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寺脇研が選ぶ今週のイチ推し!〈彼らは不幸な世代じゃない! 団塊ジュニアが日本を動かす〉

寺脇研が選ぶ今週のイチ推し!〈彼らは不幸な世代じゃない! 団塊ジュニアが日本を動かす〉

「中年中心社会 団塊ジュニアとポスト団塊ジュニア」
原田曜平・著(集英社新書/1144円)

 本書で言う「中年」とは、ずばり71年~74年生まれの「団塊ジュニア世代」と75年~87年生まれの「ポスト団塊ジュニア世代」である。現在39歳~55歳。「就職氷河期世代」いわゆるロスジェネが44歳~56歳だとされるから、ほぼ重なる。バブル崩壊後の就職氷河期にぶつかり、非正規雇用など不安定な職に就かざるを得なかった者が多いため、経済的に恵まれぬ不幸な世代と目されている層だ。

「その世代が今や社会の中心であり、これからの日本を動かしていく!」と主張する著者は、77年生まれのマーケティング研究者でテレビ出演も多い。著者は、既に25年から「中年中心社会」が始まっていると説く。何よりの根拠として、70年代以降、半世紀以上にもわたり社会の中心となってきた「団塊世代」の大半が、後期高齢者となって退場し始めた事実がある。高度経済成長期を支え、日本を劇的に発展させてきた彼らが去った後を継ぐのは、どの世代なのか。

 残念ながら、団塊のすぐ後に続く、わたしたち70代前半や60代ではないというのだ。組織の中なら、年齢の順送りだろうが、社会全体となるとそうはいかない。団塊の次に人口が多いのは、その子に当たる団塊ジュニアなのである。有権者の多数を占める政治面で、消費者という立場の経済面で、一番強い社会的影響力を持つ。マーケティングの手法で、政治や経済を分析する著者の主張は説得力十分だ。

 しかも巡り合わせからとはいえ、インターネットの普及に始まり、AIに至るデジタル時代への移行に直面した最初の世代でもある。戦後民主主義時代と最初に出会った団塊と同じく、時代変化の先端を担っているわけだ。少し後を歩んできたわたしたちが、戦前生まれの親たちでなく、団塊世代の価値観の影響を強く受けたように、ポスト団塊ジュニアをはじめとする50歳以下が、団塊に従った56歳以上よりも団塊ジュニアの価値観に共感するのは当然だろう。

 そして本書は、現在の中年たちの価値観や生き方を、男女4000名にものぼる意識調査によって明らかにしていく。7つの類型を示しての分析は、興味津々だ。団塊から見ると可哀想なロスジェネである彼らが、下の年代から見ると親しめる存在であるのも理解できる。

 これからの日本社会をどのようなものにしていくのか、われわれ年上の人間も「中年中心社会」に期待したくなる。現時点では、就職氷河期に翻弄された自分たちは不遇の人生だった、と思っている人が多いというが、まだまだ少なくとも20年以上は元気なのだ。

「すばらしい社会を築いてほしい」と願いたくなる一冊である。

寺脇研(てらわき・けん)52年福岡県生まれ。映画評論家、京都芸術大学客員教授。東大法学部卒。75年文部省入省。職業教育課長、広島県教育長、大臣官房審議官などを経て06年退官。「ロマンポルノの時代」「文部科学省『三流官庁』の知られざる素顔」「昭和アイドル映画の時代」、共著で「これからの日本、これからの教育」など著書多数。

配信元: アサ芸プラス

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