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『残念ながら明日も出勤です!』“ツンデレ上司”役で世界を魅了する歌手ソ・イングクが新作アルバム『TRACE』に刻むもの

『残念ながら明日も出勤です!』“ツンデレ上司”役で世界を魅了する歌手ソ・イングクが新作アルバム『TRACE』に刻むもの

大ヒット中『残念ながら明日も出勤です!』でクールで冷静、孤独なワーカホリック、カン・シウを演じるソ・イングク。ロマンスキングっぷりが炸裂! 新作EP『TRACE』に込めたファンとの大切な記憶について熱く語ってくれた
大ヒット中『残念ながら明日も出勤です!』でクールで冷静、孤独なワーカホリック、カン・シウを演じるソ・イングク。ロマンスキングっぷりが炸裂! 新作EP『TRACE』に込めたファンとの大切な記憶について熱く語ってくれた / 撮影=Maiko Fukui

Amazon Prime Videoでワールドワイド非英語圏1位(6/29-7/5)、世界44カ国でTOP10入りを記録し、グローバルな大旋風を巻き起こしているオフィス・ロマンスドラマ『残念ながら明日も出勤です!』。ソ・イングクが演じるのは、社内で最も避けられている無愛想な上司、カン・シウだ。冷たい口調の奥に真心を隠した人物を、表情、声、視線のわずかな変化で立体的に見せている。さらにNetflix『マンスリー彼氏』などでも評価されるソ・イングクが、9月30日にEPアルバム『TRACE』をリリースする。来日時にソ・イングクにインタビューを行い、アルバムについてたっぷり語ってもらた。
「スマイルなし、雑談なし、謝罪なし」の超冷徹上司カン・シウ(ソ・イングク)。ヒロインにだけふと見せる優しさに世界中が胸キュン!
「スマイルなし、雑談なし、謝罪なし」の超冷徹上司カン・シウ(ソ・イングク)。ヒロインにだけふと見せる優しさに世界中が胸キュン! / 『残念ながら明日も出勤です!』Prime Videoにて独占配信中

■注目歌手・注目俳優ソ・イングク

今年3月から配信されているNetflix『マンスリー彼氏』で彼が演じたパク・キョンナムも、不愛想で簡単には感情を表に出さない人物だった。共通する輪郭を持ちながら、二人がまとっている空気はまるで違う。どこかに本当に存在していそうなリアルな自然さと、現実離れした圧倒的なビジュアル。その絶妙なバランスも、ソ・イングクの大きな魅力だ。
『マンスリー彼氏』でソ・イングクが演じるのは、主人公ミレ(ジス)の同僚でクールな天才ウェブトゥーン編集者パク・キョンナム。VRの世界での恋にハマるミレと急接近して…⁉ 後半の“ギャップ萌え”に沼落ち必至の注目作。
『マンスリー彼氏』でソ・イングクが演じるのは、主人公ミレ(ジス)の同僚でクールな天才ウェブトゥーン編集者パク・キョンナム。VRの世界での恋にハマるミレと急接近して…⁉ 後半の“ギャップ萌え”に沼落ち必至の注目作。 / Netflixシリーズ「マンスリー彼氏」独占配信中


ドラマをきっかけに彼を知った人の中には、まず「人気俳優」という印象を持つ人も多いだろう。しかし、彼の原点は音楽にある。2009年、韓国のオーディション番組『SUPER STAR K』で約70万人の頂点に立ち、歌手としてデビュー。2012年に『ラブレイン』で俳優活動を始め、同年の初主演作『応答せよ1997』で大ブレイク。2013年には、日本で歌手デビューを果たしている。

もはや「本業はどちらか」と尋ねること自体が意味をなさない。歌手100%、俳優100%。「歌も歌える俳優」でも「演技もできる歌手」でもなく、その両方を完全な形で成立させている稀有な表現者だ。

そんな彼が、2026年9月30日にEPアルバム『TRACE』をリリースする。“時間の中に残された痕跡”を記録するアーカイブをコンセプトに、音楽や写真だけではなく、一人の人間が重ねてきた時間、記憶、感情、そして言葉にならなかった思いまでを保存したいという作品だ。俳優、アーティスト、そして一人の人間として積み重ねてきたものを、彼はどのように新作へ刻んだのか。


