
【ザスパ社長・細貝萌の生き様】J2復帰への道筋。パートナー参画を働きかけ、全体で70%アップ「僕自身も真価を問われるシーズンが始まる」
「夏開幕・春閉幕元年」となる2026/27シーズンのJリーグが、8月7日からいよいよ幕を開ける。
J3は8日からスタートし、ザスパ群馬の初陣はJ2から降格してきた鹿児島ユナイテッドFCとのアウェー戦。15日の第2節・SC相模原戦、22日の第3節・レイラック滋賀FC戦はいずれもホームゲームだけに、夏休み期間の集客増、注目度アップを実現するためにも、最高のスタートダッシュを見せたいところだ。
その群馬では、2025年から指揮を執る沖田優監督が続投。今季こそJ2復帰を果たすべく、J2・J3百年構想リーグで基盤の確立に尽力した。EAST-Aで6位、最終順位は24位と悪くない結果だったが、細貝萌社長は「百年構想リーグである程度、良い戦いができたからといって、次のシーズンの昇格が約束されているわけではない」と厳しい見方を崩さない。
「個人的にはまったく満足していないというのが正直なところ。18試合を戦って7勝(うちPK勝ち1)・11敗(うちPK負け3)という結果でしたが、もっと勝てる試合はあった。もったいないゲームも多かったと感じています。
J2の(ブラウブリッツ)秋田や湘南(ベルマーレ)、横浜FC、(モンテディオ)山形に粘り強い戦いをして勝てたことは収穫でしたが、逆に同じJ3の相模原や栃木SCに負けている。その現状を踏まえて、J3での戦い方をより明確にしなければいけない。
J3の方がロングボールが多いし、よりシンプルに戦ってくるので、そういう相手をしっかり凌駕できないと昇格はできない。守備のところも強化していかないと難しいと考えているので、プレシーズンはそのあたりをしっかり強化してくれたと思います」と、細貝社長は現場に期待を寄せている。
J3のクラブはどうしても上のカテゴリーのクラブに主力選手を引き抜かれがち。群馬の場合も、百年構想リーグで中心的な役割を果たした野瀬翔也(→北海道コンサドーレ札幌)、菊地健太(→FC今治)、西村恭史(→大分トリニータ)がそれぞれ移籍。その穴を埋めるべく野嶽惇也を大分、相馬丞を山形から獲得。7月8日~18日の沖縄キャンプでチームの成熟度アップに努めたという。
財政的に潤沢ではないJ3クラブは、今回のプレシーズンにキャンプを行なわないクラブもいくつかあった。松本山雅FCは6月29日~7月10日まで静岡県御殿場市でキャンプを張ったが、バス移動できる範囲でコスト削減を図っていた。こうしたなか、群馬が沖縄でキャンプを実施したのは異例の出来事。そこも細貝社長らのアプローチによるところが大きかった。
「キャンプに関しては、これまでより長い期間で行ないました。仮に2日、増えたとしたら、選手・スタッフ合計で50人くらいいるので、その宿泊費と食事代、バス代、グラウンド使用料などのコストが増えるので、数百万円の負担増になります。
会社の代表としては、良い環境で合宿をしたことでより良い結果が出るのであれば、ぜひやってもらいたいですし、将来への投資だと考えて、資金捻出を考えました。ご存じの通り、ザスパは昨年からベイシアグループの傘下に入ったので、そこからの支援をいただけるように説明をして、理解を取り付ける努力もしました。
さらに言うと、シーズン移行によって、夏だけでなく、冬の中断期間にもキャンプが必要になり、回数が増えます。そこでも良い準備ができるようにバックアップ体制を整えなければいけない。そのために自分にできることは最大限やっていくつもりです」と、彼は熱い思いを口にする。
実際、2026年の半年間の営業もフル回転した。シーズン移行があることで、群馬県内外の様々な企業に26/27シーズンからのパートナー参画を働きかけたところ、企業数は90社超の増加。全体で70%アップを実現したというから驚きだ(7月5日時点)。
「これはもちろん、僕だけが頑張ったわけではなく、会社全体として積み上げてきたこと。26/27シーズンのJ3でJ2復帰を達成するためにも、周囲の協力が必要不可欠だということを一つひとつ丁寧に説明し、賛同を得て、こういう成果にこぎつけたんです。
僕は7月15日から沖縄キャンプに行ったんですが、その前日、前々日もパートナー企業に足を運んでお願いを繰り返し、そのまま羽田空港に行って飛行機に乗りました。でもスタッフみんなも同じように足を動かして営業活動をしてくれた。そういう意味でも、新シーズンに向けての機運の高まりを実感します」と、細貝社長は目を輝かせる。
こうやって彼がより一層、リーダーシップを発揮しようとしているのも、この半年間で会社の体制が変わったからだろう。細貝社長が2025年4月に正式に社長就任した時は、前任の社長だった赤堀洋会長が近くにいて、経営面のサポートをしてくれた。
その赤堀会長が今年4月に退任し、会長職は空席になった。もちろんカインズ社長CEOの高家正行氏、ベイシア社長の相木孝仁氏、カインズ・ベイシア会長の土屋裕雅氏らが取締役に名を連ねてはいるものの、「自分がしっかりと経営手腕を発揮しなければいけない」という自覚はひときわ強まったに違いない。
その決意を細貝社長本人も口にする。
「赤堀さんがいた時は何でも教えてもらえる状況でしたけど、今は自分が責任者ですし、責任重大だと強く感じています。僕の判断やかじ取りによってチームの成否が分かれると思いますし、本当に今季は勝負のシーズンになります。
自分は2024年末に現役引退してまだ1年半しか経っていないですし、会社の経営に携わって日が浅い分、経験不足なのは確かですが、トップチームのGMに山田耕介さんを招聘したり、アカデミーダイレクターに永井雄一郎さんに来ていただいたりと、自分なりに考えて人材を確保するなどの取り組みを進めています。
経営に関しても、Jリーグにいた人材をシニアヴァイスプレジデントとして呼ぶなど、会社内部の組織強化にも取り組んでいます。僕自身も社長として真価を問われるシーズンが始まる。今から気を引き締めてやっていきます」
細貝社長がけん引する群馬は2024年以来のJ2復帰を果たせるのか。ここからの戦いが見ものだ。
構成●元川悦子(フリーライター)
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