日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会が7月27日に、両国国技館で定例会議を開いた。名古屋場所では2場所連続休場明けの大の里(二所ノ関)は9勝6敗、豊昇龍(立浪)に至っては7勝7敗1休と、東西両横綱が惨状を晒した。それでも大島理森委員長(元衆院議長)は、
「横綱の責任と自覚、心技体の言葉をもとに、いっそう自分自身に問いかけ、横綱の相撲道における姿を見せて頂く責任がある」
と注文をつけた上でこのことを、
「八角理事長(元横綱・北勝海)には率直に、私どもの共通認識として申し上げた」
横審は1950年(昭和25年)に設置。「横綱」は日本相撲協会(当時は大日本相撲協会)だけの「意見」で決められていた。「昇進に向けた基準を厳格化するため、外部の意見を取り入れるべき」という声で誕生している。
いくら負けても陥落のない現役横綱に対し、不振や休場が続けば「①激励②注意③引退勧告④要望や意見」を「決議」できる。今回の定例会議では何か決まったのかといえば、
「決議は出しません。議論もありませんでした。その前段階」(大島委員長)
大の里の不振の原因が休場明けの稽古不足にあったことは、誰の目にも明らか。昨年の春場所後に横綱に昇進した豊昇龍に至っては、8場所続けて優勝がない。
「実はこれ、ワースト記録ではありません。67代・武蔵丸(武蔵川親方)は横綱初優勝まで9場所かかっている。60代・双羽黒にいたっては、横綱での優勝なしで引退しています」(相撲担当記者)
横審も相撲協会も土俵際に追いやられた
横綱昇進の目安は「大関で2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績」とされている。豊昇龍は昇進の際に「1回しか優勝していない。もう一場所、待つべきだ」と否定的な意見が協会内部から出た。ところが当時、審判部長だった高田川親方(元関脇・安芸乃島)が「文句をつけるところはないと思う」と、横綱昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長に要請し、これが了承された。その結果、横綱・豊昇龍が誕生している。
過去には「物言う横審」として機能していた。2002年には当時の渡辺恒雄委員長(読売新聞社主筆)が、たび重なるケガで7場所連続休場の65代・貴乃花に対して「責任が果たせないなら進退を決めてほしい」と厳命。8場所ぶりに出場した2002年の秋場所で12勝3敗(準優勝)。これには渡辺委員長が絶賛したが、2場所後の2003年、初場所に引退した。
2018年の九州場所後には、19年ぶりとなる日本出身横綱の72代・稀勢の里に対しても、昇進後の長期休場と成績不振を理由に「激励」を伝達。翌場所、出場した稀勢の里は3連敗を喫して引退を決めた。
さらに2020年の秋場所後にはモンゴル出身横綱の69代・白鵬、71代・鶴竜の2横綱に横審委員の「総意」として、「激励」よりも一歩踏み込み「引退勧告」に迫る「注意」を決議している。
不振が続く2横綱とともに、横審も協会も土俵際にいると言わざるをえない。
(小田龍司)