■「嬉しいのに笑わない」世界を沼らせる無愛想な上司カン・シウの緻密な演技設計
カーテンをつかった撮影では、撮影スタッフたちがモニターを見ながら「まるで天使のようだ!」と喜んでいると、思わず大笑い
カーテンをつかった撮影では、撮影スタッフたちがモニターを見ながら「まるで天使のようだ!」と喜んでいると、思わず大笑い / 撮影=Maiko Fukui

柔らかな光の中で魅せる、儚くも美しい表情
柔らかな光の中で魅せる、儚くも美しい表情 / 撮影=Maiko Fukui


――出演作を振り返ると、本当に多様な人物を演じていますよね。できないことがないように見えますが、実は苦手だと感じることや、難しい役柄はありますか?

ソ・イングク:「そうですね。実は、僕がいつも難しいと感じるのは、『残念ながら明日も出勤です!』のカン・シウのようなキャラクターです」

――えっ、本当ですか?

ソ・イングク:「『空から降る一億の星』のキム・ムヨンも難しかったんです。感情の表現が制限されるキャラクターは、どう見えるのかまで考えなければならないので。例えば、嬉しいときに笑うのであれば、そのまま笑えば伝わりますよね。でも、嬉しいのに笑わない人物の場合は、別の方法で“嬉しい”という気持ちを表現しなければならない。今回のカン・シウは、物語の後半になるにつれて、少しずつ自然に感情を表すようになります。それでも、感情を表情に出さない役柄は、何度演じても難しいと感じます」
世界で大ヒット中
世界で大ヒット中 / 『残念ながら明日も出勤です!』Prime Videoにて独占配信中


――これから挑戦してみたい役柄はありますか?

ソ・イングク:「演技では、ある人物の性格だけでなく、その人の職業や生き方まで表現しますよね。世の中には、本当にさまざまな人がいて、いろいろな職業があります。もちろん、そのすべてを演じきることはできないと思います。だからこそ、これからもできる限り、多彩な役柄に挑戦してみたいです」


■「ジヒョンさんとよく歌っています」撮影秘話
真剣な眼差しで質問に耳を傾け、よどみなく答える姿が印象的。
真剣な眼差しで質問に耳を傾け、よどみなく答える姿が印象的。 / 撮影=Maiko Fukui


――最近演じている役柄は、日本語でいうと“ツンデレ”タイプですよね。カン・シウも、人に見られていないところでふっと笑う。その表情がとても印象的です。

ソ・イングク:「“ツンデレ”ですね。はい、そうだと思います」

――『残念ながら明日も出勤です!』相手役のパク・ジヒョンさんの誕生日に、バースデーソングを歌う動画も拝見しました。撮影現場もとても雰囲気がよくて楽しそうでしたね。

ソ・イングク:「バースデーソングは、少しクラシカルな感じで歌いました。実は撮影現場でも、ジヒョンさんとよく歌っているんですよ。ジヒョンさんには、ステージで歌ってみたいという大きな夢がありまして。今回のドラマの視聴率が10%を超えたら、『M COUNTDOWN』で歌ってみようという話になっています。放送局も同じですからね」
多数媒体取材が入っていたにもかかわらず、撮影に全力でのぞんでくれたソ・イングク。直前まで冗談を飛ばしていたとは思えぬ集中力
多数媒体取材が入っていたにもかかわらず、撮影に全力でのぞんでくれたソ・イングク。直前まで冗談を飛ばしていたとは思えぬ集中力 / 撮影=Maiko Fukui


――ジヒョンさんは最近、映画『ワイルド・シング』で、音楽番組の常連となるアイドルも演じていましたよね。

ソ・イングク:「そうです。今度は役としてではなく、本物のステージで歌ってみたいそうです」

――そのときは、ソ・イングクさんも歌手の先輩としてアドバイスをしないとですよね。

ソ・イングク:「はい、それはもちろん!」

■「実は自分の歌声が流れると気恥ずかしい(笑)」OST参加への意外な本音

――俳優とアーティストの活動を、これほどコンスタントに並行して続けている人は多くありません。イングクさんは、二つの活動を意識的に切り替えているのでしょうか?

