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《熊本地震・八代市》「町のシンボルのような鳥居が根本からボキッと折れ…」たたずんでいた宮司「立て直すのは現実的に厳しい」エアコン使えず車中泊する被災者「やはり一番欲しいのは水」

《熊本地震・八代市》「町のシンボルのような鳥居が根本からボキッと折れ…」たたずんでいた宮司「立て直すのは現実的に厳しい」エアコン使えず車中泊する被災者「やはり一番欲しいのは水」

猛暑の熊本県を襲った最大震度7の激震に気象庁は「令和8年熊本地震」と名付け、7月30日時点での死者は関連死を含めて35人に達した。今回の地震は益城町木山付近から南西方向に約80キロ伸びる活断層「日奈久断層帯」がずれて引き起こされたとみられ、県中央部南側の八代地方の被害は甚大で、象徴的な建築物の多くも無惨な姿に変わり果てた。

やっぱり一番困っているのは水

熊本市と八代市に挟まれた宇城市では、郊外型のパチンコ店の入り口付近に建つ巨大なコンクリート製円柱が真っ二つに折れていた。近くに住む男性はその恐怖の瞬間を目撃していた。

「パチンコ屋の駐車場に車を停めていたときに、地震が起こったんです。直前に下から突き上げるような衝撃があり、その後に数分間横揺れが続いた感じでした。本当に車が横転するんじゃないかってほどの揺れ方だったんですけど、その間に柱が折れたんです。

突然ポキッと折れた感じで落下してきたように見えました。たぶんお客さんの車だと思いますが下敷きになってすごい音がしました。いや、ホント怖かったです。地震の揺れ自体は、10年前の熊本地震の方が強かったように記憶していますけどね」

周辺では停電はすぐ解消したものの、取材班が訪れた30日午後には水道も復旧しておらず、近隣の飲食店は営業再開の見込みすら立たないという。宇城市を南下して八代市内に入ると道路があちこちでひび割れ、倒壊家屋も目立つ。

アパートの1階部分がぺしゃんこに潰れていたり、瓦礫が道路をふさぐようにせり出している箇所が多数みられた。同市鏡町に住む女性は落胆しつつも、はや前向きに動き始めていた。

「倒壊はしませんでしたが、家の中がぐちゃぐちゃになってしまって今日はそれを片づけていました。停電してエアコンも使えないので、ただ家にいるだけでも体力を奪われますね。このあたりでも、暑くて家にいられないという人は車中泊したりして凌いでいますよ。地震の時は、家にいましたが縦揺れか横揺れかもわからない感じで、気づいたら横倒しにされていました。被災後の食事は近くの避難所でいただきました。

場所によってだいぶメニューが違うようですが、私が行ったところは備蓄用のパンと2リットルの水のペットボトルでした。他ではお弁当とかおにぎりとか出ているところもあるみたいですね。停電や食事もそうですが、やっぱり一番困っているのは水ですね。お風呂も入れませんし、トイレも1回ごとにタンクに水を入れて流していますが、やっぱりそういった部分が一番しんどいですね。特に暑くて昼間汗をかくのでお風呂でさっぱりしたいですよ。少しでも涼しく寝るなら車でエアコンかければいいのかもしれないけど、やっぱり自分の家で寝たいからねえ」

町のシンボルの鳥居がポッキリと折れてしまった

近くの「貝洲加藤神社」では大きな鳥居が根元から折れて片側一車線の道路をふさぐように倒れ、重機で撤去作業をしているところだった。その様子を悲しげに見守っている女性に声をかけると、第四代宮司の廣松泰子さんだった。

「神社の創建は204年前の1822年で、倒れた鳥居は百周年記念で大正10年(1921年)に建てられました。鳥居の先の道は、戦前は参道でしたが今は生活道路になっています。私にとっては小学校入ってからは毎日通っていた道だし、ここに鳥居があるのが当たり前だったので、こんな風に折れた姿を目にするとショックというか言葉では言い表せないですね。

他にも神社の灯篭が倒れたり、石垣が崩れたりしましたが、本殿は損壊はありませんでした。10年前の熊本地震の時より今回の方が震源が近いと言われていますし、やはり体感としても今回の方がすごい揺れだったと思います」

廣松宮司は地震発生時には作務所で夕飯の準備をしていたため、鳥居が倒れる瞬間は見ていない。

「揺れが収まったあとに、氏子さんたちから『鳥居が倒れてる』『音がすごかった』と教えてもらって、それで急いで鳥居の方を見に行ったんです。最初は『え? まさか?』って驚きました。10年前の熊本地震の時もまったく問題なかったので……。

しばらくは頭の中が真っ白になりましたが、とにもかくにも鳥居が倒れたことでどなたもケガをすることがなかったのが一番です。町の方たちもみなさん心配してくださり、鳥居を町のシンボルのように思ってくれていた方が多かったので嬉しく思いました。それだけに今こうして撤去されている鳥居を見ていると『なくなるんだなあ』と寂しく思う気持ちもあります」

復興が進めば、いずれ鳥居の再建という話も持ち上がるのだろうか。

「鳥居を建て直したいという気持ちはありますが、現実的には難しいでしょうね。この鳥居は大正時代の金額で6000円で建てられたという記録があります。当時は家一軒建てるのに2000円と言われた時代なので、家3軒分の価格です。今の金額に直すとかなりの高額だと思います。そういった部分でも現実的に再建は難しい。やっぱりみなさんが『鳥居はあった方がいいよね』というお気持ちになられたら、また話は違うんでしょうけど」

地域に暮らす人々が何世代にもわたって日々何気なく通り抜け、百年以上も思い出を紡いできたシンボルが、再び立ち上がる日は来るのだろうか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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