もはや森保一監督の短期続投、大岩剛新体制への移行など、なんの意味もなくなる。オリンピックをもしのぐ世界最大のスポーツイベント、サッカー・ワールドカップが事実上、消滅する可能性が出てきた。
国際サッカー連盟(FIFA)が、W杯やクラブW杯など主要な大会の運営を担う子会社「FIFA Forward Enterprise(FFE)」を設立すると発表したからだ。と同時に、評価額3兆2720億円とされるFFEの20%の株式を、外部投資家に売却するという。
FIFAのジャンニ・インファンティノ会長は加盟国に対し、この提案への支持を表明した場合、売却金をもとにした数十億円単位の金銭を支払うとしているが、一気に商業化の推進につながるとあって反対意見が続出。欧州サッカー連盟(UEFA)はこの構想を推進した場合、W杯を含むFIFA主催大会を全てボイコットすると表明した。
「ワールドカップやその他のFIFA主催大会の所有権の一部を民間投資家へ譲渡するという提案を、全会一致かつ断固として拒否する。ワールドカップは投資商品として扱われるべきではない」
サッカージャーナリストはこの異常事態を「サッカー界最大の危機」として、次のように話すのだ。
「UEFAの55カ国が全てボイコットに賛成しており、本来ならW杯などできない。なにしろ2030年の大会はスペイン、ポルトガルとモロッコの3カ国共催。これに今回の北中米大会で優勝した開催国スペインに加え、ポルトガルが出ないのでは話になりません。しかもクラブW杯は国によっては、W杯よりも人気がある。ここにはプレミアリーグ、スペインリーグ、フランスリーグなどのチームが参加しないということですからね」
世界にはアジアサッカー連盟(AFC)やアフリカサッカー連盟(CAF)などがあり、UEFAがボイコットしても参加する連盟はあるかもしれないが、他の連盟も足並みを揃える可能性は高いという。
サッカー界そのものをブチ壊す暴挙
サッカージャーナリストが続ける。
「北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)も突然の発表に戸惑っているし、日本が所属するAFCのシェイク・サルマン会長も『到底、受け入れられない』と表明しています。場合によってはAFCもボイコットを決議するかもしれません。そうなれば、日本がいくら『次の大会は大岩監督でベスト8』だと頑張っても、W杯には出られない。強化どころではありません」
FFEの設立はFIFAに加盟する国や地域など211協会の過半数、およびインファンティノ会長、8名の副会長、28人の理事からなる評議会によって承認を得る必要がある。ただ、この計画の裏にはドナルド・トランプ米大統領の親族が経営する企業がうごめいているとの情報もあり、大モメは必至。
スポーツ紙サッカー担当記者が言う。
「日本がどんなにシャカリキになっても、力が及ぶ話ではない。当面は推移を見守るしかないですが、W杯売却ともいえる今回の計画は、サッカー界そのものをブチ壊す暴挙といっていい」
(阿部勝彦)