ソ・イングク:「特に意識して切り替えているわけではないんです。幼い頃から音楽をやって、専攻もしてきたので、僕にとって音楽をすることはとても自然なことなんです。音楽はどこにでもありますからね。最近の面白いミームに使われるものもあれば、外から聞こえてくる工事の音にビートを乗せるだけでも音楽になる。音楽は、すべてのものに埋め込まれているんです。

一方で、役柄を演じるときには、また別の集中力が必要です。その人物を演じるためにいろいろなことを考えなければならないですし、演じている間は、その役のことだけに集中します。そうやって役柄のことだけを考えて仕事をしたあと、家に帰ると、そこからは僕にとって音楽ができる時間なんです。そういう意味では、自然とうまく切り替えられているのかもしれません。

それに、僕一人だったら、二つの活動を続けていくことは絶対にできないと思うんです。一緒にいてくれる素晴らしいパートナーたちがいるから、音楽を続けられる。ドラマだって、一人でできるものではありません。相手の俳優も必要ですし、監督も必要です。そんな素晴らしいパートナーたちがいてくれるからこそ、僕は二つのことを続けられているのだと、心から思っています」
肌もピカピカ!
肌もピカピカ! / 撮影=Maiko Fukui


――アーティストは歌で表現し、俳優は演技で表現します。演技をする経験は、曲を書いたり歌ったりするときにも助けになりますか?

ソ・イングク:「もちろん、大きな助けになっています。音楽には感性的な部分や繊細さがありますし、歌詞にはファンタジーもあれば、現実的な部分もありますよね。そうしたものが、キャラクターをつくるうえで必要な想像力にも、とても役立っています。それに、本の中にしか存在しない人物、つまり実在しない人間をつくり出す力が身についたことで、作詞をしたり、歌うときの表現力にも影響していると思います。俳優とアーティスト、二つには大きな違いがありますが、本質はとても似通っています」

――その二つの表現を同時に行うのが、ドラマのOSTですよね。現在配信中の『残念ながら明日も出勤です!』のOSTにも参加されています。

ソ・イングク:「そうですね。ただ、実は自分が役柄として画面に登場しているところに、自分の歌声まで流れると、少し照れくさいというか、気恥ずかしさがあるんです」

――ファンの皆さんは、とても喜んでいますよね。

ソ・イングク:「もちろん、喜んでいただけるのはとてもうれしいです。ただ、自分から『ぜひOSTを歌いたいです』とお願いするというより、監督から声をかけていただいて参加することが多いですね。OSTをレコーディングするときは、あえて“歌手ソ・イングク”を前面に出さないようにしています。僕の中では、歌手としての姿をなるべく排除して、その役柄に寄り添う感覚です。音楽監督やドラマ監督の意図を大切にしながら、その人物や作品に自然になじむ歌い方を考えています」

■ファンの愛に触れた『IRO』の美しい記憶を、もう一度探しにいく旅『TRACE』
控室からも超美声の発声練習の声が聞こえていた
控室からも超美声の発声練習の声が聞こえていた / 撮影=Maiko Fukui


――9月30日にEPアルバム『TRACE』がリリースされます。取材時点では、まだ制作中とうかがっています。

ソ・イングク:「タイトル曲はすでにレコーディングを終えています。その他の収録曲も制作を終えて、これからレコーディングを控えている状況です」

――『TRACE』は、“時間の中に残された痕跡”を記録するアーカイブをコンセプトにしたアルバムシリーズです。イングクさんが「どうしても残しておきたい」と感じているものはありますか?

ソ・イングク:「僕は昨年、『IRO』というアルバムをリリースして、ファンの皆さんと特別な時間を過ごしました。今回のアルバムを準備する中で、改めて『あの時間は本当に素敵なものだったんだ』と気づかされたんです。そこから、『あのときの記憶を、どのように作品へ込めることができるだろう』と考えました。そして、記憶を痕跡として残し、もう一度探しにいくというアイデアが生まれて、今回のアルバムタイトルを『TRACE』に決めました」

――改めてイングクさんの過去の楽曲を聴き返し、どれもまったく年月を感じないことに驚きました。新作も非常に楽しみなのですが、『TRACE』以外の言葉で、今回のアルバムをひと言で表すとしたら、どんな言葉になりますか?

