今オフ、移籍市場の目玉となっていたレブロン・ジェームズの新天地は、フィラデルフィア・セブンティシクサーズに決まった。
もっとも、“キング”のシクサーズ行きを予想した者は少なく、一時は、2010年から4シーズン所属した古巣のマイアミ・ヒートへの復帰が濃厚とも言われていた。球団スタッフによる入団発表動画のフライング投稿もあっただけに、かつてチームを2度の優勝に導いたスーパースターの帰還を期待したファンもいたことだろう。
ヒートの選手の中にも、GOATの1人であるレブロンとの共闘を楽しみにしていた者もいたはずだ。
しかし、チームUSAのメンバーとしてともにパリ五輪に出場し、レブロンと親しい間柄にある大黒柱のバム・アデバヨは、「彼の決断を祝福したい」と偉大な先輩にエールを送っている。
2021年に立ち上げた財団『Bam, Books & Brotherhood(BBB)』によるチャリティイベントの場で、地元メディアからレブロンのシクサーズ行きについて聞かれたビッグマンは次のように答えた。
「がっかりはしていないよ。人が決断したことは祝福すべきだ。彼は自分が勝つために最善だと思える決断をしたんだからね」と返し、レブロンへ「俺がやっつけてやるからな」という宣戦布告のメッセージを送ったと『マイアミ・ヘラルド』紙などが報じている。
「エキサイティングなシーズンになりそうだ。イーストは熱いよ。勢力図がガラッと変わったからね。今年は本当に面白いシーズンになると思う」
もっとも、アデバヨが新シーズンを楽しみにしている理由は、レブロンとの対戦だけではない。
今オフ、チームに加わったヤニス・アデトクンボとの共闘だ。代理人が同じ2人は、日頃からコミュニケーションを取っており、昨季アデバヨがNBA歴代2位の83得点をマークした際には、「フリースローが大半」と否定的な声もあったなか、ヤニスは「どうやって取ったかは関係ない。重要なのはそれを実現したということ」と擁護する一幕もあった。
そんな2人は前々から「もし俺たちの共闘が実現したらどうなるか?」という会話をしていたようだ。
「それが今、こうして現実になった。だから今シーズンが本当に楽しみだよ。彼とチームメイトになれて嬉しい。マイアミの人々にとってもエキサイティングだと思う。この街から受け取るエネルギーやこのワクワク感の勢いを、そのままシーズンに持ち込んでいきたいね」
ニュージャージー出身ノースカロライナ育ちのアデバヨだが、ヒートで10シーズン目を迎える自身を、「”フロリダ人”だと感じている」と語り、地域コミュニティのための活動にも熱心だ。 そんな彼は、今年のNBAソーシャル・ジャスティス・チャンピオン・アウォード受賞者でもある。
21年に設立された同賞は、正式名称を「カリーム・アブドゥル・ジャバー・ソーシャル・ジャスティス・チャンピン・アウォード」と呼び、社会に好影響を与えたり、地域に貢献する顕著な活動を行なった現役NBA選手を毎年表彰し、受賞者にはカリーム・アブドゥル・ジャバー・トロフィーと受賞者が選ぶ非営利団体へ10万ドルが贈られる。
新学期を迎える子どもたちに通学で使うバッグや文房具をプレゼントするアデバヨの活動は、7回目を迎え、今年も28日にマイアミにある美術館で3500人の子どもたちに新学期グッズをプレゼントした。
「この活動がこれほど大きな影響を与えていて、こんなに多くの子どもたちと一緒に成果を目の当たりにできるなんて、自分たちがどれほど成長したかを実感するよ。こうした活動を続けて地域社会の一員であり続けること、そして人々に影響を与えること、それこそが人生における使命なんだ」
19歳でドラフトされたアデバヨもこの7月で29歳になった。20代、そしてプロ選手としてのキャリアのすべてを、マイアミで過ごしてきた。そんな彼に、活動の場である地域社会に貢献することの大切さを教えてくれたのは、大先輩のユドニス・ハズレムだったという。
ハズレムは20年のNBAキャリアをヒートで全うし、現在はチームのバスケットボール育成担当部門の副社長を務める、真の”マイアミ・レジェンド”だ。
そしてデビュー当時から同じフランチャイズでプレーする数少ない現役選手となったアデバヨも、ハズレムの軌跡をたどっている。
そんな”地元”と思える球団での挑戦は充実感も大きいに違いない。ヤニスとの共闘、そしてレブロンが戻ってきた来季のイースタン・カンファレンスの戦いは、彼にとって一層チャレンジしがいのあるものになることだろう。
文●小川由紀子
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