7月28日、フィラデルフィア・セブンティシクサーズは、ソーシャルメディアを通じて新加入のレブロン・ジェームズが昨季までに残してきたNBA歴代最多記録を並べて「かなりの経歴だ」と投稿した。
41歳の大ベテランは、数々のNBA記録を保持している。レギュラーシーズンでは通算4万3440得点を筆頭に、出場1622試合、6万1030分、フィールドゴール成功1万5961本で歴代トップ。オールスター選出22回、オールNBAチーム選出21回、プレーヤー・オブ・ザ・ウィーク(週間MVP)選出70回でも歴代1位にいる。
さらに、プレーオフでも通算8521得点、出場302試合、1万2446分、フィールドゴール成功3055本、フリースロー成功1914本、506スティール、188勝でNBA史上1位と、23シーズンで超人的な記録を樹立してきた。
これまで、マイアミ・ヒートで2012、13年に連覇を達成し、2016年にクリーブランド・キャバリアーズ、2020年にはロサンゼルス・レイカーズで優勝を成し遂げ、いずれもファイナルMVPを受賞。新天地フィラデルフィアで、前人未到の4球団でのチャンピオンシップ獲得を目指す。
NBA史上、3球団で王座を獲得したのはレブロンを含めて4人のみ。ジョン・サリー(デトロイト・ピストンズ、シカゴ・ブルズ、レイカーズ)、ロバート・オリー(ヒューストン・ロケッツ、レイカーズ、サンアントニオ・スパーズ)、ダニー・グリーン(スパーズ、トロント・ラプターズ、レイカーズ)がそのリストにいるが、ファイナルMVPは皆無。一方のレブロンは3チームで受賞を果たしており、この功績は一線を画すと言っていい。
来季のシクサーズは、複数回のオールスター選出を誇るジェイレン・ブラウン、ジョエル・エンビード、タイリース・マキシーに加え、若手有望株のVJ・エッジコムやディーン・ウェイド、アンファニー・サイモンズといった脇役も揃っており、楽しみなチームになったことは間違いない。
すでに引退後のバスケットボール殿堂入りが約束されているレブロンだが、キャブズ時代の同僚イマン・シャンパートは、“キング”がシクサーズで優勝するかどうかは別にして、“究極の最終章”があると述べている。
7月28日に更新されたポッドキャスト番組『Shump Street Podcast』で、シャンパートは、2028年にロサンゼルスで開催されるオリンピックで「チームUSAは彼を再び迎え入れるべき」と持論を展開した。「実現したら最高だろうね。彼がオリンピックでアメリカ代表入りして、チームを背負って戦う姿を、もう見る必要はないと思う。でも、名誉ある立ち位置でその場にいて、後輩たちを最高の形で送り出してほしいとも思っている。もし2028年のオリンピックに出場するにしても、レブロンにはあまり無理してほしくない。ただ純粋に楽しみながら、チームの一員として過ごしてほしいね」
レブロンとシクサーズの契約は2年で、2年目の2027-28シーズンがプレーヤーオプションと報じられている。来季終了後にその契約を行使すればキャリア25シーズン目となり、オリンピック開催時点では43歳となる。
アメリカ代表は現在オリンピックで5連覇中。新たな指揮官にはヒートのエリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)が就任している。
2024年のパリ五輪でアメリカ代表を引っ張ったレブロンとステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、ケビン・デュラント(ロケッツ)が代表から外れる場合、ロスター選定は俄然注目度を増す。
候補にはパリ五輪で優勝に貢献したアンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)、デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)、バム・アデバヨ(ヒート)、タイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ)らが挙げられる。
また、昨季ファイナルMVPに輝いたジェイレン・ブランソン(ニューヨーク・ニックス)、スコッティ・バーンズ(ラプターズ)、ケイド・カニングハム(ピストンズ)、ドノバン・ミッチェル(キャブズ)といったスター選手たちも候補に入ってくることが予想される。
ロスター枠は12名のため、レブロンがその中に入るためには最高級のコンディションにあることが必須で、現実的には厳しい。もっとも、シャンパートは“バスケットボール界の英雄”のフィナーレとしてこのように提案した。
「選手兼コーチのような存在さ。彼がそこにいる意味は誰もがわかっているはずだしね。他国の選手たちにとっても、レブロン・ジェームズと同じコートに立つ最後の瞬間を味わえるのは光栄なことだろ?わかるよな?
みんなきっと喜ぶはずさ。だって、レブロンには約30年もの間、さんざん痛い目を見せられてきたんだから。『なぁ、もういいだろ。引退してくれよ。これがフェアウェル・ツアーだ。あとは家に帰ってゆっくり休んでくれ』って感じになるんじゃないかな」
ちなみに、ロサンゼルス五輪までアメリカ代表でアシスタントコーチを務めるのはJB・ビッカースタッフ(ピストンズHC)、マーク・ダグノー(オクラホマシティ・サンダーHC)、マーク・フュー(ゴンザガ大学HC)の3名。
もしここにレブロンが加わるとなると、別の意味で誰より注目を集めることになりそうだ。それでも、この男がバスケットボールキャリアに終止符を打つ“最高のシナリオ”があるとすれば、世界中のスポーツファンが見守るオリンピックの舞台は、あながち悪くないかもしれない。
文●秋山裕之(フリーライター)
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