奈良県で美容室を展開する「oar(オール)」では、子ども向け美容サービスの利用が急増。
特に12歳以下の来店数は2024年から2025年にかけて1.7倍に増加しています。
今回、oar西大寺店のスタイリスト・河合純平さんに、美容意識の低年齢化についてや、実際に施術の現場で感じる変化などについて伺いました。
SNSの普及で変わる小学生の美容意識「見てきた」が当たり前の時代に
oarは奈良県奈良市の西大寺駅、学園前駅に店舗を展開する美容室。

「美容室には若い世代が多く来店するなど、特徴があるかと思うのですが、当店は地域密着型で、例えば私のお客さんでしたら、10代から80代ぐらいまで、年齢層が幅広くいらっしゃるアットホームなサロンですね。」
と話すのは、oar西大寺店のスタイリスト・河合純平さん。

河合さんによると、小学生の来店が増え始めた変化を実感したのはコロナ禍以降だったそう。
ただし、その要因はコロナによる影響そのものではなく、子どもたちがSNSを日常的に利用するようになったことが大きいのではないかと分析されています。
「以前は美容室を探す際にホームページや検索サイトを利用するケースが中心でしたが、現在はInstagramやTikTokなどでヘアスタイルを見て来店される方が多いですね。特にヘアスタイルの名称を伝えてくる方もいらっしゃるので、特に変化を実感しています。」
とコメント。
実際に河合さんも「見てきた」「このヘアスタイルにしたい」と来店されるケースが非常に多くなったと話します。
SNSには美容師が投稿する施術事例をはじめ、ヘアアレンジ動画などが数多く掲載されており、子どもたちは年齢を問わず最新のトレンドに触れられる環境。
そのため、自分も同じような髪型になりたいという気持ちが生まれ、美容室へ足を運ぶきっかけになっているのだとか。
情報収集の方法が変化したことで、小学生の美容に対する関心も一段と高まっている様子がうかがえます。
男女比率は半々ほどで、中には保護者の方と一緒に施術されるケースも増えているそうです。
カットだけじゃない!小学生がトリートメント・縮毛矯正を希望する理由
小学生の美容室利用が増える中で、変化しているのは来店数だけではありません。

これまではカットが中心だった子どもの施術内容も多様化しており、oarではトリートメントや縮毛矯正を希望するケースも徐々に増えているといいます。
河合さんはその背景について、
「中高生の話にもなりますが、くせ毛などのコンプレックスを解消したいという思いが大きいのではないでしょうか。今までコンプレックスだったものが解消される、という点が多分一番なのかなと思います。SNSの施術を見て、私もきれいなストレートヘアになりたい、自分もくせ毛を直したい、という思いを保護者に伝え、来店につながっているのだと思います。」
と分析していました。
実際には、髪質に悩みを抱える子どもが縮毛矯正を受けることで、毎朝のスタイリングが楽になるだけでなく、自分の髪に自信を持てるようになるケースもあるのだとか。
特にSNSの普及によって、より低年齢層から美容情報に触れる機会が多くなった点は大きいだろうとも語りました。
河合さんは、美容室の役割は単に髪を整えることではなく、コンプレックスを前向きな気持ちへ変えるきっかけをつくることにもあると考えているそう。
見た目の変化によって表情が明るくなったり、自信を持って学校生活を送れるようになったりする子どももいると話しており、美容が心の面にも良い影響を与える可能性を感じているそうです。
一方で、小学生への施術では安全面への配慮も欠かせません。河合さんによると、大人とは異なり、子どもは肌質やアレルギー歴を十分に把握できていない場合もあるため、施術前には保護者へ肌の状態を確認し、薬剤が頭皮につかないよう細心の注意を払っているとのこと。
また、施術中も刺激や熱さがないかをこまめに確認しながら進めるなど、安心して利用できる環境づくりを心掛けています。
子どもの「なりたい」という気持ちを尊重しつつ、安全性にも十分配慮することが、美容室として大切な役割になっているのでしょう。
美容室は子どもの自信を育てる場所!oarが考える美容との向き合い方とは
美容意識の低年齢化が進む一方で「子どもが見た目を気にしすぎるのではないか」と心配する保護者も少なくありません。

この点について河合さんは「美意識が高くなること自体は良いこと」だと考えているそう。
特に、くせ毛などのコンプレックスを解消することで前向きな気持ちになり、自信を持って学校生活を送れるようになるのであれば、美容には大きな価値があると話します。
一方で、SNSで理想の姿と自分を過度に比較し、必要以上に外見を気にしてしまうことには注意が必要とも語っており、美容室としても子どもの気持ちに寄り添いながらサポートする姿勢を大切にしているとのことでした。
実際に印象に残っているエピソードとして挙げてくれたのが、前髪を作った小学生の女の子の事例。
それまで保護者は「前髪は似合わない」と考えていたものの、本人の希望を受けて似合うデザインを提案したところ、
「女の子って前髪があるかないかで、凄く印象が変わるじゃないですか。親はずっとセンター分けにしなさい、あなたには似合わないと言っていたのですが、いい感じになった姿を見て『この髪型が似合うんだね』と言っていました。」
と、保護者からの喜びの声が聞かれたことが印象的だったそう。
河合さんは、このように子どもの「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、一人ひとりに合ったスタイルを提案することが、美容師としてのやりがいにつながっていると話していました。
最後に河合さんは保護者へ向けて、
「くせ毛一つでもストレートにするだけで、顔色が変わったり、ポジティブになって、もしかしたら学校が好きになることもあるかもしれません。ぜひ子どもと、そういうことに気づいてコミュニケーションをとってほしいですね。一つのきっかけが、例えば美容院で施術することだったら僕たちはすごく嬉しいです。」
と、子どもの小さな変化やコンプレックスに気付いてあげてほしいとメッセージを送りました。
oar西大寺店:http://www.oar.gr.jp/saidaiji