
大津がベスト4進出。昨年はDチーム所属もMF西本瑛司が努力で掴んだ飛躍と決勝弾。悲願の初優勝へ「今年は絶対勝つ」【総体】
[総体・準々決勝]大津 1-0 桐蔭学園/7月29日/JヴィレッジP3
2年だった昨年は県2部リーグを戦うDチームからスタートし、シーズン終盤は県1部リーグを戦うCチームに上がった。念願だったAチームに昇格した今季はシーズン当初、交代の切り札として起用されてきたが、今では攻撃の要としてピッチを躍動し、世代別代表のスタッフからも注目を集めるのが大津のMF西本瑛司(3年)だ。
最大の武器は左右両足から繰り出すパンチのあるキックだ。もともとは右利きだが、中学生の頃に手を骨折したタイミングで「できない間にやれることがないかなと思って憧れていた左足を練習した」結果、左足でのキックが上達。今では左足でボールを触ることのほうが多く、プレーを見ているとレフティだと間違えるほど。「上手くて持ち方が好き」というアルゼンチン代表のリオネル・メッシ同様、右サイドから内側に持ち込んで鋭い一撃を繰り出す。
「チーム戦術的に途中から使うほうが相手にとって嫌なのかなと思っていた」(山城朋大監督)ため、プレミアリーグの開幕から3節までは相手の運動量が落ちた試合終盤にピッチへと送り出されていたが、本人は「もっと早く出ていれば結果を残せたという悔しさはあった」と振り返る。
スタメン出場を掴み取るため、これまで課題だった走力と守備を練習で意識し始めた。足りなかった積極性など課題と向き合った結果、第4節の東山戦で初めてスタメンに抜擢され、ゴールをマーク。5月以降はチームに欠かせない戦力となっていった。
今大会での期待値も高かったが、プレミアリーグで存在感を発揮した故にまた新たな難しさに直面。サイドでボールを持っても「自分に寄せてくる枚数が多く、特徴を出し切れなかった」と振り返る。
迎えた準々決勝の桐蔭学園戦は試合前、前日に行なった3回戦の試合映像を使いながら山城監督が、試合での動き方を伝えた。相手が西本を警戒し、複数人で対応してくればその分ピッチのどこかにスペースが生まれる。そうしたスペースを意識し、いつ仕掛けて、いつ周りの選手を使うのか、整理できたのは西本にとって大きかった。加えて、これまでよりも西本に対応する相手の枚数が少ないこともピッチでの躍動を後押ししたのは間違いない。
「2枚に来ても剥がすしかないと思って、自分から仕掛けようと思っていました」と明かす西本は、前半7分に後方からのパスを右サイドの高い位置で受けると、ドリブルからの切り返しでマークを剥がしてシュート。14分には右サイドからのクロスを反対サイドのDF渡部友翔(3年)が拾うと、大外でパスをもらってゴールを狙ったが、GKの好セーブに阻まれた。
「自分はシュートのインパクトが強く、両足で蹴れるので平岡先生、山城先生からは積極的に狙えと言われていた。ボックスの外でも、積極的に打とうと決めていました」
そう振り返る西本は、以降もチャンスを伺い続けると歓喜の瞬間は0-0で迎えた後半4分に訪れた。
中央でボールを持ったFW松岡凛(3年)からのパスを「得意な位置」と評するペナルティエリア右で受けると中に切り込むと相手に見せて、縦突破から右足でシュート。強烈な一撃はGKに触れられながらもゴールネットを揺らすと、このゴールが決勝点となり大津が1-0で勝利した。
昨年のインターハイ、大津は初の日本一に迫りながらも決勝で神村学園にPK戦で敗れ、涙を飲んだ。悲願の初優勝にかける選手の思いは強く、警戒されても個で打開し、得点まで持ち込める選手になりつつある西本の存在は、ラストピースになりえる可能性を秘めている。
「昨年は決勝の舞台に立てなかったし、 負けて2位になって凄く悔しかった。今年は絶対勝つというイメージでやりたい」と意気込む男の躍動に準決勝以降も期待だ。
取材・文●森田将義
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