースボールスタイル”で野球がしたいという気持ちがあったのだと思います。
そういう観点から見てもこの映画では、例えばアンダーシャツのハイネックにチームロゴが入っていたりとか、スパイクのシュータンが大きいとか、この映画はユニフォームの着こなしがとてもイケていて、ケビン・コスナーが本物のメジャーリーガーに見えるんです。
ストーリーの面からは、とにかく最後の結末に注目してほしいですね。自分はこの映画を観て、まずデトロイトタイガースのキャップと主人公が使用していたローリングスの『ゴールドグラブシリーズ』の色違いの黒を買いました。先述の通り、プレイヤー時代から野球道具へのこだわりはひと一倍だったのですが、この映画を観てその思いは加速しましたね。
そこからはメジャーリーグのキャップを買い集めたり、ミリタリーもののベースボールシャツやベースボールTシャツにも手を伸ばすようになりました。元々ジーンズやスウェットのようなヴィンテージやアメカジ的なプロダクトが好きでしたが、ベースボール関連のアイテムも言ってしまえば同じです。
19世紀から歴史があって、素材もウールからコットン、ナイロンへと変遷していくし、時代を通して見れば『オリンピックごとに仕様が変わるんだ』とか、様々な発見があります。僕からしたら30年代〜戦前の野球アイテムも立派なヴィンテージなんです。ベースボールをプロダクトの観点から考えるきっかけになったという点やストーリーの面白さも含めて、この映画は自分にとって特別です」
収集してきたキャップやB.B.シャツ、そして映画に影響されて購入したキャップとグローブ



『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』について書かれた特集記事を見てもわかるようにケビン・コスナー演じる主人公のビリー・チャペルの着こなしは本物のメジャーリーガーさながら。着こなしに一家言ある藤木さんが認めるのだから間違いはない。この映画の影響を受けて最初にデトロイト・タイガースのキャップとローリングスのグローブを購入。その後は収集の幅は広がり、ニューエラ製に統一される前のヴィンテージのメジャーリーグのキャップやフロントに「NAVY」と大きく刺繍された軍モノのベースボールシャツなどを所有する。
(出典/「Lightning 2026年7月号 Vol.387」)