先に「チケットが売れる」として名が挙がった氷川きよしも、24年7月、約24年間所属した「長良プロダクション」から独立している。
「氷川は自宅購入資金として億単位の金を長良プロに用立ててもらった恩があり、長らくは独立という選択肢を選べなかったな。返済が終了してからも、『休業』という名のもとに1年間は活動をしない期間を作ってから独立した。どちらへの義理も通したいNHKは板挟みとなったようだけど、復帰はNHK。その後の歌手活動は旧事務所と関係の深い興行師が手がける会場ではなく、東京だったら明治座、大阪では新歌舞伎座と、劇場に絞ってコンサートを展開している」(元興行関係者)
まさに義理人情の芸能界─。当然ながら、旧事務所に対する忖度は興行関係ばかりではない。民放キー局のディレクターが言う。
「芸能界はいい意味でヤクザな世界ですよ。周囲も親分の顔色をうかがいます。例えば、先ほど話に出ていたバーニングには細川だけではなく、郷ひろみもいれば小泉今日子もいた。細川を応援したくても、『細川か周防社長のどちらかに票を入れろ』となれば、気持ちのどこかで50対50でも、100対0で周防社長に票が入るんです。細川で1〜2回飯が食えるところが、バーニングならば100〜200回飯が食えるんですから」
また、周囲が勝手に忖度して話を広げるのが“芸能界あるある”なのだという。
「旧事務所が独立するタレントの悪口を吹聴するわけでもなく、例えば親交のある別事務所の人間が『今度の細川の独立は、周防さんがかなり怒っているらしいよ』などとつぶやきます。音事協で横並びの事務所も反応して、総じて過敏になる。こうして“共演NG”の空気ができあがると、徐々にテレビ局も『様子を見ておこう』となってしまうのです」(民放キー局ディレクター)
「吉本興業」から2度にわたって独立した過去を持つ、島田洋七もかつての芸能界の空気感について同調する。
「事務所が圧力かけるというよりは、使う側が忖度するっていう構図だったんだよね。聞いた話やけど、『あの人を出すな』とは言わんらしいね。それは引っかかるんやろ、やっぱり。『あの人を出すんなら、うちのタレントは─』ってね。それは自由だから。そういうことはずっとあったみたいね」
24年2月に契約解消という思わぬ形で、やはり吉本からフリーになった岩橋良昌が吐露する。
「僕は芸人を辞めたわけではないんですけど、吉本を退所してから2年間、テレビ出演が100%なくなってしまっている状態です。さすがに吉本がテレビ局に対して圧力をかけているというような話を直接聞いたことはありませんが、テレビ局サイドが吉本の顔色をうかがって起用を控えていることは想像ができます。関西のどんなちっちゃいローカル局すらないんですよ。テレビとは別の仕事のオファーが来た時には、『吉本芸人と岩橋さんの共演NGが出てるんですよ』という内容を耳にしたことがあるので、まあ、そういうこともあるんだろうなと」
人間を扱うビジネスゆえに、感情が先に立つことも多いのであろうか。
次回は、タレント独立騒動の当事者により耳を傾けてみたい。