ソ・イングク:「今回のアルバムのタイトル曲が『Tipsy』です。“ほろ酔い”という意味ですが、この言葉がすごくかわいらしくて、どこか奇抜なんですよね。だから、今回のアルバムも“Tipsy”な感じです。僕はお酒が好きで、一杯飲みながら作業をすることも多いんです。一人で歌詞を書いていると、何かが突然ひらめくこともあります。なので、ひと言で表現するとしたら、タイトル曲と同じ『Tipsy』ですね」


■「『ツ』の音には今でも苦労」挑戦を止めない日本語へのこだわり
――以前から、イングクさんの日本語で歌うスキルが素晴らしいと感じていました。

ソ・イングク:「わあ! ありがとうございます!」

――韓国語で歌うときと日本語で歌うときでは、どのように感情を込めていますか? 日本語で歌うときに難しいこと、反対に面白いと感じることも教えてください。

ソ・イングク:「日本語でレコーディングするときは、日本ならではの雰囲気があると感じます。僕は韓国人なので、韓国語の歌詞であれば、その意味や感情をすぐにつかむことができます。
でも日本語の場合は、韓国語のようにすぐにはいかないんです。言葉の意味を理解していたとしても、です。だからこそ、発音そのものが生み出す、日本語ならではの“旨み”のようなものを感じることがあります。どこか少しラフ、と言えばいいのかな。韓国語におけるパッチムの音(※キウクやシウッ、ティウッ、ヒウッ)が混ざったような発音が多いのですが、それが柔らかなメロディや旋律に乗ると、ものすごく魅力的になるんです。そういうところが、レコーディングをしながら感じる日本語の魅力であり面白さですね。一方で、発音が難しい部分もあります。『ツ』の音などは、今でもかなり苦労しています。今回も、タイトル曲『Tipsy』のレコーディングでとても苦労しました。10年以上日本語で歌ってきても、まだ難しいですね」

――まったくそうは感じられません。日本のアーティストが歌っていると言われても、信じると思います。語学や発音のセンスには驚かされます。

ソ・イングク:「レコーディングのときは、本当にたくさんチェックが入るんですよ。なので、毎回苦労しながら取り組んでいます」

――長年日本語で歌われてきましたが、いちばん好きな日本語はありますか?

ソ・イングク:「10年ほど前から『かっこいいな』と思っている言葉があります。『むかし』という言葉です。なぜだかわからないけれど、とても素敵だと思うんです」

――「むかし」とは意外ですね。愛の言葉のような表現を挙げるのかと思っていました。

ソ・イングク:「僕は昔のものがとても好きなんです。昔の曲も好きですし、ヴィンテージというのかな。今日も、アクセサリーの中からヴィンテージの腕時計を選びました。
最近はクラシックにも関心があって、今回のアルバムにも、どこか似たような雰囲気があります。そういう昔の痕跡がとても好きだから、『むかし』という言葉が、以前からずっとお気に入りなのだと思います」

■挑戦してみたいのは「シティポップ」
「嬉しいのに笑わない役が一番難しい」と、役作りの苦労を明かす場面も
「嬉しいのに笑わない役が一番難しい」と、役作りの苦労を明かす場面も / 撮影=Maiko Fukui


――俳優としての経験が、歌の表現にも影響していると話してくれました。イングクさんの歌を聴くと、呼吸や音色、表現の変化が本当に繊細です。その繊細さは、どこから来るのでしょうか?

ソ・イングク:「それが僕のスタイルなのだと思います。歌を歌うとき、歌い手それぞれに歌声があって、歌唱法があって、スタイルがありますよね。自然に醸し出されるものと、歌詞やメロディが重なることで、おっしゃってくださっている“繊細さ”というものが強く表れるのかもしれません」

――今後、挑戦してみたい音楽ジャンルはありますか? これまでバラードやミドルテンポ、R&Bなどを歌ってきましたが、ジャズや、本格的なロックを歌う姿も見てみたいです。

ソ・イングク:「僕が追求しているのは、ソフトなサウンドなんですよね。ロックも大好きですし、以前のアルバムでは、ロック的なベースを効かせたポップもやりました。実は、一昨年くらいから挑戦してみたいと思っているのが、シティポップです」

――それはぜひ、みなさん聴いてみたいのでは!

