7月29日、30年ぶりに夢の球宴を迎えた富山市民球場。6-6の同点で迎えた5回裏一死、代打として打席に立った日本ハムのフランミル・レイエスはヤクルト・清水昇のカーブを捉え、左翼席へ一時勝ち越しとなるソロを突き刺した。この大砲は来季、どこのユニフォームを着ているのか。
オールスター前、今季92試合を終えた時点で、レイエスは打率3割2分8厘(リーグ1位)、21本塁打、54打点という数字を積み上げている。推定年俸は4億5000万円プラス出来高。来日3年目でリーグトップの打率を残す主砲の去就が注目されたのは、6月の月間MVP受賞会見だった。
「来年どうなるかは正直、わからないところ。ここにいるか、別のチームでやるか、まだ不透明」
レイエスはそう語り、移籍先をめぐる憶測が広がることになる。
2027年から、セ・リーグにはDH制が導入される。打撃に特化した大砲を中軸に固定できる枠が、6球団に初めて生まれるのだ。新設されるDHを担う即戦力として、日本で実績を積んだ外国人打者は、各球団にとって魅力的な選択肢だ。
主砲メジャー移籍の譲渡金を獲得資金に回す
移籍先候補として挙がるのは巨人だ。野球解説者の高木豊氏はYouTube動画で、こう指摘している。
「来るとしたらセ・リーグだと思う。ジャイアンツが濃厚」
では、佐藤輝明がオフにポスティングシステムでのメジャーリーグ移籍を目指す阪神はどうか。その場合、阪神に入る譲渡金をレイエス獲得に充て、佐藤が抜けた長打力の穴を新設DHから埋める、というシナリオが浮上する。
今季ここまで打率3割1分9厘、22本塁打、65打点の主砲が抜ければ、補強ポイントとしての筋は通ることに…。
あるいは大物外国人の去就が話題になるたびに名前が挙がる球団に、ソフトバンクがある。ただ、7月29日現在、ソフトバンクがDHを採用した84試合のうち、柳田悠岐が58試合、近藤健介が20試合で先発出場。この2人だけで78試合を占めている。
山川穂高らの休養にも使う枠だけに、DH専任に近いレイエスを高額で獲得する必然性は阪神や巨人ほど高くない。資金力の問題ではなく、そもそも補強ポイントが合わないと思われる。
DH元年を控え、セ・リーグ6球団が新しい打撃枠を前提に、本格的な補強へ動くオフが近づいている。巨人か阪神か、それとも別の球団か。富山の夜の左翼席へ叩き込んだ一発は、2027年のセ・リーグDH元年を少し先取りした打球だったのかもしれない。
(ケン高田)

