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現役プロ内山靖崇、テニスを起点にした「縁」で大会も運営。スポンサーをつなぎ、次世代へバトンを渡す<SMASH>

現役プロ内山靖崇、テニスを起点にした「縁」で大会も運営。スポンサーをつなぎ、次世代へバトンを渡す<SMASH>

7月某日――著名人の結婚式や、芥川賞受賞式等が開かれることでも知られる東京會舘の宴会場で、テニス関係者たちを招いたパーティーが開かれた。

 参席者は、ATPチャレンジャー大会「ユニ・チャームトロフィー愛媛国際オープン」や、ITFトーナメント「株塾 甲府国際オープンテニス」関係者を筆頭に、いずれもテニスを支援する方たち。44社から88名の関係者たちが参加し、談笑を楽しんでいた。

 それらの輪の中心にいるのは、世界ランキング・シングルス78位、ダブルス102位の最高位を記録する、現役テニスプレーヤーの内山靖崇である。現在はケガの治療に専念中だが、33歳を迎えた今も300位台を維持。5年前には、郷里の札幌市にITF国際大会「UCHIYAMA CUP」を設立し、同大会の主催・運営者としても活躍中だ。

 その内山と共に、来場者たち一人ひとりに挨拶し、パーティーが円滑に進むよう駆け回っていた人物がいる。それが、立ち食いそばチェーン「名代 富士そば」を運営するダイタンホールディングス株式会社代表取締役の、丹有樹氏。自身もテニス愛好家である丹氏と内山の2人こそが、大会の枠を超え、テニスを支援する企業が交流を深める、今回の「スポンサーズミーティング」発起人である。

 内山にとって丹氏との「縁」は、自身の夢の原点にあった。北海道に住む内山が、初めてプロテニス選手たちを間近に見たのは、小学2年生の時。札幌市出身の鈴木貴男氏や増田健太郎氏ら、当時のトップ男子選手たちによるエキジビションだった。

「札幌でプロの試合を見て、『プロ選手ってすごいな、自分も将来プロになりたいな』と強く思った幼少期の体験」こそが、内山のキャリアの起点にして熱源。「似たような機会やきっかけを、北海道の子たちに与えたい」との思いから、内山はプロ大会を地元に設立した。
  実は、内山少年が目を輝かせて見たこのエキジビションの運営スタッフに、若き日の丹氏がいた。学生時代にテニスに打ち込みコーチ業も経験した丹氏は、テニスイベント会社「プロテニス日本」に就職。札幌のエキジビション大会の運営にも関わっていた。

「丹さんがその場にいらっしゃったと知るのは、20年後くらいだったわけですが」と、数奇な巡り合わせに内山は頬を緩める。

 丹氏にしてみれば内山は、かつて抱いた「テニス界に貢献したい」という願いの実現そのもの。しかもその内山が今、さらなる未来のために種をまいているのだから、感慨もひとしおだったろう。

 そんな両者が再会した時、理念が合致するのは必然だ。丹氏は2023年から「UCHIYAMA CUP」をスポンサード。今年6月に東京で開催された同大会では、「名代 富士そば」が特別協賛を務めた。

 内山にしても、東京で大会を開催するにあたり、関東圏で広い人脈を持つ丹氏の存在は心強い。実際に丹氏の声掛けにより、新規に得られたスポンサーもあった。「ただやはりどうしても、出していただいた金額に対し、リターンを返せるかどうかというところが大きな課題となった」と内山が明かす。
 「UCHIYAMA CUP」は賞金総額15,000USドルの、最も小規模な国際大会。純粋なメディア露出という点での、宣伝効果はさほど見込めないのが実情だ。

 その時に丹氏が内山に提案したのが、「協賛企業間の横のつながりを増やし、新たなビジネスチャンスの場を提供すること」だった。

「うちの大会だけではリターンは難しいけれども、もっと大きなテニスという枠で、ビジネス創出ができたらいいなというお話を、丹さんからいただいたんです」と内山。そこで開催されたのが、冒頭で触れた『スポンサーズミーティング』だった。

「今回、内山選手と一緒に『UCHIYAMA CUP TOKYO』をさせていただくにあたり、弊社の関連企業さんにお声掛けをしていったんです」

「スポンサーズミーティング」終了後――ゲストたちの去った会場で、丹氏は安堵の表情で事の発端を語ってくれた。

「ありがたいことに協力してくださった方々もいるのですが、何かしっかりお返ししていかないと、1年しかもたないとも感じていました。もちろん、大会の中でできることは一生懸命にやりますが、それ以外に何か企業さんにお返しできることはないかなというところで、みんなで知恵を絞りまして。スポンサーさんたちが一堂に会する場あれば、色んな企業さんを横断し、新しいことを生み出せるのかなというのが今回のパーティー開催のきっかけでした」

 加えて、ダイタンホールディングス社のメインバンクである東日本銀行も、テニスとの関わりは深い。同社と付き合いのある愛媛の伊予銀行と甲府の山梨中央銀行は、いずれもテニス大会の協賛をしている。「この三行にお声掛けをしたところ、非常に共感していただけたのが大きかったです」と、丹氏は表情を輝かせた。
  テニス関係者であり実業家である丹氏が、常々感じていたのが「いかに協賛企業に対価を返していくか」だという。

「正直、私たちが開催している小規模のテニス大会では、広告宣伝価値は非常に低いと言わざるを得ない。そこに目をつぶって『皆さん、スポンサーしてください』とお願いをしていく状況が見られますが、ここが変わらないといけないと僕は思っていました」

 では具体的には、どのような手法が考えられるのだろうか? 丹氏がそのヒントを示す。

「企業さんにもそれぞれのニーズや戦略があり、今必要なのは知名度なのか、あるいは事業拡張なのかなど異なります。そこで我々は、各企業にしっかりヒアリングをかけ、貢献できることをオーダーメイドで考えていきました。一緒に成長していける形をご用意できれば、長く続く関係性を築けるのではと思っています」

 そのような理念実現のためのパーティーでは、「すでにい幾つか、新しいビジネスが生まれそうだと聞いています」と、内山がうれしそうに明かす。

「とにかく、テニス界に協賛いただいている企業さんを横串でつないでいきたい。テニスという競技や会場をハブとして、大きなコミュニティにしていきたいというのが、一番の狙いです」と内山は言った。

 内山がプロテニス選手を志す起点にあった、丹氏との縁――その縁が巡り再び出会った今、より多くの人々の縁を結び、次世代にトーチをつなぐことが2人の願いだ。

取材・文●内田暁

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配信元: THE DIGEST

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