ソ・イングク:「シティポップは、日本が一番じゃないですか。だから、日本で一度シティポップに挑戦してみたいという思いがあります。僕の歌のスタイルにもぴったりなんじゃないかな、と思っています」
シティポップへの挑戦意欲を明かし、「日本で一度やってみたい」と目を輝かせていた
シティポップへの挑戦意欲を明かし、「日本で一度やってみたい」と目を輝かせていた / 撮影=Maiko Fukui


■「客席にマイクを向けすぎるから(笑)」ファンと自分でステージを作りあげるという感覚を大切にしている

――日本で活動をスタートしたのが2013年ですから、もう10年以上になります。その間、継続してアルバムをリリースし、ここ数年は毎年コンサートも開催しています。昨年のツアーも大盛況でしたよね。

ソ・イングク:「あのときは、ちょうどドラマ『残念ながら明日も出勤です!』の撮影をしていました」
「客席と一緒に歌いたい」と、ライブで大切にしているファンとの絆を明かす
「客席と一緒に歌いたい」と、ライブで大切にしているファンとの絆を明かす / 撮影=Maiko Fukui


――コンサートとドラマ撮影を両立するのは、とても大変なことなのではないでしょうか。

ソ・イングク:「ドラマの撮影中だったので、ダイエットをしていたんです。大阪では2回公演がありましたが、1回目を終えたら体力が続かなくなってしまって、思うように歌えなくなったので、『すぐに炭水化物を摂らなければ』と思い、しっかり食べました。2回目の大阪公演を終えたあとも、食事をとりながら東京公演までやり抜きました。確か、あのときは一公演のセットリストが22曲ほどあったんです」

――さらに、アンコールも何度もされていましたね。東京公演では本編に加えてアンコールが5曲もありました。ファンサービスがすごすぎます。

ソ・イングク:「ファンの皆さんが喜んでくださるので、つい……(笑)」
「日本は第二の故郷のような場所」と、ファンへの深い感謝を伝えていた
「日本は第二の故郷のような場所」と、ファンへの深い感謝を伝えていた / 撮影=Maiko Fukui


――韓国でコンサートをするときと、日本でするときでは、雰囲気に違いがありますか?

ソ・イングク:「基本的にはほとんど同じですが、少し違うと感じるのは、日本の文化なのでしょうか、日本では公演をするとき、多くの方が耳を傾けて、とても熱心に聴いてくださいます。僕が日本で歌手活動を始めた頃も、皆さん静かに聴いていました。でも最近は、一緒に歌ってくださいます。僕があまりにもマイクを客席へ向けるからかもしれません(笑)。僕は、すべての曲をみんなと一緒に歌いたいんです。ファンの皆さんも、それをよくわかってくださっているんですよね。とてもうれしいです」

――皆さん楽しすぎて、「また行かなければ」と思いますよね。

ソ・イングク:「そうだとうれしいですね。僕は公演をするとき、いつも皆さんに『一緒にこの公演をつくっていこう。そして、一緒につくってくれてありがとう』と伝えるんです。僕は歌手ではありますが、僕と一緒に歌ってくださる観客の皆さんも、一緒にコンサートをつくってくださっているから」

■あの瞬間にしか生まれない感情を、どうにかして残したい
アルバムタイトル『TRACE』に込めた想いを語ってくれた。メガネカットのリクエストで実現したカット
アルバムタイトル『TRACE』に込めた想いを語ってくれた。メガネカットのリクエストで実現したカット / 撮影=Maiko Fukui


――『TRACE』は、“時間の中に残された痕跡”を記録する作品です。これまでの活動の中で、「この瞬間は残しておきたい」と強く感じるものはありますか?

ソ・イングク:「やっぱり、コンサートですね。ファンの皆さんと交流しながら感じるものは、普段の生活ではなかなか味わうことのできない、特別な感情なんです。コンサートが映像として残っていても、それを見返して『ああ、そうだったな』と思い出すことはできます。でも、あのときの胸がいっぱいになる感情まで、まったく同じように蘇るわけではありません。あの瞬間にしか感じられないものだからこそ、どうにかして残しておきたいと思うんです」

――ライブだからこそ生まれる感情ですね。

ソ・イングク:「そうですね。あの瞬間の感情は、本当に特別なものです」

――『TRACE』が、日本のファンにとってどのようなアルバムシリーズになればいいと思いますか?

