元全仏オープン女王・平木理化容疑者の逮捕や、法律の専門家である大学名誉教授が900万円以上を騙し取られるなど、相変わらず世間を騒がせているSNS型ロマンス詐欺。社会不安が募る中、なんとこのロマンス詐欺のやりとりを楽しんでいる、驚くべきケースがあった。
〈母がロマンス詐欺師を無料のホスト代わりにしていて、今39人目〉
きっかけはこんなSNS投稿だった。甘い言葉を囁く詐欺師を相手に孤独を紛らわせる…。これには、
〈その手があったか〉
〈タダで恋愛気分が味わえるなら最高じゃないか〉
といった反応が続々。
なんと実際に偽名を使い、同様の「危険な遊び」を楽しむ女性が増えているというのだ。
とはいえ、相手はプロの詐欺師だ。当然のことながら、その先には危険が潜んでいることは言うまでもない。
警察庁の発表によれば、2025年のSNS型ロマンス詐欺の被害額は546億4000万円。年間を通じて猛威を振るっている。国際犯罪に詳しいジャーナリストが解説する。
「ロマンス詐欺は個人の小遣い稼ぎなどではなく、西アフリカや東南アジア、東欧などを拠点に数千人規模で組織化された国際犯罪ネットワークが黒幕です」
カンボジアやミャンマーなどに構えられた「詐欺工場」で心理学や恋愛工作のトレーニングを受けたチャッター(会話担当)と呼ばれるプロが、マニュアル化されたシナリオを元に、24時間体制でターゲットの心に揺さぶりをかける。それがロマンス詐欺の実態だ。
お金を払わなければ実害はないと高を括るユーザー
その目的はむろん、金銭強奪。したがって、最初はどれほど優しく、お金を求めてこないように思えても、それは単なる助走期間にすぎない。しだいに巧妙なやり口で信頼関係を築き上げていき、巨額の投資話を持ちかける。
前出のジャーナリストが警告する。
「こちらも偽名を使っているし、お金を払わなければ実害はないと高を括るユーザーがいるようですが、相手はプロの詐欺師。雑談を装うやり取りの中で趣味や家族構成、資産状況、過去の経験といった細かな情報を少しずつ引き出してくる。適当な嘘をついているつもりでも、本人特定につながる情報を握られる可能性があります」
それがロマンス詐欺が恐ろしいとされるゆえんなのだ。
香川大学の名誉教授(法律の専門家)も、被害に遭う前は「自分は賢い」「見抜ける」という自負があったとメディアの取材で語っているが、人間の脳や感情は巧妙に仕組まれた長期間の心理誘導に対して、無菌ではいられないという。
気付いた時には相手の術中にはまり、泥沼から抜け出せなくなっているケースがあとを絶たないのだ。
タダより高いものはない。犯罪者との会話の先には、とんでもないリスクが潜んでいることを忘れてはならないのである。
(灯倫太郎)

