最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
140万年前の「絶滅人類の足跡」をケニアで発見ーー足跡から判明した新事実

140万年前の「絶滅人類の足跡」をケニアで発見ーー足跡から判明した新事実

※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

絶滅した人類の姿を見ることはできません。

しかし、彼らがこの地上を歩いていた確かな証拠なら残っています。

1978年に、ケニア北部のトゥルカナ湖東岸で見つかった約143万年前の足跡化石の集団

これらは絶滅した人類の近縁種「パラントロプス・ボイセイ」のものであることがわかりました。

さらに、米国チャタム大学(Chatham University)らの最新研究で、パラントロプスは従来考えられていたより、ずっと大柄だった可能性が示されたのです。

研究の詳細は、2026年7月27日付で『PNAS』に掲載されています。

目次

  • 合計21個、8人分の足跡と判明
  • 従来の「小柄説」を修正するデカさだった

合計21個、8人分の足跡と判明

研究の舞台となったのは、ケニア北部のクービ・フォラ地域にある「GaJi10」と呼ばれる遺跡です。

最初の発見は1978年までさかのぼります。

スミソニアン国立自然史博物館のチームが地層を調べていたところ、岩の表面からカバのものとみられる大きなくぼみが見つかりました。

その地層を慎重に掘り出すと、すぐ近くから古代のヒト族が残した2つの足跡が現れたのです。

研究チームは将来の調査に備えて遺跡を砂で埋め戻し、2016年と2023年に再び発掘しました。

その結果、同じ地面から合計21個、8個体分とみられる足跡が確認されました。

【実際に見つかった足跡化石の画像がこちら】

周囲にはカバやレイヨウなどの足跡も残っており、当時の湖岸に多くの動物が集まっていた様子が読み取れます。

周辺の火山灰を用いた年代測定から、この足跡面は約143万年前に形成されたと推定されました。

当時、この地域にはパラントロプス・ボイセイとホモ・エレクトスという2種類のヒト族が暮らしていました。

そこでチームは、足跡の大きさだけでなく、足裏の形や、歩行中に体重がどのように移動したのかを詳しく分析。

その結果、足跡の形態と歩き方は、パラントロプス・ボイセイのものと考えられる特徴によく一致したのです。

ただし、足跡のそばから本人の骨が見つかったわけではありません。

そのため種の判定は、足跡の形態に基づく有力な推定として理解する必要があります。

従来の「小柄説」を修正するデカさだった

パラントロプス・ボイセイは、大きな奥歯と頑丈な顎を持つことで知られる絶滅人類です。

しかし、これまで見つかった化石の多くは頭骨や歯であり、首から下の骨は非常に限られていました。

そのため、生前の身長や体重については不明な部分が多く、一般には、同時代のホモ・エレクトスよりかなり小柄だったと考えられてきました。

従来の推定では、大人でも身長1.3〜1.4メートル程度と見積もられています。

ところが今回の足跡は、その見方に修正を迫りました。

足跡の大きさから体格を推定すると、大きな個体は身長約1.8メートル、体重約75キログラムに達していた可能性があるというのです。

これは現代人にも見られる体格であり、同じ地域に暮らしていたホモ・エレクトスと大きさが近かったことを示唆します。

【実際の足跡化石の拡大写真がこちら】

体が大きければ、1日に必要な食物の量や移動できる距離、捕食動物との関係も変わります。

今回の結果が今後の化石研究で裏づけられれば、パラントロプスの暮らし方や生態についても見直しが必要になるでしょう。

さらに、21個の足跡は8個体によって残され、その多くが成体の雄だった可能性があります。

複数の足跡が同じ地面に残されたことから、研究者らは、雄たちが一緒に移動していた可能性を指摘しています。

危険な環境で身を守るため、一時的に互いを受け入れて行動していたのかもしれません。

ただし、足跡だけでは、8個体が恒常的な集団を作っていたのか、偶然続けて同じ場所を通ったのかまでは断定できません。

骨の化石は、その生物がどのような姿をしていたかを教えてくれます。

一方、足跡は、どれほど大きな個体が、誰と、どちらへ歩いていたのかを伝えてくれます。

約143万年前の湖岸に残された21個の足跡は、ほとんど知られていなかったパラントロプスの体格と行動を映す、一瞬の記録です。

今後さらに足跡や全身骨格が見つかれば、私たちとは異なる進化の道を歩んだ絶滅人類の姿が、より鮮明になるかもしれません。

参考文献

Ancient Fossil Footsteps Found in Kenya May Hint That an Early Human Relative Was Larger Than Previously Thought
https://www.smithsonianmag.com/smithsonian-institution/ancient-fossil-footsteps-found-in-kenya-may-hint-that-an-early-human-relative-was-larger-than-previously-thought-180989206/

Fossil footprints reveal that an ancient human relative was larger than previously thought and traveled in groups 1.4 million years ago
https://www.eurekalert.org/news-releases/1137146

元論文

Insights into hominin body size, locomotion, and behavior from Early Pleistocene trackways in northern Kenya
https://doi.org/10.1073/pnas.2530996123

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

提供元

プロフィール画像

ナゾロジー

ナゾロジーはkusuguru株式会社が運営する科学情報サイトです。読者をワクワクさせ、科学好きな人を増やすことを理念に運営しています。 現在、世界はたくさんの便利なテクノロジーによって支えられています。しかし、その背景にある科学の原理や法則を知る機会はあまりありません。 身近に潜む科学現象からちょっと難しい最先端の研究まで、その原理や面白さを分かりやすく伝えられるようにニュースを発信していきます。

あなたにおすすめ