ソ・イングク:「タイトルの通り、誰かにとっての“痕跡”になってくれたらうれしいですね。
今回もさまざまなジャンルを取り入れて、いろいろな形で聴くことができる構成にしました。
先ほど、昔の曲も好きだと話してくださいましたが、『こんな気分のときには、あの曲を聴きたい』というように、それぞれのシチュエーションで自然と思い出してもらえるような、長く聴き続けていただけるアルバムになったらいいですね」

――ファンの皆さんが、10年後、20年後にも思い出すような。

ソ・イングク:「そうなったら、本当にうれしいですね!」


■「カレーに魚のフライ、生姜焼きにマヨ!」日本を愛しすぎるチャーミングな素顔とスタイルキープ術
姿勢やポーズが美しい。年齢を更新するたびに美貌に磨きがかかって…
姿勢やポーズが美しい。年齢を更新するたびに美貌に磨きがかかって… / 撮影=Maiko Fukui

カメラを見つめる力強い眼差し
カメラを見つめる力強い眼差し / 撮影=Maiko Fukui


――日本には何度も来てくださっていますが、日本でしか感じられない特別なものはありますか?

ソ・イングク:「日本に来ると、まず食べ物。着いてすぐにラーメンを食べて、おいしいビールを飲んで。日本の皆さんはとても親切で丁寧ですし、街も美しい。僕は日本に着いた途端、自然と気分がよくなります」

――今回の来日でも、日本の食事を楽しんでいるそうですね。

ソ・イングク:「日本には、おいしいものが多すぎます(笑)。さっきハンバーグステーキを食べて、明日は僕が大好きなステーキサンドを食べようと思っています」

――日本に来たら、必ず行きたい場所はありますか?

ソ・イングク:「はい、あります! 東京の定食屋さんです。カレーライスに魚のフライ、それから生姜焼きです。マヨネーズをつけて食べると、もう……本当においしいんですよ」
「ファンのみなさんの喜んでくれる姿が大好き」だそう
「ファンのみなさんの喜んでくれる姿が大好き」だそう / 撮影=Maiko Fukui


――お酒もお好きですよね。どんな種類がお好きですか?

ソ・イングク:「ウイスキーが一番好きです」

――ドラマのカン・シウ、そのまま! 日本の焼酎や日本酒も飲みますか?

ソ・イングク:「でも日本といえば、何といっても生ビールですね。日本酒なら純米酒が好きです。刺身やコース料理のようなものを食べるときに、食事と合わせて飲みますね。それ以外では、ほとんどウイスキーです」

――先ほど、ツアー中は体力を保つために食事をしっかりとり、その後ドラマの撮影に戻ったと話されていました。どのようにその素晴らしいスタイルをキープされているのでしょう?

ソ・イングク:「ウイスキーを飲むときにはつまみは食べません(笑)。実はツアーを終えて撮影に戻ったら、たった1週間で、思っていた以上に体重が増えてしまって。僕はもともと太りやすい体質なんです。最近は運動をして、“おいしいものを食べる日”を決めています。僕はゴルフが大好きなので、撮影中も近くにゴルフの練習場があれば、そこで練習します。そうすると汗も出ますし、むくみも取れるんです。そのあと、サンドイッチなどの健康的な食事をするようにしたら、自然と体重も落ちました。昨日もゴルフをしたんですよ」
小顔に広い肩幅、長い足。スタイル抜群。ドラマ『残念ながら明日も出勤です!』の際は頑張ってダイエットをしていたそう(!)。「日本には、おいしいものが多すぎます(笑)」
小顔に広い肩幅、長い足。スタイル抜群。ドラマ『残念ながら明日も出勤です!』の際は頑張ってダイエットをしていたそう(!)。「日本には、おいしいものが多すぎます(笑)」 / 撮影=Maiko Fukui


■「日本は、第二の故郷のような場所」
「客席にマイクを向けすぎる(笑)」と笑いつつも、ファンとの一体感を愛おしそうに回想していた
「客席にマイクを向けすぎる(笑)」と笑いつつも、ファンとの一体感を愛おしそうに回想していた / 撮影=Maiko Fukui


――イングクさんにとって、日本はどのような場所でしょうか?

