昨プレーオフのウエスタン・カンファレンス・ファイナルは、“事実上の頂上決戦”と評されていた。リーグベストの64勝18敗(勝率78.0%)でレギュラーシーズンを終えた前年王者オクラホマシティ・サンダー、同2位の62勝20敗(勝率75.6%)をマークしたサンアントニオ・スパーズが激突したのだから、その前評判は決して大げさではなかった。
シリーズはサンダーが3勝2敗で王手をかけたものの、スパーズがそこから2連勝。4勝3敗で逆転突破を果たし、NBAファイナルへと駆け上がった。しかし、12年ぶりに臨んだ頂上決戦では、ニューヨーク・ニックス相手に全5試合で2桁リードを奪いながらも、1勝4敗で敗退した。
とはいえ、22歳のヴィクター・ウェンバンヤマ擁するスパーズは、ステフォン・キャッスルにディアロン・フォックス、デビン・ヴァッセル、ジュリアン・シャンパニーによる昨季の先発陣をキープ。今夏にはベテランフォワードのトバイアス・ハリスを加えており、若手の成長を加味すれば戦力はさらに増す。そのため、来季は間違いなく優勝候補の一角として迎えることになる。
先日ニューヨークで開催された『Fanatics Fest』(ファナティクス・フェスト)で、自身のポッドキャスト番組『The Big Podcast with Shaq』の公開収録に臨んだシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)は、来季のウエストを制するチームを聞かれ、スパーズを挙げていた。
「俺ならサンダーよりもスパーズを選ぶね。なぜって、ヴィクター・ウェンバンヤマが適切なプレーをしたら、対戦相手にとって厄介な存在になるからだ。両チームの実力は拮抗していて非常に似通っているが、もしヴィクターがプレーオフのシリーズ4試合のうち3試合で支配できれば、俺は迷わずスパーズを選ぶ」
224㎝・107㎏のウェンバンヤマは、驚異的な高さと長さを兼備しつつ、ドライブ、ジャンパー、3ポイントも難なくこなしてしまう驚異のオールラウンダー。昨季のウエスト決勝で、チェット・ホルムグレンやアイザイア・ハーテンスタイン、ジェイリン・ウィリアムズらサンダーのビッグマン勢を相手に、シリーズ平均27.3点、10.9リバウンド、3.1アシスト、1.4スティール、2.7ブロックと暴れ回った。
だがニックスとの頂上決戦では、カール・アンソニー・タウンズ、ミッチェル・ロビンソン(現ボストン・セルティックス)の前にシリーズ平均26.0点、11.2リバウンド、2.6アシスト、3.6ブロックをマークした一方で、フィールドゴール成功率42.3%と苦戦を強いられた。
それでも、シャックは“期待を込めて”ウェンバンヤマを高く買っていた。「ウェンビーに対して敬意を込めて言うが、彼は素晴らしい選手だけど、もっと強くなる必要がある。圧倒的な力を持つビッグマンになれば、相手は強引にぶつかってくるようになるものだが、彼はそうした当たりにうまく対応できない場面が多かった。この夏に彼が(トレーニングへ)どう取り組んでいくかはわからないが、間違いなくウェイトルームにこもって肉体を強化する必要があるだろう」
来季の開幕まで約3か月。昨季の成功で得た自信と、ファイナルで味わった苦い思いを胸に、まずはウェンバンヤマがどんな姿でトレーニングキャンプへ登場するかを楽しみに待ちたいところだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
【画像】シャック、アイバーソン、コビー、レブロン、カリー、ヨキッチ…2000年以降のMVPを受賞当時の写真で一挙振り返り!