ソ・イングク:「日本での活動も10年を超え、僕にとって第二の故郷のような場所です。本当にありがたいことに、ここまで歩んでこられたのは、いつも温かく応援してくださるファンの皆さんがいてくださるからです。こうしてインタビューを受けたり、素敵な写真を撮っていただけるのも、そしてアルバムや公演といったすべての活動を皆さんが見て、たくさんの力を与えてくださるからこそ可能なんだと、日々実感しています。

心から感謝していますし、楽しかった昨年の公演の記憶を大切にしながら、これからも頑張ります。皆さんからいただいた大きな愛に恩返しができるように、素晴らしい音楽とステージ、そして作品をこれからもずっと届けていきたいです」

――9月にアルバムがリリースされるということは、『TRACE』を引っ提げたコンサートも期待していいでしょうか?

ソ・イングク: 「そうですね。実現できたらうれしいです。前回はカバー曲も歌って、皆さんと楽しく遊んだんですよ。ライブが開催されたら皆さんぜひお越しください。今日は本当にありがとうございました」

インタビュー中、終始笑顔で冗談を交えながら場を和ませる一方、一つひとつの質問によどみなく率直かつ丁寧に向き合ってくれたソ・イングク。その柔らかな人柄と表現に対する真摯な姿勢は、撮影中の姿にも色濃く表れていた。

スタッフと言葉を交わし、何度も笑いが起こるリラックスした雰囲気から、カメラが向けられると瞬時に集中力を発揮し、「ブレスレットをつけましょうか」「ここは指輪があったほうがいいですよね」と自ら衣装やポーズを細かく提案していく。わずか数十分の撮影のなかでもイメージに応えるだけでなく、自らアイデアを出し、作品の完成度を高めていく――。彼が長年にわたり主演を務め、そのたびに新たな魅力で“旬”を更新し続けている理由の一端を、強く実感させられる瞬間だった。
カメラが向けられた瞬間に魅せる、プロフェッショナルな集中力。「指輪があったほうがいいですね」と自ら積極的に撮影カットをプロデュース
カメラが向けられた瞬間に魅せる、プロフェッショナルな集中力。「指輪があったほうがいいですね」と自ら積極的に撮影カットをプロデュース / 撮影=Maiko Fukui


筆者が初めて彼の歌を生で聴いたのは、2025年のSpecial Mini Album『IRO』のリリースイベントだった。もちろん歌手出身であることは知っていたし楽曲も聴いたことはあったが、歌い始めた瞬間、揺れ動く感情の表現力に度肝を抜かれた。まるで映像を見ているかのように鮮明な情景を目の前に描き出していく。さらに彼自身が楽曲のプロデュースや制作にも携わっていると知り、そのセンスのよさに衝撃を受けた。

圧倒的な歌声と美しいビジュアル、人気を兼ね備え、誰しもが「完全無欠のスター」だと思うだろう。
しかし、インタビューでも明かしてくれたように、昨年のツアー中もドラマの役作りのために過酷なダイエットに励んでいたりと、その裏には人間味あふれる実直な努力が隠されている。このストイックさと、愛らしい素顔のギャップこそが、彼が多くの人を惹きつけてやまない最大の理由なのだろう。

ドラマ『残念ながら明日も出勤です!』のカン・シウ役や『マンスリー彼氏』のパク・キョンナム役で、改めてソ・イングクに魅了された人も多いだろう。そんな人にこそ、この秋、ニューアルバム『TRACE』を通して“歌手ソ・イングク”の音楽の世界に触れてほしい。その「痕跡(TRACE)」を知ってしまったら、彼の魅力の「底なし沼」に深く落ちてしまうはずだ。
「日本語の発音は今でも苦労する」と謙虚にも語ってくれた
「日本語の発音は今でも苦労する」と謙虚にも語ってくれた / 撮影=Maiko Fukui

日本来日の多忙な合間を縫っての撮影
日本来日の多忙な合間を縫っての撮影 / 撮影=Maiko Fukui

新作EP『TRACE』に込めたファンとの大切な記憶について熱く語ってくれた
新作EP『TRACE』に込めたファンとの大切な記憶について熱く語ってくれた / 撮影=Maiko Fukui



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